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2012/10/31配信分

経営戦略 論理思考

宝くじの売上を上げる方法を考える

今年の3月、宝くじに関する『当せん金付証票法』の改正により、1等最高賞金が最大250万倍に拡大(300円で最大7億5000万円)された事を受けて、「サマージャンボ宝くじ」の1等賞金が4億円となりました。

 

この法改正により、前後賞あわせて10億円になるのは時間の問題と言われるだけでなく、インターネットとコンビニでの宝くじ販売も認められ、射幸心を煽ると問題指摘されています。

 

法改正された要因として挙げられるのは、近年、宝くじの売上高が減少しており、2005年:1兆1047億円をピークに、2007年:1兆442億円、2010年:9190億円にまで落ちている状況があります。

 

法改正も効果的な打ち手なのかもしれませんが、それ以外に宝くじの売上高を上げる方法はないのでしょうか?もしあなたが宝くじの企画担当者であればどのようにするか?という視点で考えながら、話を展開していきましょう。

 

まずは、宝くじの売上高の現状を把握するために、宝くじに関するデータ(2007年⇒2010年)を見てみましょう。

 

【売上高の構成】
●ジャンボ宝くじ:4945億円(47%)⇒4440億円(48%)
(ドリーム/サマー/年末/オータム/グリーン)
●数字選択式くじ:3958億円(38%)⇒3538億円(38%)
(ナンバーズ/ミニロト/ロト6)
●その他:1539億円(15%)⇒1212億円(13%)
(ブロックくじ/復興くじ)
●合計:1兆442億円⇒9190億円

 

【宝くじ人口】
(18歳以上人口:1億568万人⇒1億632万人に対して)
●宝くじファン(月1回以上購入):1416万人(13%)⇒1424万人(13%)
●宝くじ経験者(年1回以上購入):4225万人(40%)⇒4186万人(39%)
●購入頻度不明:180万人(2%)⇒176万人(2%)
●1年間非購入者:2092万人(20%)⇒2205万人(21%)
●非購入者:2665万人(25%)⇒2641万人(25%)

 

【年間購入金額】
●宝くじファン:85,100円(2007年)⇒70,520円(2010年)▲17%
●宝くじ経験者:22,320円(2007年)⇒17,410円(2010年)▲22%
(出典:総務省「宝くじ活性化検討会説明資料」)

 

これらのデータから、宝くじの売上は「ジャンボ宝くじ」が半分を占める主力商品であり、近年の売上高が減少しているのは、宝くじ人口が減っているよりも購入金額の減少にあると言えます。

 

一方、高額賞金くじには、いくつかの競合商品があります。

 

【高額賞金くじ】
●ジャンボ宝くじ:売上高4098億円/1等最高賞金額:4億円/発売開始年1979年
発行:総務省所管「(財)日本宝くじ協会」
●ロト6:売上高2121億円/1等最高賞金額:4億円/発売開始年2000年
発行:総務省所管「(財)日本宝くじ協会」
●BIG:売上高 615億円/1等最高賞金額:6億円/発売開始年2006年
発行:文部科学省監督「(独)日本スポーツ振興センター」
●WIN5:売上高 —/1等最高賞金額:2億円/発売開始年2011年
発行:農林水産省監督「(特)日本中央競馬会」
●チャリロト:売上高 11億円/1等最高賞金額:12億円/発売開始年2008年
発行:経済産業省所轄「(財)JKA」施行者が委託「(株)チャリロト」

 

興味深いのは、各省庁がくじの売り上げを増やすために、購入方法と最高賞金額を競っている点です。

 

宝くじを売る側の視点に立つと、宝くじは所得税や消費税を増やさず、国民の反発を招くことなく税金が集められる道具という側面が見えてきます。

 

しかも、景気が悪化すると所得税や消費税は落ち込みますが、宝くじは景気が悪くなってもそれほど落ち込まず、不景気な時ほど格好の道具となるのです。
そういったことも理由のひとつとして考えられるかもしれません。

 

『BIG』では、コンビニとインターネット販売と、キャリーオーバーを組み合わせ、広告宣伝に力を入れています。『WIN5』『チャリロト』もインターネット販売とキャリーオーバーを組み合わせていますが、『チャリロト』では法令上の倍率上限が600万倍(他は200〜250万倍)と飛び抜けて大きい点が特徴です。

 

宝くじの売上高減少には、当然こういった競合製品の誕生による影響も考えられるかもしれません。

 

ところで、人はなぜ宝くじを買うのでしょうか?

 

アメリカの調査結果によると、年収1万3000ドル(約114万円)以下の家庭では、年間645ドル(5.6万円)を宝くじに費やしており、所得が低い人ほど、よく宝くじを購入することが明らかとなりました。

 

日本では、宝くじの払い戻し率が、2008年度:45.7%。当選確率や期待値を他のギャンブルと比較すると、論理的には買うべきではないと言えます。
それでも宝くじを購入するのは「夢をみる機会を得る」ためだと言われてもいます。

 

また、宝くじは購入する番号を決めらないので、心理的視点からみると、運を天に任せるという点で受動的と言えます。それでも、目の前の選択肢から選んで購入するので「コントロールの錯覚」を起こすことが考えられます。これは、飲食店のコースメニュー「A・B・C」の選択肢から選ばせると満足度が高まることに似ています。

 

また、宝くじは投資に比べると参加コストが低いため、ハイリスク・ハイリターンの商品でも喜んで買うと指摘されています。これは高額商品をローンで購入して返済する心理に似ています。

 

こういった作用が相まって、人は宝くじ購入に動くのでしょう。

 

では、宝くじの売り上げを増やすには、どのような施策が考えられるでしょうか?

 

例えば、ターゲットユーザーに合致した購入方法の導入、キャリーオーバーで高額賞金を設計、抽選のショーアップ、当選を身近に感じさせる広告宣伝、敗者復活によるファンに対する優遇策、「くじの収益金は社会貢献に活かされます」といったメッセージの発信などといった施策が考えられます。

 

競合製品との差別化、購買者心理の視点、世の中のトレンドなどを踏まえて考えると、より具体的な打ち手も見えてくるかもしれません。

 

さて、皆さんが宝くじの企画担当者ならば、宝くじの売り上げアップのためにどのような施策を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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