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2013/07/31配信分

グルーバル感覚 論理思考

ウナギの食文化を守るには?

今年の「土用の丑の日(7/22、8/3)」は、例年にも増してウナギが高騰しており、多くの鰻蒲焼老舗店が廃業に追い込まれています。ウナギが高騰しているのは、稚魚(シラスウナギ)の漁獲量が激減して、絶滅危惧種に指定されかねない状況に陥っているためです。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、ウナギ養殖業(養鰻業)を取り巻く状況から、ウナギの食文化をいかに継続的なものにできるか考えてみたいと思います。

 

今年3月に開かれた『ワシントン条約締約会議』では、「ニホンウナギ」が規制対象になることは見送られましたが、次回開催される2016年春には、規制される可能性が高いと言われています。

 

そもそもなぜ、ウナギの食文化が日本にここまで根付いているのでしょうか?
まずは歴史的背景を見てみましょう。

 

「土用の丑の日」にウナギを食べるようになったのは、江戸時代の蘭学者:平賀源内(1728年-1780年)が、夏の売上げ低迷に困っていた鰻屋の相談に対し、「丑の日だから『う』のつくものを食べると縁起が良い」という語路合せと、「精のつくウナギは夏を乗り切るのに最適」というセールスポイントを考えたのが始まりという説が有力です。

 

今の時代でいうと、いわゆる「〇〇日(記念日)」マーケティングです。

 

以来、200年以上に渡り、このマーケティングが成功し続けているのです。
本来、ウナギの旬は、秋から冬ですが、夏のこの時期に年間の約4割が消費されます。

 

ウナギの養殖が始まったのは1879年ごろ、養鰻業者は、天然ウナギの稚魚を購入して成魚に育てて出荷します。稚魚の漁獲量と取引価格は、2003年:25トン(20万円/kg)だったものが、2013年:12トン(250万円/kg)と、この10年で10倍以上に高騰しました。稚魚1kgで5,000匹分に相当するので、1匹の稚魚が500円にもなります。近年では技術向上により、生存率は7割と言われ、半年〜1年後に成魚として出荷されます。

 

ちなみに世界で漁獲されるウナギの7割を消費する日本ですが、輸入されるウナギ(加工品含む)には、いくつかの種類と主要出荷国があります。

 

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●ジャポニカ(ニホンウナギ)
・中国
●アンギラ(ヨーロッパウナギ)
・中国:約5,894トン ※ジャポニカと合算
・フランス:約27.4トン
●バイカラ
・インドネシア:約1.4トン
・オーストラリア:約8.6トン
●ロストラータ(アメリカウナギ)
・アメリカ:約8.7トン
(出典:アエラ2013年7月29日号、2011-2012年データ)
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輸入の99%は中国からの輸入に頼っています。現在高騰しているのはそのジャポニカですが、他の品種も高値傾向に誘導されているようです。

 

さらには2008年「国際自然保護連合(IUCN)」がヨーロッパウナギを絶滅危惧種に指定しました。2012年に日本の環境省がニホンウナギを絶滅危惧種に指定し、「IUCN」も7月から検討を始めています。

 

一方で「IUCN」は輸出許可証による商取引を可能としています。そのため、ヨーロッパウナギの稚魚を中国で養殖し育て、加工品として日本へ輸出されることで、鰻蒲焼商品の供給量が激減しないのです。ウナギは未だに各国が漁獲量を管理できていない水産資源なのです。

 

ビジネスの世界では、ダイエーがウナギ高騰を予測し、昨年秋の安い時期に大量発注して対応し、西友も大量仕入れで価格を下げたりするなど、安価に安定供給する努力を続けています。

 

朗報としては、ウナギの完全養殖に向け、研究開発が進んでいる事が挙げられます。

 

2009年、東京大学海洋研究所と水産総合研究センターが、西マリアナ海嶺南端部の海山域がニホンウナギの産卵場所である事を突き止めました。また、ヨーロッパウナギは、大西洋のサルガッソー海で生まれていることがわかっています。

 

2010年、水産総合研究センター養殖研究所:田中 秀樹 氏が、完全養殖に成功しましたが、卵→幼生(レプトセファルス)→稚魚(シラスウナギ)→成魚のサイクルのうち、幼生の餌が不明で9割が死んでしまうという状況でした。2012年、塚本 勝巳日本大教授が率いる東京大学チームが、この餌を解明し、幼生の9割が育つまでになり、実用化に向けて大きく前進しました。

 

政府では、2020年までに天然資源に頼らない完全養殖の大規模商業化を実現する方針を打ち出しています。

 

以上のことを考えると、ウナギが食べられなくなる可能性が高いのは、2016年〜2020年の約5年間となりそうです。とはいえ、ウナギ資源の保全に向けて、施策を採ることが必要です。

 

まずは、『ワシントン条約』での絶滅危惧種指定を前提としたスケジュールで、
JAS法の品種記載を追加し、ウナギ資源保護の視点を広めつつ、品種を超えた漁獲量の管理を率先して進めるべきでしょう。

 

ビジネスの世界では、新たなメニュー開発や、品種毎に最適な蒲焼技術の向上、消費時期の分散化など、消費スタイルの多様化と、ウナギの過剰な使用量を減らす方向を進めるべきでしょう。農産品・畜産品・水産品の食料資源に対して、科学的に管理して育てて得るというのが基本的な考え方ではないでしょうか。

 

今の時代、確実に供給より需要が上回る商品・サービスは少ないです。
完全需要が見込めているなら、どう供給するかです。

 

皆さんでしたら、ウナギ資源保護を担保しながら、どのようにして世の中の需要に応えていきますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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