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2012/03/07配信分

論理思考

少子化問題について考える

日本の少子化問題が、深刻さを増しています。

 

果たして、日本の少子化の真の原因とは何なのでしょうか?

 

まずは、所得水準と出生率の関係を見てみましょう。
「今の若者が収入が低く、生活が大変だから安心して子どもを生むことができないのだ」といった論調の意見が聞かれることがありますが、それは本当なのでしょうか。

 

世界的には、一人あたりGDPが低いほど出生率が高い(2005年:世界銀行154ヶ国)というマイナスの相関が見られています。しかし、一方で先進国(OECD高所得国)だけをみると、所得水準が高い国ほど出生率が高い(2005年:世界銀行23ヶ国)というプラスの相関が見られます。日本は後者のケースに位置づけられるはずです。

 

しかし日本と同等の所得水準(3万ドル水準)をもつフランスと出生率を比較してみると、日本の出生率:1.25に対し、フランスは1.92と大きな差があります。

 

また日本は、戦後1948年:4.5を最高に、バブル期であっても減少し続けてきたという経緯があります。

 

このように分析してみると、日本の出生率減少は、経済的要因とは異なる可能性があるといえそうです。

 

それでは次に何を検証するとさらに踏み込んだ分析ができるでしょうか。
問題点を探っていくときは、マクロな視点から徐々にミクロな視点へと視点を移していくことがポイントになります。部分最適に陥らないようにするための重要な考え方です。

 

スペースの関係もあるのでこの場ではあまり多くを述べることができませんが、日本の文化、風習、結婚観などを調べてみることでそのヒントが見えてくる可能性があります。

 

また、そういった“分析する視点”の移動と合わせて先行事例を分析することも、問題解決を図る上では大切なステップになります。

 

参考までに、今回は日本と同等の所得水準をもつフランスの取り組みで活かせるポイントがないか検証してみましょう。

 

【週刊東洋経済:2012年3月3日号】の記事を引用するとジャック・シラク前大統領が少子化対策「3原則」を掲げて、15年足らずで出生率2.0前後を実現したと紹介しています。その「3原則」とは、以下の内容です。

 

(1)子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする。
(2)無料保育所を完備する。
(3)育児休暇が明け、3年後に女性(男性)が職場復帰するときは、その3年間、ずっと勤務していたものと見なし、企業は職場復帰を受け入れなくてはいけない。

 

つまり、日本の政策のように単純に子どもを生むことによるインセンティブを与える視点ではなく、婚外出産/非嫡出子の人権にも配慮して、基本的な育児の社会負担については国が保障する事によって負担感を減らす方法が有効だと考えられます。

 

しかし、こちらの視点には抜けているポイントがあります。
こちらの事例が日本ではなく“フランスの事例”であるということです。

 

元々フランスは、結婚形態が多様で、婚外出産/非嫡出子が多く、アラブ系/アフリカ系の移民が多い特徴があります。また、非嫡出子が半数を超え、嫡出・非嫡出の概念が廃棄され、法的に平等となっている事も出生率向上に寄与しているようです。

 

日本とフランスでは、その歴史的背景や文化・風習、物事の捉え方などが異なってきます。フランスではうまくいった方法であっても、必ずしもそれが日本人の心に響いて成功につながるということはないかもしれません。

 

海外の事例の研究・分析はもちろん大切ですが、日本人らしさに合った方法を絶えず模索していく必要があります。しかし、それにはこれまで通りに国が主導で取り組んでいたのでは、時間もコストもかかり解決の道筋が見えてきたときには「時すでに遅し」ということもあり得るかもしれません。現時点で抜本的な解決を図れる妙案もないでしょう。

 

そこで考えられる方法のひとつが、大前研一もサポートを買って出ている橋本大阪市長が掲げる都構想のような、各地域で独自の取り組みを推し進めていく地方分権(道州制)ではないでしょうか。

 

それぞれが国から独立して、地域毎に独自の発想で少子化問題に取り組んでいくことで日本人に合った複数の施策が同時に行われるため、検証にかける時間もコストも抑えることができます。そして、成功した事例があればそれを全国に発信し各地域がそれを取り入れた施策を展開する。もしくは失敗事例があればそれが共有されることで同じ轍が踏まれることがなくなり、取り組みの精度も検証スピードも改善されていくというメリットがあります。

 

「コストを減らすことができるから」などの視点で話がされることもこれまで多かった道州制ですが、こういったメリットもとても大きいということができるでしょう。

 

未曾有の時代といわれる現代、過去の成功パターンなどが通用しにくい世界では新しい発想や手法、取り組みが求められてきます。少子化対策には絶対解がないかもしれませんが、少しでもそれに近づけられるように、考えられるアイデアを出してチャレンジしていかなければ何も変わらないでしょう。

 

さて、皆さんでしたらどのような事実に基づき、少子化対策に対してどのような解決策を考えますでしょうか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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