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2012/06/27配信分

グルーバル感覚 マーケティング 経営戦略

エナジードリンクのマーケティング

最近、エナジードリンク市場がにぎわっています。

大手飲料メーカーによる海外ブランドの参入などで、選択肢が増えただけでなく、今や若者だけでなく主婦までもが「レッドブルる?」という合言葉が登場するほど、浸透しているようです。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、エナジードリンクのマーケティング戦略にスポットを当てて、マーケティング戦略のスキルを活かして、どのような背景からブームになっているのかを紐解いてみたいと思います。

 

まずは、エナジードリンクのトップブランド『レッドブル・エナジードリンク』ですが、船井総合研究所シニアコンサルタント:笠井 清志 氏が、興味深い分析を示しています。

 

『レッドブル・エナジー・ドリンク』は、日本での医薬部外品の許可を取得せずに、炭酸飲料として商標登録されています。その理由は、医薬部外品には、『リポビタンD』や『アリナミン』や『ユンケル黄帝液』などの強いブランド商品が立ち並び、新規参入が難しい状況にありました。

 

しかし、炭酸飲料と商標登録されたお陰で、コンビニの販売スタッフが一般飲料として冷温什器に陳列した事で、結果的にコーラや緑茶の隣に並ぶこととなり、ユーザーに「新しい飲料が発売された」と認知させる事に成功したのだと分析しています。

 

ところで、『レッドブル』は、どのようにして誕生したのでしょうか。

 

1970年代、原形となる栄養ドリンクを開発したのは、タイのTCファーマシューティカル・インダストリー社の創業者:故ChaleoYoovidhya(チャリアオ・ユーウィッタヤー)氏でした。

 

当時、タイでは『リポビタンD』が市場を席巻しており、TCファーマシューティカル社では、低所得者向けの製品で攻めますが、シェア10%という状況が続いたようです。

 

アジアで市場が成形されていた栄養ドリンクに注目したオーストリア人のディートリッヒ・マテシッツ氏が、欧米でもビジネスが成り立つと考えて調査を始めます。
そして、1984年、TCファーマシューティカル社から国際的な販売権を獲得したマテシッツ氏は、日本の『リポビタンD』の成分を参考にして、独自の配合で改良し、商品名を『レッドブル』として販売開始しました。

 

『レッドブル』の最初の宣伝方法は、トラック運転手に無料サンプルを配布して、徐々に広めるという方法を取りました。また、ドリンク剤の成分と分量は、各国の法規制とマーケットに応じて変えています。こうしたマーケティングによって、『レッドブル』は、今や世界160ヶ国で39億本(2009年)を売り上げて、エナジードリンク世界シェアNo.1となっています。

 

日本市場に参入したのは2005年、クラブやバーなどでの販売から始めました。
そして翌年2006年からは、コンビニエンスストアでの本格販売を開始しています。

 

日本市場での戦略は、スーパーや量販系の販売チャネルでは販売せずに、コンビニエンスストアに絞り込み、おしゃれな栄養ドリンクというポジションをキープすることでした。マーケティング活動は、『レッドブル』の派手なペイントを施した【BMWミニ】で移動しながら、モデル風の女性が各地でサンプルを提供する活動を、今でも継続しています。

 

日本市場で『レッドブル』がブレークしたのは、2009年に185ml(200円)の小型サイズを発売した事がきっかけです。レッドブル・ジャパンによると、2008年に対して、2011年の売上高は実に6倍に急拡大しました。

 

この急成長を見た各社が次々と参入して、一気に市場が拡大します。アサヒ飲料『モンスター・エナジー』、日本コカ・コーラ『バーン・エナジードリンク』など、世界でヒットしている商品を、飲料メーカー各社が日本市場に展開する例が目立っています。

 

では、消費者はどのような時にエナジードリンクを飲んでいるのでしょうか。

 

【日経トレンディ:7月号】では、栄養ドリンクは、ユーザー年齢が高くて肉体疲労時に飲まれる事が多いのに対し、エナジードリンクはユーザー年齢が低くて気分を高揚したい時に飲まれることが多いと分析しています。

 

実際に『レッドブル』のサイトでは、「パフォーマンスを発揮したい時のために開発された機能性飲料」として、「ドライブの最中に」「講義や勉強の最中に」「職場で」「スポーツの最中に」「ビデオゲームの最中に」「お出かけの際、昼でも夜でも」という具体的なシーンを提案しています。

 

つまり、エナジードリンクは、体が疲れてなくても気分が疲れている時、気分を高めたい日常的なシーンで飲む事を想定したマーケティングを進めていると言えます。

 

さて近年、トクホなど健康機能に特化した飲料や、お茶/コーヒー/紅茶といった非炭酸系の気分転換を促す飲料が増えています。これらの飲料が、いわば「健康機能」「非炭酸系」という商品特性であるのに対して、エナジードリンクは、「気分転換」「炭酸系」という異なる商品特性を持ちます。

 

このエナジードリンクの商品特性が、若い人達/主婦/OLといったユーザー層のハートをつかみ、ライバルとなる商品特性のドリンクが見当たらないことから、エナジードリンクがブームで終わらずに、一定の市場を形成する可能性が高そうです。

 

時代背景から見ると、経済が落ち込み、人々も落ち込み、暗いニュースが多い世の中、なんとか気分を高揚したいという心理的欲求に、エナジードリンクが合致したとも言えます。今の時代、ヒット商品のカギとは「気分高揚」にあるのかもしれません。

 

さて、皆さんは、エナジードリンクをブームで終わらせないためには、何が必要だと考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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