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2012/12/12配信分

グルーバル感覚 マーケティング

いかに世界に認められるクリエイションを創り出すか?

最近、日本のクリエイションが海外で評価されています。

 

今回の【MBAホルダーの視点】は現代アートで世界から評価されている、ポップアートを中心とするアートの総合商社『カイカイキキ』代表の 村上 隆 氏、デジタルテクノロジーアート作品を中心とするウルトラテクノロジスト集団『チームラボ』を率いる 猪子 寿之 氏を取り上げ、停滞する日本が元気になるヒントを探っていきたいと思います。

 

村上氏は、ニューヨークMOMAにも作品が展示され、フィギュア作品がオークションで高額落札されるなど世界で活躍していますが、日本で作品が展示されているのが『金沢21世紀美術館』のみであり、世界に比べて低評価が目立ちます。

 

しかし、米国のライフスタイル雑誌【Complex(コンプレックス)】調査によると「存命する芸術家の長者番付TOP15」で、1位 Damien Hirst(英国)(10億ドル)、2位 Jeff Koons(米国)(5億ドル)、3位 Jasper Johns(米国)(3億ドル)に対し、村上氏が6位(1億ドル)にランクインしており、商業的に成功していると言えます。

なぜこのような成果を上げることができたのでしょうか?

 

村上氏の著書【創造力なき日本:アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」】では、示唆に富んだ指摘が示されています。

 

村上氏は自身の画力にコンプレックスがあり、もし 宮崎 駿 氏や 大友 克洋 氏みたいに画力があれば、大衆芸術の世界で活躍して己の才能を開花させることに集中していたであろうとして、画力が無いことが現代アートの世界に進ませたと言います。

 

その大衆芸術と純粋芸術の違いとは何でしょうか?

 

村上氏が代表を務める『カイカイキキ』では、多くの美大生が集まっていますが、最初の指導は、5つの挨拶「おはようございます。失礼いたします。ありがとうございました。お先に失礼します。お疲れ様でした。」の徹底です。なぜ挨拶の徹底なのでしょうか?それは、芸術作品には乗り越えるべき領域があり、その領域に踏み込むには、「形なくして心は伝わらない」という基本を認識するために挨拶が重要だというのです。

 

『カイカイキキ』に集まる若者が最も困惑するのは、芸術家として生きていくことは、社会的ヒエラルキーの最下層から逃れられない生き方を許容するアイデンティティであると言います。これは、純粋芸術の場合、顧客が大金持ちであり、相手と自分との価値観の違いを乗り越えてでも、相手・顧客に理解してもらう客観性が求められ、営業してでも売らねばならないことから来ています。

 

そのためには、おもてなしの心と受け手へのサービスだけでなく、忙しいクライアントからの少ない情報量から真の要求をリサーチすることが求められてくるのです。

 

つまり、大衆芸術とは表現したいモノを表現できて時代を牽引し、現代に生きる人たちに崇められている一方で、純粋芸術とは、表現すべきモノを表現して一部の人に認められる特殊職業であり、今生きている大衆には決して認められにくいものだと言うことができます。

 

村上氏の作品が評論家やオタクたちから罵詈雑言が浴びせられているのは、純粋芸術であるからこそでしょう。それに耐えられるのは、作品は死んでからが勝負という発想があり、歴史に残る作品を造り上げる事が唯一の成功として、だからこそ『カイカイキキ』を300年残る集団にしたいと言うのでしょう。

 

また、村上氏は、日本のクリエイションに元気が無くなったことに対して興味深い指摘をしています。

 

それは、今の日本は、デザイン/コンセプト/機能などを合議するほど悪い修正が重なり、ほどほどの弱いモノしか生み出せない状況に陥っているということです。本来、とんでもないモノ、既存の概念に無いモノ、多くの人が嫌悪感を感じるほどクリエイティビティを追求したモノ、新しい世界を創ろうとする執念によるモノしか、世界では勝てないのだと言い切ります。

 

そして絵画における成功パターンには、「天才型」「天然型」「努力型」「戦略型」「偶然型」「死後型」の6つがあり、普通の人が「努力型」「戦略型」で成功を導くには、以下の4つの座標軸を満たす事で成功の確率が高まると考えます。

 

(1)構図:目でスキャンしやすい構造
(2)圧力:作品制作に対する執念、異常なまでの執着力
(3)コンテクスト:文脈として凄い意味を持っていると考えさせるインパクト
(4)個性:評価されるための個性、作るべきブランディング

 

『チームラボ』猪子氏も、日本と世界のアートの違いについて述べています。
アートは西洋が文脈となってコンセプトを重視していますが、日本人は無駄に手が込んでいるモノや、無駄に情報量が多いモノを好む傾向があります。

 

このため、猪子氏は作品をチームで作り込んでいく際、徹底的にコンセプトの斬新さにこだわり、視覚効果として、建築家や理論数学者やCGアニメーターという各分野のプロを配してクリエイションを進めているのです。

 

つまり世界に認められるモノを創るには、基本を守り、技術を磨き、コンセプトとターゲットを絞り、何度も執拗に繰り返し、神懸かり的な偶然性を引き出すチームマネジメントの在り方が成功の鍵と言えそうです。

 

村上氏は、チームに対して厳しい修業の中から創造性を引き出させるタイプであり、猪子氏は、チームのプロフェッショナルから創造性を共同作業で組み上げていくタイプと言えるでしょう。そして両者に共通するのは、世界に通用するコンセプト作りと作品完成への執着心です。

 

世界が認めるクリエイションの事例からも、ビジネスにおいて学ぶことが多くあります。ご自身のビジネスをさらなる高みに上げるためにも、ぜひ普段あまり関わることのない分野について情報に触れてみてください。
面白い発見があるかもしれません。

 

さて、皆さんでしたら、世界から認められるクリエイションを創りだしていくために、どのような方策を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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