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2012/07/11配信分

組織人事 経営戦略

リクルート社の戦略とは?

先日、リクルート社が中長期戦略の中で、上場を目指すと報じられました。

 

さまざまな憶測が流れる中、今回の『MBAホルダーの視点』では、経営戦略と情報リテラシーのスキルを活かし、リクルート社が今まで上場しなかった理由と、今回、上場を発信した目的を紐解きながら、上場の意味を探っていきたいと思います。

 

まずは、6月22日の株主総会で示された経営方針では、

 

連結子会社:99社
持分法適用会社:9社
連結売上高:8066億円(2012年3月期)
経常利益:1176億円(30.4%増)(2012年3月期)

 

という大幅増益を発表しました。

さらには、今年10月に、持株会社『リクルートホールディングス(HD)』に称号変更すること、そして今後の経営方針の1つとして上場について触れました。

 

かつて2年ほど前、大前研一学長は【リクルートが上場する道、しない道】
と題して、リクルート社が採るべき戦略を指摘していました。

 

当時の解説では、リクルート社の歴史を辿りながら、主要事業のセグメントとして、人材関連:70%、販促支援:25%、その他:5%であり、バランスシートの純資産比率:約50%と超優良であり、かつ、毎年1000億円程度が積み増されている状況では、わざわざ上場する必要性がないと言いました。

その上で、リクルート社の最大株主は、社員持株会:約20%であり、上場すると大金が舞い込む社員が続出して、リクルート社最大の武器である社員の勤労意欲が削がれる危険性が心配されるために上場しない判断もあるのではないかと指摘していました。ただ、その一方で、創業以来「上場するかもしれない」と期待して株を持ち続けている社員・元社員もいるようです。

当時のリクルート社は、主要事業の国内人材派遣業界では、2位のパソナグループの倍以上の売上高を持つダントツ1位であり、これ以上大きくなると独占禁止法に触れてしまうだけでなく、業界全体が頭打ちの市場の中で、成長戦略が描きにくくなっていました。

続く販促支援のセグメントでは、住宅・結婚・生活情報・国内旅行・生徒募集と多岐に渡り、いずれも数百億円規模の売上高で市場規模拡大は限定的です。また、中国をはじめとする海外進出をみても、特定のサイト運営など、本格的な進出状況ではありません。

 

そんな中、大前学長が打ち出した案は、2つありました。

1つは、抜群の人材と有望な子会社を武器に、子会社を次々に上場させて、リクルート社の株を持っていれば子会社の株を付与する事で、社員には配当もしくは売却益で期待に応え、リクルート社はインキュベーターとしてのポジションと、ベンチャーファンドとしてのポジションを狙うというものです。

もう1つは、上場による時価総額が2兆円を下らないであろうことから、世界的企業を買収して世界一を目指すというものです。当時の売上高ランキングで、リクルート社は世界5位でした。そのM&A候補としては、世界的人材派遣企業のトップ3である、アデコ社(スイス)、ランスタット社(オランダ)、マンパワー社(米国)を挙げ、M&Aによって世界一の巨大サービス企業のポジションを狙うというものです。

 

さて、これらの情報を念頭においた上で最近の状況をみると、興味深いことがわかります。

 

昨年末、リクルート社は、米国人材派遣会社の『アドバンテージ・リソーシング社』とグループ会社(欧州・香港・シンガポール等に拠点)を4.1億ドル(約320億円)
で買収して、世界4位の人材派遣会社へと躍り出ました。

更には、先述の株主総会で『リクルートホールディングス(HD)』に称号変更すると発表した事は、M&Aの推進や、子会社を上場させるためには、有効な方法です。

つまり、代表取締役社長兼CEO:柏木斉氏が目指しているのは、双方の道を狙う戦略であることが読み取れます。

 

多くの人の記憶に残っているリクルート事件ですが、創業者の江副 浩正 氏が著した【リクルート事件・江副浩正の真実】では、東京地検特捜部のシナリオに基づく捜査方法や非人道的な取り調べ方法を克明に記して、その横暴ぶりに触れていました。また、未公開株の譲渡が行われた1984年当時は、未公開株の売買に関する法的整備が成されておらず、「グリーンシート(気配公表銘柄制度)」が適用されて、未公開株が売買可能となったのは、1997年7月からでした。そして、2003年3月に東京地裁で有罪判決(懲役3年執行猶予5年)で結審し、事件は幕を閉じました。

 

すでに江副氏が去りながらも、すべてのけじめがつくのを待っていたかのようなタイミングで発信された躍進計画には、苦難の時期があったからこそ、それをバネに更に大きくジャンプアップしようとする意思が感じられます。

 

『リクルートホールディングス(HD)』としては、M&Aで人材派遣企業の世界No.1を狙い、子会社の上場で株主の期待に応え、インキュベーターやベンチャーファンドとしての役割を強化することで、その国の経済を元気にできるかもしれません。
その上で、『リクルート本社』が上場する際には、“世界を元気にするため”という言葉を高々と掲げ、歴史に名を刻んで欲しいものです。

 

さて、皆さんが、柏木社長の立場だとしたら、どのようにしてリクルート社の世界化を目指しますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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