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2012/08/08配信分

グルーバル感覚 経営戦略

北欧版100円ショップチェーン店の戦略

7月21日、北欧デンマークの雑貨チェーン店『Tiger(タイガー)』が大阪・アメリカ村に開店しましたが、予想を超える来客のため、わずか3日間で、臨時休業に追い込まれたというニュースがありました。

 

『Tiger(タイガー)』という名前を聞いたことがない方も多くいらっしゃるのではないかと思いますが、その雑貨チェーンがそこまで人を惹きつけた理由はどこにあるのでしょうか?

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、「北欧の100円ショップ」の異名を持つ『Tiger』が大阪で多くの人を惹きつけた理由を分析しながら、大阪を皮切りに世界に向けてどのような方策を打っていく可能性があるのかを探っていきたいと思います。

 

そもそも、『Tiger』とはどのような雑貨チェーン店なのでしょうか?

 

報道によると、食器/文具/キャンドル/時計/花瓶など7,000点のアイテムを誇り、毎月300アイテムを入れ替えて売り切れても追加生産はしないという方針のもと、鮮度維持を重視する販売スタイルをもつ店だと紹介されています。

 

日本の1号店では、1,000アイテムからスタートし、3ヶ月後に2,000アイテム、半年後に2,800アイテムに拡大していくようです。商品はいずれも色鮮やか、おしゃれなデザイン、ユニークな商品が多いことが特徴で、価格も10クローネ(150円)〜20クローネ(300円)の低価格が中心。1,000円を超える商品は見当たりません。

 

同店は、欧州15ヶ国に150店舗を展開し、今回はアジア初進出先として日本の大阪を選びました。

 

大阪を選んだ理由として、『Tiger』を運営するゼブラジャパン(株)代表取締役クラウス・ファルシグ氏は、次のようにコメントしています。

 

「東京は、それぞれ特徴的なエリアがたくさんあり、1店舗をオープンしても、限定された地域のものになって埋もれてしまう危険性がある。大阪ならば、都市のサイズが東京よりもコンパクトなので、1店舗をオープンしてもエリア全体からお客さんに来てもらうことが出来るので広く知れわたると考えた」

 

クラウス氏は京都に留学した経験を持ち、日本文化に明るく、関西進出のメリットを、ゼブラ本社CEO:レナート・ライボシツ氏に進言したようです。

 

大阪進出のメリットを補足すると、日本貿易振興機構(ジェトロ)や、大阪商工会議所のサポートを受けながら出店できたという点も見逃せず、東京ではそういったサポートを得ることはできなかったであろうといいます。

 

そうして大阪に進出することになった『Tiger』が今回の臨時休業をせざるを得なくなった要因のひとつとして、近くに出店する北欧ファッションブランド『H&M』と自社を比較した際に、知名度の低さ、雑貨店という性格上、来客数を実際の来店者数の半分になるのではないかと見積もってしまった点にあるという話もあります。

 

しかし、実際は開店前から様々なメディアが取り上げ、店名の『Tiger』が『阪神タイガース』を連想させたこと、商品がカラフルな色使いを好む関西人の心をとらえたことが、来客増加につながったようです。オープン初日に1000人以上が訪れ、最大2時間の入店待ちと1時間のレジ待ちとなり、開店に合わせて来日していたレナート氏も驚きました。

 

これらが複合的に作用して、臨時休業をせざるを得なかったと言えそうです。

 

1号店の初年度売上目標は1億円。店舗は、欧州と同じ造りですが、2号店以降で日本仕様を取り入れるようです。大阪に合計3店舗を出店した後、2013年に東京へ出店する計画で、すでに各地から引き合いがあり、日本市場では100店舗単位が期待できると言われています。

 

ところで、そもそも『Tiger』が日本に進出した理由とは、何なのでしょうか?

 

レナート氏とクラウス氏は、その理由について、「ビジネスのためだけに来た訳ではない。日本とデンマークは、デザインとクオリティにこだわる国民性が似ており、デンマーク文化とデンマークの良さを日本でシェアしたい」とコメントしています。

 

ただ、様々な情報を収集・分析してみると、日本進出を足掛かりにして、世界進出を目指している可能性がうかがい知れます。

 

まず環境的なメリットを見てみると、日本市場が多くの商品を製造している中国に近いだけでなく、海外でのマーケティング力を鍛えるには魅力的なユーザー層を有する地域だと言えることが挙げられます。

 

そして日本進出を決断したひとつの理由としては、『Tiger』で日本のデザインをモチーフにした商品に人気があること、日本では北欧デザインが受け入れられていることから、相互交流でビジネスを拡大させ、商品開発のアイデアも集められるためだということが挙げられそうです。

 

さらに、出店計画をみると店舗数拡大が『1店舗⇒3店舗⇒(10店舗⇒30店舗)⇒100店舗』とチェーン店拡大の基本的なプロセスを踏んでいる点や、1号店で日本市場を分析しながら店舗設計/商品選択/顧客誘導等の検証を進め、2号店以降に展開して成功させようとしていることからも、ケーススタディとして日本市場を捉えている可能性が考えられるのではないでしょうか。

 

『Tiger』の現状店舗数に日本の100店舗が加われば、総売上高倍増が期待できるでしょう。

 

さて、日本で『Tiger』が成功を収めた場合、次は世界化を目指していくのではないかと考えられます。その場合、どのような戦略が考えられるでしょうか?

 

北欧ブランド各社の出店状況を見てみると、『IKEA』が約40ヵ国330店舗(2011年末時点)、『H&M』が約37ヵ国2,350店舗(2011年度末時点)となっています。『IKEA』は1人当り国民総所得25,000ドルを超えた国や地域への店舗展開と、それ以下の国に対するネット通販をすることで対応しているようです。

 

そういった情報をもとに考えると、『Tiger』の戦略としては、以下の3つの案が考えられるのではないでしょうか。

 

(1)『IKEA』同様、進出国の条件『一人当たり総所得25,000ドル以上』を満たした富裕層が多い地域/都市のうち、『IKEA』が成功している地域/都市を厳選して進出する。

 

(2)該当地域の文化を知り尽くしマーケティング調査力に長けた人材として、ベルギー人の該当地域への留学生に加えて、欧州に留学経験を持つ該当地域の人材や該当地域での北欧企業経験者を登用する。

 

(3)『IKEA』『H&M』に追従するようにエリア近隣に出店して、人材/商圏/情報のハブを北欧ブランド企業同士で構築する。

 

といった事が考えられるのではないでしょうか。

 

さて、皆さんが『Tiger』を運営するゼブラ社のCEOでしたら、どのようにして世界化を進めますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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