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2013/02/13配信分

経営戦略 経済原論

地方都市・地域の再生・復興をするには

最近、「ゆるキャラ」「ふるさと納税」など、地方都市や地域に関するキーワードが目につくようになりました。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、地方都市・地域の再生や復興をテーマに取り上げ、その成功のカギについて考えてみたいと思います。

 

まずは、地方・地域に関する主な出来事を見ていきましょう。

 

●1980年代後半:全国各地で「シャッター街」が顕在化し始める。
⇒2006年:中小企業庁が「がんばる商店街」として77の商店街を選定。
⇒2009年:中小企業庁が「新・がんばる商店街77選」を選定。

 

●1988年:「ふるさと創生事業」として全国の市区町村に対し、それぞれ地域振興資金1億円を支給。しかし結果的に無駄遣いと揶揄される。

 

●1997年:日本の消費ピークの年。以降、日本のあらゆる消費が減少し、金融資産の上昇傾向が続く。主な要因は、日本の人口動態の変化に伴い「少子化」「生産年齢人口減少」「高齢者増加」が顕在化した事が大きい。

 

●2006年:B級ご当地グルメの祭典「第1回:B-1グランプリ」が開催され、全国的に盛り上がる。

 

●2006年:「平成の大合併」が実施され、市町村が、3234(2003年)→1821(2006年)へと減少する。これにより、地方交付税の削減と権限移譲へ。
■明治の大合併(1888年):市町村が71314(1888年)→15820(1889年)へ減少し、地縁共同体から地方公共団体へ。
■昭和の大合併(1953年):市町村が9868(1953年)→3472(1961年)へ減少し、行政執行財源確保のため適正規模化へ。

 

●2007年:滋賀県彦根市のキャラクター『ひこにゃん』が選定され、全国各地のゆるキャラブームの火付け役とされる。

 

●2008年:「ふるさと納税」の導入。

 

分析をする際、こういった様々な事象から「要は何なのか?」と大局的に見て物事を捉えることが大切になってきます。今回の事象を俯瞰すると、以下の点に集約されるのではないでしょうか。

 

(1)行政視点では、市町村の数は明治以降、段階的に削減されている。主な理由は、財政的要因に起因する地方行政サイズの見直しである。

 

(2)マクロ視点では、1997年以降、日本の人口動態変化が顕在化して、消費衰退、金融資産上昇、デフレ経済を招いている。人口移動も流動化して、地方過疎化と都市集中化が進む。

 

(3)ミクロ視点では、単身世帯が増えて、地域の活動が希薄になっている。

 

これらを、構成単位の大小でみると、興味深い事が分かります。

 

●行政「自治体」:国>都道府県>市町村>地域>世帯
●マクロ「地域」:市町村>地区>近所>世帯
●ミクロ「世帯」:一族>大家族>核家族>単身世帯

 

自治体では、国や都道府県の権限が強くなり、市町村や地域は財政的にも行政的にも、立場が弱まっています。過疎化問題は、立場が弱い村から町や市へと広がりを見せています。

 

地域では、過疎化が進むと隣家が遠ざかり、町内会や自治会活動が弱まっていますが、都市部でも住人の入れ替わりが多く、近所付き合いや自治会活動が弱まっています。いずれも地域性が弱まる事で、世帯に閉じこもる傾向が強くなると言えそうです。

 

世帯では、単身世帯が増えており、個人で活動する機会が増え、相対的に地域の自治活動への参加が減少していると言えそうです。

 

つまり、いずれも「地域」が弱まる傾向が見てとれ、「国や都道府県」と「家族と個人」との間にある「地域」の中抜き状態が進んでいるのです。「地域」のコミュニティが希薄化すると、住民問題が起きても相談する相手が周囲にいないので、個人の人権を主張する傾向につながっているのでしょう。

 

この点をいかにクリアするかに、地方都市・地域の再生や復興の成功のカギがありそうです。

 

今まで地方都市や地域の過疎化問題を、行政が経済的問題として捉え、補助金や箱物を作る施策で失敗してしまうのは、人が作るコミュニティに注視していないためでしょう。逆に、地域再生の成功事例を見ると、多くがコミュニティの回復に注力している事が分かります。以下に、一例を挙げてみます。

 

■「島根県隠岐郡海士町」
人口2400人の離島に、250人以上のUターン/Iターンによる移住者と、以前からの居住者とのコミュニケーションが取れていなかった問題に対し、子供好き/環境問題といった共通の興味を持つ混合チームを組み、計画づくりから町づくりの担い手としてプロジェクトを進め、活性化しました。

 

■「鹿児島県鹿児島市:マルヤガーデンズ」
撤退した大手デパートに、マルヤデパートが入り、アウトレットやテナント店舗に混じり、市内で活動しているコミュニティ(おもちゃの病院/料理教室/各種スクール/写真展など)を呼び込むスペースを確保する事で、連日、多くの市民が集まり賑わっています。

 

■「大分県豊後高田町:昭和の町」
お客を失った商店街が、補助金頼みの様々な失敗の後、自分達が一番元気だった昭和の町に回帰する事で、全国からお客が集まるまでに。有志と商工会議所でスタートした事業が成功したのは、商店街全体の合意を取らず、賛同する店舗を徐々に増やしながら「駄菓子屋の夢博物館」「昭和の絵本美術館」「昭和の夢町三丁目館」といった展示施設やイベントで成功を積み重ねた事が要因です。やがて市による第3セクター方式へと進化しました。

 

こうした成功事例には、共通点があります。

 

◆「よそ者」「若者」「馬鹿者」やキーマンたちの存在があり、徐々にコミュニティを広げながら発展している。

 

◆地元が見過ごしていた産品/建物/立地/環境など、眠れる宝を見つけ出している。多くは、欠点やデメリットを、真逆の視点で活かしている。

 

◆最初から多額の資金をかけず、徐々に成功体験を積み重ね、お金が集まるサイクルを廻している。

 

つまり、地域再生においても、「人」「モノ」「金」に対するマネジメントが成功のカギを握っているのです。

 

この視点は、北欧モデルの成功要因として、地域が主体的に活動する為の方針「透明性」「IT化」「競争重視」にも通じますし、高い幸福度を感じる国の特徴として挙げられている地域の高い自主性にも通じます。

 

日本の再生には、地域のコミュニティを復活させるための自発的マネジメントの仕掛け作りを、道州制の実務レベルの方策として組み込む必要がありそうです。

 

さて、皆さんでしたら、地域を再生するためにどのような方策を考えますか?



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経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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