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2013/10/23配信分

経済原論 財務

国家戦略特区が目指すべきモノ

安倍政権が進める「アベノミクス」第3の矢である成長戦略ですが、甘利 明経済財政・再生相が『国家戦略特区』について、年末〜年明けにも決まるという見方を示しました。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、国家戦略特区について取り上げ、その在り方を考えてみたいと思います。

 

アベノミクスの3本の矢とは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」となっています。

 

賛否両論呼んでおりますが、例えば経済学者の小幡 績 氏は、アベノミクスに対し、第1/第2の矢は既得権益者を守り、効率良く短期的に効果を出す点で一致しており、第3の矢は命題と対処がそもそも間違っていると指摘しています。

 

これらは、今まで多くの政権が打ってきた経済政策が失敗続きであることから見ても明らかです。唯一、この経済政策が有効なのは、高度経済成長期です。
労働者も消費も需要も右肩上がりの経済状況下ならば、設備投資で拡大生産しても廻ってくれたのです。

 

逆に、長期縮小の経済状況下では、成長戦略そのものを疑う視点が必要でしょう。

 

例えば、アメリカが打つ成長戦略は、古い産業と企業が衰退するのに任せ、新しい産業と企業へと主役が入れ替わることを求めています。一方、アベノミクスでは、第1/第2の矢が既得権益者を守り、第3の矢が新しい産業を支援するという、自己矛盾の構造となっています。

 

本来、アベノミクスが解決しなければならない日本の問題は、3つに集約されると考えられるのではないでしょうか。

 

1:少子高齢化を中心とする人口動態
2:巨額の累積財政赤字
3:企業収益力の低下

 

財政再建には、歳入/歳出の抜本的構造改革だけでなく、人口動態と企業収益の改善によって経済成長率を引き上げる事が必要です。歳出問題の多くを占める社会保障制度改革には、増え続ける高齢者に対する対策だけでなく、人口動態そのものを改善する方策も必要です。

 

企業収益力が改善すれば、各種税収が増加します。つまり、日本の問題とは、それぞれがリンクして複合問題化しているので、個別対策では解決が期待できないのです。

 

しかし今回の国家戦略特区の特徴は、投資を外国企業に求める姿勢が顕著に出ている点が気になります。

 

先頃、「解雇特区」と揶揄された雇用形態の流動性を高める特区は、国会提出時に適用職種が限定されましたが、外資系企業にこそ必要なものでしょう。医療の混合診療許可も、外国人が受診しやすくするための方策と言えます。JR田町駅〜品川駅間の操車場跡地に一大ビジネス拠点を作ろうとする「アジアヘッドクォーター特区」では、入国・再入国審査緩和などがセットされ、外国人就業者を集めるハコモノと縦割行政置換えというハードウェア寄りとなっている点が目立ちます。

 

ちなみに日本の「特区」は、630箇所ありますが、世界には、135の地域に約3000の経済特区があると言われています(2008年)。残念ながら、世界銀行のレポートでは日本の構造改革特区/沖縄の経済特区は、1箇所もカウントされていません。
日本の特区は規制撤廃されていない点でグローバルスタンダードではないためです。

 

果たして、どういう点が欠けているのでしょうか?

 

2013年10月1日から、中国上海で『自由貿易試験区』が始まりました。これは、サービス産業を中心に規制緩和するものですが、4つの特徴が挙げられます。

 

1:「ネガティブリスト」による管理。禁止される36項目(レアアース採掘、武器弾薬製造、ニュースサイトへの投資など)と、生産品目と合弁出資比率などの制限を除き、事前審査・認可を不要にして活動に制限を設けない。
2:貨物物流をスムーズにする「境内関外モデル」の導入。
3:外部競争者の参入で国民への利益を求める「サービス業の開放」。
4:金利の市場化により金融機構の業務モデルチェンジを促す「金融革新」。

 

これらは、いずれも中国経済の針路を探る目的が伺えます。加えて、中国各地で進められている経済特区では、英語や日本語を流暢に使える人材が豊富におり、外国人向け市民サービスの施策も打たれています。

 

本来、長期縮小市場において取り組むべき戦略は、競争の原資となる人材育成とスキルアップです。しかし、現時点での特区申請内容をみると、今あるモノを、再生・強化・利用するという視点がほとんどではないでしょうか。

 

そして、特区に投資するからには、その土地でなければならない理由が必要です。
例えば、近くに市場が存在する、人材が集まる、アイデアとベンチャーとエンジェルが刺激し合える環境がある、物流や交通のハブであるといった具合です。

 

また、官に求められるのは、民間が解決困難である課題を取り除く役目に徹し、規制撤廃を導入し、民間主導に任せる視点だと言えるのではないでしょうか。

 

アベノミクスの内容は計画経済を標榜しており、複合問題に対してアイデアを外部募集し個別最適を目指しているように見えることから、真の成長戦略ではなさそうです。

 

我々ビジネスパーソンは、来たるべき民間主導に備え、スキルアップしていく必要があると言えるでしょう。

 

さて、皆さんは、成長戦略としてどのような施策を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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