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2012/11/14配信分

マーケティング 経営戦略

「ガリガリ君」はなぜ売れるのか?

『ガリガリ君リッチ コーンポタージュ味』が、9月4日発売と同時に予想外の売れ行きのために3日間で販売休止を招き、2013年春の販売再開が発表されました。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、そのような成果を上げた『ガリガリ君』をテーマに取り上げ、そのマーケティング手法を紐解いてみたいと思います。

 

まずは『ガリガリ君』の歴史をみてみましょう。

 

『ガリガリ君』を生産する赤城乳業(株)は1961年 埼玉県深谷市に創業。最初の大ヒット商品は、1964年に発売したカップ式かき氷『赤城しぐれ』でした。
ところが、1979年の第二次オイルショックの際、他の氷菓メーカーに追従して値上げしたところ、大手メーカーが価格維持の方針を採り、同社は売れ行きが落ちて危機的状況に陥ってしまいます。

 

この時、状況の打開策として当時の開発本部長(現社長):井上秀樹 氏と開発陣によりスティックタイプの『赤城しぐれ』のアイデアが出されました。ところが、1980年に発売された“かき氷をゼリー状に固めた”商品は、袋の中でバラバラになるというクレームが次々と舞い込んで失敗。

 

その失敗を糧に、薄いアイスキャンディーの膜(シェル)の中にかき氷(コア)を入れることで型くずれしない製造方法を開発し、1981年に『ガリガリ君』が発売されるに至りました。

 

子供たちをターゲットとしたこの商品は、子供たちをワクワクさせる工夫でいっぱいでした。具体的な例をいくつか挙げると以下のものがあります。

 

・子供たちに人気がある炭酸ソーダ味
・子供たちが外で遊ぶシーンを想定して空や海の水色パッケージ
・「ガリガリ」という擬音に「君を付けよう!」と社長の一声で商品名決定
・商品名に見合ったガキ大将をキャラクターに設定
・当たりくじを付けて、その場でもう一本貰えるようにした

 

しかし、それでも当初の販売が伸びませんでした。その理由のひとつは、アイスキャンディー売上の6割を占める駄菓子屋のショーケースは大手が占め、『ガリガリ君』の置き場所が確保できなかったためです。

 

そこで目を付けたのが、大手が流通に力を入れておらず、しかし次々と増えていたコンビニでした。同社では、メインの販売チャネルをコンビニに設定して、各チェーン店名を冠した『ガリガリ君』を販売する作戦で、10年間で売上を3倍に伸ばします。

 

しかし、90年代後半には売れ行きが鈍化し、全国3万人規模の消費者調査を実施しました。そこで明らかとなったのは、多くの女性が「汗が泥臭い」「歯ぐきが汚い」「田舎くさい」という理由で『ガリガリ君』が嫌いだという事実でした。

 

これを受けて、2000年に外部デザイナーによる3D化『ガリガリ君』キャラクターで全面リニューアルを敢行。初のテレビCMも投じ、ついに1億本を突破します。

 

そして2003年には、メディアが自然発生的に取り上げて大きな援軍となります。
以来、2ヶ月毎の新商品投入と、ユニークなマーケティング戦略によって売上げを伸ばし続けて現在に至ります。そして発売から31年の今年、販売本数4億本突破を見込む主力商品にまで育っています。

 

では、『ガリガリ君』のマーケティングはどのような発想から導かれているのでしょうか? それは5つの特徴に集約されそうです。

 

(1) 基準は“くだらなさ”
⇒マーケティングの基準は“(良い意味での)くだらなさ”と“ユニークさ”
の徹底した継続にあると言います。これが可愛がってもらえることにつながり、
やがて面白さと楽しさへと昇華するのです。

 

(2) 0円企画
⇒企画は0円並みの低予算で考えています。必然的に智恵を出して協力を求める
ようになり、コラボレーションが生まれてくるのです。

 

(3) すべてはアイス売り場のために
⇒思いつきのマーケティングに見えますが、実は「食べる→遊ぶ→当たる→嬉しい」
の循環フォーマットへ導くために、まずはアイス売場に人を呼んで商品を手に
取ってもらう仕掛けに注力していることが分かります。すべてのマーケティング
は、アイス売場のためにと言われている所以です。

 

(4) カテゴリーを超える
⇒かつては、販売本数がピークを迎えた翌年は必ずダウンする傾向にありました。
しかし、2004年のピークを迎えた年、アイスは季節商品という常識を打ち破る
ために、真冬の北海道でのプロモーションの結果、翌年も成長維持する事ができ
ました。その後、真夏の温泉プロモーションなど、氷菓のカテゴリーを超えたマ
ーケティングも進められています。

 

(5)“ あそびましょ。”
⇒コーポレート・スローガンとして工場内に掲げられ、作る側も遊び心を忘れず
に夢のある商品づくりを楽しむ社風が感じられます。

 

こうした中から出てきた興味深い企画例には、次のようなものがあります。

 

◆居酒屋メニュー
「ガリガリラムネサワー(酎ハイに「ガリガリ君」1本入り)」を投入。
◆「ガリガリ部員」による部活動
全国7万人超の部員によるブログで“クチコミマーケティング”を推進。
◆おみくじ
「ガリガリ君リッチ」に取り入れ、「合格に効く」というクチコミを誘発。
◆コラボ商品
消臭剤、入浴剤、シャンプー&ボディソープ、かき氷器、おもちゃ、文房具、
冷却スプレーなど、多彩な商品を展開。

 

『ガリガリ君』マーケティングの流れを見ていくと、壁に突き当たる度にアイデアで乗り越え、一見とぼけた感じに見せている戦略も綿密に練られたものであり、ユニークさに賛同するブランドファンづくりを社員が楽しみながら進めていることがわかります。これこそが『ガリガリ君』の強みと言えるでしょう。

 

冒頭の『ガリガリ君リッチ コーンポタージュ味』は、入社4年目の26歳の若手社員が一人で開発し、試作やライン化を入社6年目の28歳の若手社員が協力する形で誕生しました。歴史や伝統のしがらみを受けずに作りたいものを作る一心で、試作回数や稼働中の製造ラインを止めてのテストなど、異例づくしの開発だったようです。賛否両論の社内コンペで、社長の「ベリーグッド!」の一声で商品化が決定されました。

 

さらに『ガリガリ君』の売上げを伸ばす方法としては、新しいフレーバーだけでなく従来には無かった食材のアイス化戦略も増やし、『ガリガリ部員』による商品や企画のアイデアコンペなど、ファンも一緒になって『ガリガリ君』を作り上げるといったことが考えられそうです。

 

皆さんでしたら、『ガリガリ君』の売上をさらに伸ばしていくために、どのような戦略を考えますか?

 



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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