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2013/01/16配信分

ITリテラシー 経営戦略

『LINE』はなぜ躍進できたか?

スマートフォン向けアプリのインスタントメッセンジャー『LINE』が、ついにユーザー数が8500万人を超えました(2012年12月)。

 

そんな大躍進を遂げている『LINE』を取り上げてその躍進の要因を分析し、今後のさらなる成長に向けた戦略に迫っていきたいと思います。

 

2011年6月:5万人からスタートした『LINE』は、いわゆるロングテールではなく急速に拡大し、今月中にも1億人を突破すると見られています。

 

1000万人ユーザー達成まで『LINE』は6ヶ月を要しましたが、同様のSNSで1000万人ユーザー達成に要した期間は、『GREE:61ヶ月』、『mixi:39ヶ月』、『mobage:26ヶ月』、『Facebook:28ヶ月』、『Twitter:26ヶ月』となっており、『LINE』の急増ぶりが際だっています。

 

ちなみに『LINE(ライン)』とは、「NAVER(韓国最大のインターネットサービス会社:NHNの日本法人ブランド)」が開発提供している、スマートフォン向けのインスタントメッセンジャーアプリです。人と人をつなげる線になろうという意味を込めて『LINE』と命名されました。

 

その特徴は、スマホ同士で無料通話が出来る事に加え、メールやチャットに様々な表情を持つオリジナルキャラクターの「スタンプ」を押す(送る)ことで、テキスト無しでもコミュニケーションが取れる点です。

 

多くの企業・芸能人・タレント・首相官邸なども公式アカウントを開設しています。

 

ところで、『LINE』が他のSNSと決定的に違っている点は何なのでしょうか?
以下に比較をしてみましょう。

 

サービス名: 【本人確認】 【公開範囲】   【訪問履歴】
・mixi :【実名+顕名】 【クローズ】 【チェック!/イイネ!】
・Facebook:【実名】 【クローズ】 【いいね!】
・LinkdIn :【実名】 【クローズ】 【あしあと】
・Twitter :【実名+顕名】 【オープン】 【フォロー】
・Ameba :【実名+顕名】 【クローズ】 【ペタ】
・LINE :【実名】 【クローズ】 【スタンプ】

 

つまり、コミュニケーションに対する考え方が違うのです。

 

既存のSNSでは、友達の輪を広げようとする考え方で設計されていますが、家族や気心の知れた友人と、コミュニティ/学校といった公開内容を限定すべき知人が混在する事によるトラブルが生じている一面もあります。

 

一方、『LINE』では電話帳のアドレス範囲内で公開するクローズド戦略を採っており、親密な相手に絞りコミュニケーションを深める方向性で差別化しています。

 

それでは、なぜ『LINE』がこれほど急速に広まったのでしょうか?

 

ヒット要因を考えるに当たり、外的要因(環境条件)/内的要因(商材と組織)/誘発要因(マーケティング戦略)の3要素から考えてみたいと思います。

 

外的要因としては、東日本大震災でメッセンジャーツールの重要性が認識される中、スマホシフトの波に上手く乗った事が挙げられます。スマホ同士で無料通話と無料メールができるというのは、多くの人にまず入れておくべきアプリとして認知された点が大きいでしょう。

 

内的要因としては、スマホに特化したアプリで、中高生やお母さんにも無理なく使える操作性を追求した点が挙げられます。これは綿密な分析と検証テストによって、ヒットのカギは「オープンでパブリックな状態」の実現にあると導き出した上で、ネットリテラシーが高くない「非IT系」「初心者層」にターゲットを絞る下克上戦略が採られました。

 

そして組織体制では、韓国・NHN本社から来たエンジニアが、「 LINEチームの開発スピードは異常だ!」と言わしめるほど、素早い開発が特徴です。

 

リーダーが最終決断を下すも、企画/開発/デザイン/マーケティング担当者が日々のデータを見て、やるべきことを判断しながらPDCAサイクルを高速回転して自発的に動いていると言います。スピード感が顕著に現れている例として、プロジェクトでは、1〜3ヶ月先の計画しか立てていない点でしょう。彼らは、半年〜1年先の計画に沿って開発しても成功する保証はなく、流れの中で決める方が良いと言います。

 

誘発要因としては、タレントのベッキーさんを起用した印象的な広告や、映画『スパイダーマン』上映に合わせた公式アカウント・プロモーション、ゲーム/画像/写真と連動したサービス展開など、常に話題づくりを進めている点でしょう。

 

つまり、『LINE』は偶然ヒットしたのではなく、世界のプラットフォームを目指し、綿密な分析/マーケティング/企画/戦略に基づき、実験/開発/修正のサイクルを圧倒的スピードで回しながら既存SNSが追求していない点を深掘りして、成功をつかんだと言えるでしょう。

 

さて、さらに成長をしていくために『LINE』の今後の戦略は、どうすべきなのでしょうか?

 

すでに『LINE』ユーザーは、日本:46%、グローバル:54%となっており、早い段階からグローバルでの普及が先行していたので、世界展開を加速する方向性はおそらく間違っていないでしょう。

 

収益源は、当初は公式アカウント発行手数料やスタンプの有料販売収入が中心でしたが、最近では『LINEチャンネル』サービスをプラットフォームとして、ゲーム/占い/電子書籍/クーポンといったコンテンツを外部企業との協力によって、無料/仮想通貨『LINEコイン』を使って提供しています。
また、音楽配信やネット通販も準備が進んでいると言います。

 

このように『LINE』は、どんどん新しい事にチャレンジしています。失敗することもありますが、失敗しても圧倒的スピードでリカバリしながら展開しているだけでなく、同時に収益源も確保しながら進めているので、今のところ弱みらしい弱みは見当たらないと言えるかも知れません。

 

不安要素があるとするならば、アプリの流行期間が約3年であること。これは中高生の学生生活期間が3年であることと無関係ではないでしょう。

 

飽きられないように流行の周期に追従しつつ、成長に合わせ新生活にも使えるショッピングモール的でありながら、同時に故郷のような安心感も得られるポータルサイトづくりを進めることがひとつの選択肢としては考えられるかもしれません。

 

さて、皆さんでしたら『LINE』について、どのような戦略を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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