BIZTIPS>BIZトピックス>安倍内閣の誤算!!安保法制審議に対する戦略ミス【大前研一メソッド】

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2015/08/07配信分

グルーバル感覚 論理思考

安倍内閣の誤算!!安保法制審議に対する戦略ミス【大前研一メソッド】

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前回に引き続き、今回も安保法政についてみていくぞ! 安保法政に対する議論が活発になってきているが、審議に対する戦略は間違っている点が大きく3つある。それを考えてみるぞ!

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最重要法案と言っていますが、安保法政はどんな点で最重要なのでしょうか。 安保法政審議の戦略はどう間違っているんでしょう。 これからの日本の将来のために考えてみます!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 国民の反対を押し切って、安保関連法案を強行突破するのか? 』
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政府・与党が“最重要法案”と位置づける安全保障関連法案の審議が、参院で進んでいます。同法案に対する批判は高まり、安倍晋三内閣の支持率が低下しています。主要紙が7月に実施した世論調査の結果が出そろっており、各社とも第2次安倍晋三内閣への不支持率が支持率を上回る結果となりました。

 

【資料】
新聞主要各紙で内閣不支持率が支持率を逆転 それでも支持率4割 自民支持率も崩れず 

 

安倍内閣、「支持しない」が上回る JNN調査

 

内閣支持最低43% 読売新聞調査

 

一般的に内閣支持率は30%を下回ると「危険水域」とされ、20%を下回れば「退陣水域」とされます。国民の反対を押し切って、このまま安保法制を強行突破すれば、安倍政権の求心力は急低下する可能性が大きいでしょう。

 

安倍内閣の安保法制審議に対する戦略は間違っていると大前研一は指摘します。どこがどのように間違っているか、見解をみてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 安保法案強行突破は憲法改正の可能性を消す 』
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安倍内閣の安保法制審議に対する戦略は3重に“複雑骨折”している。

 

 

《複雑骨折その1》
集団的自衛権を巡って日本と同盟国米・豪・フィリピンそれぞれの思惑にギャップ

 

そもそものきっかけは、“世界の警察官”の役割を果たしていく余裕がなくなった米国が、その一部の肩代わりを日本にさせるべく、20年も前から日本に対して集団的自衛権の行使容認を要求してきた。アフガニスタン戦争では「Show the flag(『日の丸』を示せ)」、イラク戦争では「Boots on the ground(地上部隊を派遣せよ)」と迫った。

 

この要請を受けて日本は新しい法律を作り、アフガニスタン戦争で海上自衛隊がインド洋上で米海軍などの艦船に対する補給活動を、イラク戦争では陸上自衛隊と航空自衛隊が人道復興支援活動を行った。

 

これまで自衛隊は米軍に対する“後方支援”を想定してきた。米国は自由主義陣営の他の同盟国に対しても地理的な制限を設けずに自衛隊が支援することを日本に要求し、それを安倍首相が4月の訪米時に「夏までには法案を通す」と安請け合いしてしまった。

 

そしていつの間にか、過去の議論とは全く脈絡のないオーストラリアやフィリピンも準加盟国(我が国と密接な関係にある他国)として集団的自衛権の対象になった。だから、オーストラリア軍と米軍の合同軍事演習に自衛隊が初めて参加したり、フィリピン軍と海上自衛隊のP3C哨戒機が南シナ海で共同訓練を行ったりしたのである。

 

【資料】
日本自衛隊、米豪共同軍事演習に初参加…中国牽制

 

海自P3C機、南シナ海上空を飛行 フィリピン軍と共同訓練 連携の強さ誇示

 

実際、オーストラリアのアボット首相もフィリピンのアキノ大統領も、いざとなったら日本の自衛隊が助けに来てくれる、と国民に向かって説明している。日本ができることと米軍が求めていること、オーストラリアやフィリピンが期待していることの間に大きなギャップができてしまったわけである。

 

【資料】
Philippine leader backs larger Japan military role

 

 

《複雑骨折その2》
安保法制が根本的な違憲論争に拡大

 

安倍首相は内閣法制局長官に自分の息のかかった人間を据えて押し切ろうと思ったようだが、衆議院憲法審査会に参考人として招致された3人の憲法学者に民主党の中川正春衆議院議員が「安保法制は憲法違反と思うか?」と質問したところ、3学者全員から「憲法違反」という回答を引き出した。これは安倍内閣にとって全くの想定外だったと思う。

 

それで慌てて自民党の高村正彦副総裁が「最高裁が示した法理に従い、自衛の措置が何であるかを考え抜くのは憲法学者ではなく政治家だ」などと反論したが、後の祭り。元内閣法制局長官2人(阪田雅裕氏と宮崎礼壹氏)も衆院特別委員会の参考人質疑などで「違憲」と批判した。

 

【資料】
憲法学者に聞いた~安保法制に関するアンケート調査の最終結果

 

これまでの安保議論で自民党は憲法を拡大解釈し、いわばゴム紐を伸ばしながら誤魔化してきたわけだが、そのゴム紐が伸びきってプチンと切れてしまったのである。この問題はすこぶる深刻であり、安倍首相は乗り越えられないと思う。

 

 

《複雑骨折その3》
安倍首相が本来目的としている憲法改正論議が吹き飛んだ

 

安倍首相は憲法改正を実現するために第1次政権で国民投票法を成立させたが、現在のように違憲問題に火がついてしまうと、憲法改正議論は入口にも辿りつけないと思う。日本人の国民性として、安倍首相の言い出した憲法改正なんて危なくて仕方がない、となるからだ。安保法制が違憲か合憲かという根本的な議論を疎かにしたため、憲法改正の前段階で身動きが取れなくなるだろう。

 

 

今何故安全保障関連法案なのか?

 

今回の安保法制の重要性を訴える話として「現実問題、中国や北朝鮮などの脅威があるではないか」という反論が必ず出てくる。この反論は墓穴を掘っている。中国や北朝鮮を持ち出した時点で、集団的自衛権を柱とする安保法制の議論ではなくなっている。中国や北朝鮮に対する脅威は、従来通り、個別的自衛権と日米安保条約で対応できるからである。過去に起きた具体的な戦争の例で言うならば、アフガニスタン戦争やイラク戦争のような遠隔地で起きている戦争において、同盟国(我が国と密接な関係にある他国)のために自衛隊が武力行使することを容認するのが集団的自衛権である。

 

また、安保法制の重要性を訴える別の話として「戦争のリスクが第2次世界大戦後では最も高まっている」という反論もある。この反論も墓穴を掘っており、米ソ冷戦時代と比べれば、戦争のリスクは下がっている。

 

仮に安保法案が「60日ルール」で成立したとしても、安倍首相は憲法改正という政治家としての最大の目標を達成することができずに退陣に追い込まれるだろう。

 

【資料】
「60日ルール」 – 時事通信社

 

 



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今回のポイントはこれだ!
●集団的自衛権を巡っては、日本だけでなく集団的自衛権の対象となってる同盟国米・豪・フィリピンそれぞれの思惑にギャップがあり、そのギャップは収拾不可能である。
●安保法制が根本的な違憲論争に拡大しており、違憲と考える憲法学者が多い。
●安保法制審議で違憲問題に火がつき、安倍首相が本来目的としている憲法改正論議が吹き飛んだ。

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そういえば安倍首相はそもそもの憲法改正をどこにすっ飛ばしてしまったんでしょうか。 アメリカの圧力がかかると黒いカラスも白くなるんですね。 

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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