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2012/05/16配信分

ITリテラシー 経営戦略

ソーシャルゲーム業界の方向性とは?

先日、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会に参加している6社「NHN Japan(株)」、「グリー(株)」、「(株)サイバーエージェント」、「(株)ディー・エヌ・エー」、「(株)ドワンゴ」、「(株)ミクシィ」が、『コンプガチャ(コンプリートガチャ)』の廃止を表明しました。

 

『コンプガチャ』とは、アバターやゲームで、アイテムやカードを出現させる際、1回100〜300円といったガチャガチャの要素と、これを数種類揃えないと、レアアイテムやレアカードが入手できないというコンプリート要素を組み合わせた仕組みのことを指します。

 

『コンプガチャ』は、各社の収益源だっただけに、業績悪化を懸念して株価が大きく下落する事態となっています。

 

今回のMBAホルダーの視点では、「問題解決」「経営戦略論」といったスキルを活用しながら、ソーシャルゲーム業界で何が起きているのかを分析して、業界の今後を考えてみたいと思います。

 

まずは、ゲーム業界の市場規模を見てみましょう。

 

国内のコンシューマーゲーム市場(家庭用ゲーム)規模は、近年、減少傾向にあります。

2006年:6258億円(ハード:2619億円/ソフト:3639億円)
2008年:5826億円(ハード:2505億円/ソフト:3321億円)
2010年:4938億円(ハード:1756億円/ソフト:3182億円)
2011年:4544億円(ハード:1797億円/ソフト:2746億円)

 

その一方、ソーシャルゲーム市場規模は、急拡大しています。

 

2008年: 49億円
2009年: 371億円
2010年:1400億円
2011年:2570億円

 

2012年は、任天堂(株)が初の営業赤字を計上する中で、ソーシャルゲーム市場規模は、3429億円(予想)とされており、本年度中にはコンシューマーゲームのソフトウェア市場を上回ると見られています。

 

その収益を上げる際に大きく貢献していたのが『コンプガチャ』なのです。
それでは、『コンプガチャ』の何が問題として指摘されているのでしょうか。

 

それは、『コンプガチャ』が消費者庁が景品表示法で禁じている「カード合わせ」に該当する可能性がある点です。実際は「カード合わせ」に該当するのかどうか調査開始が報じられているうちに「自主的に廃止する」という今回の発表がなされました。それが、様々な憶測をよぶことになっています。

 

他にも、4月末から、(株)サイバーエージェントが運営する『アメーバピグ』が18歳未満の利用を実質的に規制するなど、ソーシャルゲーム業界では、未成年保護策を強化する動きが広まっています。

 

このような混乱が起きている要因としては、日本のソーシャルゲーム市場が急速に立ち上がった為に

 

(1)未成年者保護の問題
(2)射幸心(しゃこうしん)を煽る問題  ※射幸心=可能性の少ない偶然の成功や、利益を願う気持ち
(3)RMT(リアルマネートレーディング)の問題

 

といった基本的な対応について、社会の認識と、企業側の不慣れな対応が引き起こした問題と見る事ができます。

 

これらの問題となったソーシャルゲームは、いずれも10〜30歳代の若いユーザーが多く利用していることから、未成年者保護と射幸心へ問題対象が絞られています。今後、別のユーザー層が利用するゲームについても、RMTに該当する事例が騒動を起こすかもしれません。

 

一方、世界のソーシャルゲーム業界を牽引している米国シリコンバレーでは、すでにこうした問題に対して、様々な規制やルールが運用されていますので、日本のソーシャルゲーム業界は次の成長ステージに向けて、問題の棚卸が必要なのかも知れません。

 

さて、規制やルール作りにおいて、最も難しいのは、射幸心への対応です。
射幸心とゲームの面白さは紙一重の関係にあり、射幸心を煽らないゲームは面白くないとも言えるので、その煽り加減が難しいところでしょう。

 

コンシューマーゲームの雄である任天堂は、古くから花札を販売している企業ですが、「カード合わせ」行為も花札に通じるものがあり、射幸心のコントロールに対しては、最も経験が豊かと思われます。ですから、今後登場するであろう様々なゲームに対して、アドバイス/チェック/ルール作りが出来る立場にあるとも言えるのではないでしょうか。

 

例えば、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会が自主規制を策定する場合、ユーザーや関係者の納得を得にくいと予想されますから、任天堂を第三者として招いてのガイドライン作りが有効になるでしょう。

 

今回、消費者庁の意向や動きに呼応した素早い対応は評価できますが、逃げ足が速いと見られてしまいます。政治問題化する前に、関係省庁との関係構築と、ガイドライン作りに警察庁(国家安全委員会)の確認を得るなどしながら、成長に急ブレーキが踏まれないようにするリスク回避が必要です。

 

そのためには、怪しいグレーゾーンを踏みながら、いざとなったら逃げを打つのではなく、世界のソーシャルゲーム業界を牽引しているシリコンバレーに習い、ゲームの質的レベル向上と、社会的企業としての健全性を目指すべきでしょう。

 

さて、皆様が、ソーシャルゲーム企業の社長だったら、どの様にして今回の問題に対応しますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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