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2013/05/08配信分

グルーバル感覚 組織人事

「世界同一賃金」発表から垣間見えるグローバル戦略

先日、「ユニクロ」でお馴染みのファーストリテイリング(以降FR社と表記)柳井 正 会長兼社長が「世界同一賃金」制度導入の方針を発表し、話題を呼んでいます。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、この報道の真意を探りながら、FR社のグローバル戦略について考えてみたいと思います。

報道によると、FR社では、欧州や中国など13ヶ国・地域で採用した正社員と役員を「グローバル総合職:4911人(国内2730人/海外2181人)」として、19段階のグレード別に賃金体系を決めています。今回の計画では、8-14段階に対する内容となっています。

 

●1-7段階:【完全同一賃金】→導入済
・執行役員/上級部長等:51人(国内41人/海外10人)
・年収4億円〜2000万円

 

●8-14段階:【実質同一賃金】→今回の報道内容
・部長/スター店長等:1009人(国内694人/海外315人)
・年収2000万円〜年収670万円

 

●15-19段階:【賃金体系と評価基準のみ統一】→今後の検討
・店長/一般社員等:3851人(国内1995人/海外1856人)
・年収670万円〜年収320万円

 

柳井氏はインタビューに対し、

 

『社員はどこの国で働こうが、同じ収益を上げていれば同じ賃金というのが
基本的な考え方。新興国や途上国にも優秀な社員がいるのに、国の違い
だけで賃金が低いのは、グローバル企業としてあり得ない。

 

日本の店長よりも欧米の店長の方が高いので、日本での賃下げは考えて
いない。一方で途上国の賃金をいきなり欧米並みにはできない。これを
どう平準化して、実質的に同じにするか具体的な仕組みを検討している。

 

離職率が高いのはグローバル化の問題であり、仕事で付加価値を付け
られないと、低賃金で働く途上国の人の賃金にフラット化するので、
付加価値を付けられなかった人は退職する場合がある。日本人には
厳しいかも知れないが、海外の人は頑張っている。

 

心配なのは、途上国から海外に出稼ぎに出て下働きしている人がいるが、
日本人も他国の人が出来ない付加価値を作り出せないと、そうなる。
グローバル経済とは「Grow or Die(成長か、さもなければ死)」であり、
非常にエキサイティングな時代だ。』

 

と発言しており、グローバル経済の一側面を言い表しています。

 

別の視点でFR社の動向を見てみましょう。FR社は、グローバル企業として成長するために、海外店舗の急拡大を計画しています。

 

・2012年度:売上高9286億円、845店/292店(国内/海外)
・2020年度:売上高5兆円、1,000店/3,000店(国内/海外)

 

これには従業員の増員も必要ですが、2020年度の店舗数拡大に比例して単純計算すると大幅増員となります。

 

・国内 845店舗:2,730人 → 1,000店舗: 3,200人( 1.2倍)
・海外 292店舗:2,181人 → 3,000店舗:22,400人(10.3倍)

 

これだけのグローバル人材をどのように確保・活用すれば良いのでしょうか?

 

まず考えられるのは、グローバル人材の確保は日本ではなく海外で大幅に進めていくことになる可能性でしょう。FR社が社内公用語の英語化、給与体系の成果主義と評価基準の統一化を急ぐのは、こうした背景があるためと思われます。そして、人材活用の考え方としてアピールされている点も、グローバル展開を意識している内容になっていると言えます。以下に要点をまとめてみます。

 

・成果が認められるフェアな風土
・店舗経営に責任を負う事で意志決定が明確になり人材成長が速い
・世界のどこにでも、誰にでもチャレンジできるチャンスがある
・キャリアが自由に描ける
・世界中で事業を作り出し、人を育てる

 

また、FR社が採っている『Global One』戦略も、グローバル化マネジメントの一環と見れば理解できます。

 

・世界中でひとつのFRグループになる
・世界で最高水準のFRとユニクロをつくる
・世界最高水準のグループ企業をつくり全世界に展開していく

 

つまり、FR社では、人事面・人材教育面・運営制度面について統一基準化をすることで本部が統括しやすくし、グローバル拡大路線を進めやすくしていると言えます。FR社は、日本発の、新しいスタイルのグローバル企業の実現を目指しているのかもしれません。

 

ちょうど運営としては、マクドナルドのように、世界統一の代表的商品と、世界共通の店舗イメージがあり、地域毎に統括企業を配して全体を本部がコントロールする姿を描いているのでしょう。しかし人材に関しては、グローバル人材というキーワードで強い現場体制を目指していることから、世界のユーザーの声を聞きながら、店舗作りや商品開発に活かす情報をフィードバックできるマルチ人材を求めていることが想像できます。

 

今回の報道は、あくまでもFR社1社の動向ではあります。賛否両論もあるかもしれません。しかし、今回の動きはグローバル人材としての個の在り方についても考えさせられるものです。

 

グローバル経済の中で生きるためには、流れに合致したスキルアップと、付加価値を生み出せる仕事や生き方をますますしなければならないと言えそうです。かなり使い古された表現ですが、それが日本人にとってより現実的なものになってきていると考えた方がいいのではないでしょうか。

 

皆さんが柳井 正 会長兼社長だとしたら、FR社のグローバル展開において、どのような人材戦略を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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