BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2012/02/08配信分

ITリテラシー マーケティング

「ステマ」騒動について考える

最近、ネット上のキーワードで急上昇している「ステマ(ステルスマーケティング)」をご存知でしょうか?

 

「ステマ」とは、消費者に宣伝と気付かれずに行われる宣伝行為のことを指しているのですが、この手法を巡って実にさまざまな意見が飛び交っています。

 

ビジネスで情報を発信する“情報の生産者”であり、同時に情報を利用する“消費者”でもある私たちは、この問題をどのように捉えて、どのような行動を取っていけば良いのでしょうか。

 

まずは「ステマ」騒動が起きた背景を踏まえながら、その道筋を探っていきたいと思います。

 

「ステマ」が注目されるようになったきっかけはいくつか挙げられますが、最も影響が大きかったのは、「食べログ」でランキング操作する「やらせ業者」が39社も特定されたことでしょう。

 

他にも、「2ちゃんねる」で「ステマ」スレッド削除に抗議したユーザーが短期間にスレッドを乱立したとか、TOP3を紹介するサイト『ベスト&ワースト』に有名企業の担当責任者が「ステマ」を頻繁に行っていると取り上げられる等、多くの出来事が発覚しました。

 

事の良し悪しは別として、「ステマ」は宣伝行為、今回のケースでいうとクチコミ・マーケティング(Word Of Mouth Marketing)の手法のひとつだといえます。

 

その行為に関わるステークホルダーを整理すると、

 

◆クチコミ・マーケティングのステークホルダー◆
・企業(店舗)   :「クチコミ」によってメリットを享受する立場
・事業者      :「クチコミ」の派生を企画立案して仕掛ける立場
・発信者(第三者) :「クチコミ」を発信する立場
・メディア(サイト):「クチコミ」の舞台を提供している立場
・ユーザー     :「クチコミ」を参考に購入する立場

 

上記のようになるでしょう。この構造自体はクチコミ・マーケティングをはじめ広告宣伝を行う上では基本的なものといえます。

 

ここで本問題のポイントになるのは、クチコミを提供するインフラをもつメディア(サイト)に対してユーザーは「このメディア(サイト)を確認すれば客観的で確実な情報が手に入る」という期待感を抱いているという点です。

 

今回「ステマ」が批判されているのは、「一個人としての第三者の意見」が事業者によって意図的に作り出され、それが公正を期待されているメディア(サイト)に投稿されることでユーザーの不信感を招いたためだといえます。

 

しかし、これは逆に言うと、ユーザーの中に「利害関係が無い第三者ならば嘘をつかないだろう」という思い込み(ステレオタイプ)と、「自分の判断でハズレを引きたくない」という心理があることが原因のひとつになっているとも考えられます。

 

少々言い過ぎかもしれませんが、ライター 松永英明 氏がブログ【「ステマ」が成立する理由と、ステマに振り回されない考え方】の中で指摘しているようにこれは情報を収集するユーザーの知的怠惰と思考停止によるということも言えるのではないでしょうか。

 

知的怠惰で思考停止であるが故に、「第三者の意見なら安心」という暗黙の前提を無防備に信頼し、失敗しないようにクチコミ内容で自分が体験した場合の期待値をシミュレーションしている状態なのだと考えることができます。

 

今回、「第三者の意見」が業者による“やらせ”だという点に非難が集中したのに対して“クチコミの内容自体”への非難が多くなかったのは、自身の体験のシミュレーションをするという目的自体は達成することができたからということもできるかもしれません。

 

つまり、これらの問題の根源にあるのは、まず“情報の消費者”である私達の「情報リテラシー」だということができます。

 

今や、広告宣伝は、大手広告代理店などが、綿密な調査と大規模なマーケティング活動に基づいて、ブームを作り出せるまでに進化しています。
クチコミはもちろん、広告やプレスリリース、ニュースなどにも何らかの“意図”が隠れていると考えることが自然でしょう。

 

つまり、私達に必要とされる情報リテラシーとは、情報を疑う視点を持ち、自分で調べ、信頼できる友人や知人の意見を聞き様々な視点から検証してみることなのではないでしょうか。もちろん、どのような行動(購買行動や、購入単価など)を取るかによって必要な検証の内容や深さは変わってきますが、「情報リテラシー」を身につけていくためには必要な視点となるはずです。

 

一方で、“情報の生産者(発信者)”としての立場で本問題を見るとどうでしょうか。

 

法的には、今回の騒動に対しては、「ステマ」が誹謗中傷していないので「プロバイダー責任制限法」が適用できない(総務省消費者行政課)、発信者に対する金銭授受などの証明が困難なので「景品表示法」が適用できない(消費者庁)、といった理由から、やらせ事業者を法律で規制する事は難しい状況です。

 

しかし、ユーザーがクチコミ情報など、流通している情報に求めている期待感などを考えると、「ステマ」の実施はその期待を裏切ることになり、信頼関係を一挙に崩壊させてしまうことにつながります。一時的な効用はあるかもしれませんが、中長期的には必ずマイナスにつながってしまいます。

 

情報を発信する立場である企業の中には、世界一厳しいとされる米国の【クチコミマーケティング規制(WOMMA基準=Word Of Mouth Marketing Association)】を適用してそのような事態に陥らないように予防策を打つ企業も出てきていますが、そういった“守り”だけではなく、“攻める”ためにいかに企業自体や製品・サービス自体に付加価値を付けていくかが重要です。

 

いわゆる4Pの改善など、これまでマーケティング施策上必要だとされてきたことはまだ改善の余地はあるものの、かなり推し進められてきました。どこもかしこも“どんぐりの背比べ”の様相を呈してきています。

 

ただ製品・サービスなどを改善するだけではなく、「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」などをいかに創り出していくかが重要です。
それまでの製品・サービスや仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすこと、つまりイノベーションを起こすことが求められてきています。

 

ちなみに、当大学院では学長の大前研一が自ら【イノベーション】という講義を担当し、学生の方々に壁にぶつかったときに役立つ「こうすれば、道が拓ける」という発想法を体系的に伝授しています。

 

今後はこれを期に、“生産者”も“消費者”も基本に立ち返って安易な方法には逃げず、“情報リテラシーの向上”と“企業レベルの向上”に進んでいくでしょう。

 

さて、みなさんでしたら、ビジネスで情報を発信する情報の“生産者”であり、かつ情報を利用する“消費者”でもある私たちは、「ステマ」問題をどのように捉えて、どのような行動を取っていけば良いと思われますか?



一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

自社や外部環境の分析をすることによって、適切な目標を立てるために役立つフレームワークは?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP