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2012/05/02配信分

グルーバル感覚

尖閣諸島問題への打開策とは?

先月、東京都知事:石原 慎太郎 氏が、尖閣諸島の購入計画を発表しました。
これに対して、様々な意見や反応が噴出。世間を賑わせていますが、日本政府としては、どのような対応策を取ることが考えられるのでしょうか?

 

今回のMBAホルダーの視点では、この尖閣諸島問題について、経営戦略論などの視点から考えてみたいと思います。

 

まずは、尖閣諸島(The Pinnacle Islands)の基礎情報を確認しておきましょう。

 

1971年から中国と台湾が領有権を主張している尖閣諸島は、沖縄県石垣市に属し、いくつかの島と岩礁から成ります。今回、購入計画の対象となっているのは、個人が所有する3つの島(◆印)です。

 

【5つの島】
◆ 魚釣島(うおつりしま):3.82平方キロメートル(個人が所有)(灯台あり)
○ 久場島(くばしま):1.55平方キロメートル(個人の妹が所有)
・北西小島/北小島/北東小島を含む
○ 大正島(たいしょうとう):0.06平方キロメートル(国有地:財務省)
・北小島を含む
◆ 北小島(きたこじま):0.31平方キロメートル(個人が所有)(灯台あり)
◆ 南小島(みなみこじま):0.40平方キロメートル(個人が所有)

 

【3つの岩礁】
○ 沖北岩(おきのきたいわ):0.05平方キロメートル(所有者なし)
○ 沖南岩(おきのみなみいわ):0.01平方キロメートル(所有者なし)
○ 飛瀬(とびせ):0.01平方キロメートル(所有者なし)

 

現在、これらの個人所有の島は、国が年間2450万円の賃貸料で借りています。
現在の契約期間は、2013年3月末迄なので、東京都は来年4月からの購入を計画しているようです。試算によると、購入金額は約15億円と言われており、都議会での承認がハードルとなります。

 

次に、尖閣諸島の歴史の中での取り上げられ方を見てみましょう。

 

中国(清朝時代)の渡航記録に「釣魚台」との記載や、日本の1783年出版地図に中国領との記載がありました。1885年に日本が現地調査を開始し、1895年に領土編入が閣議決定。1932年、鰹節工場を建設した 古賀辰四郎 氏に政府が貸与し、やがて払い下げられています。

 

第二次世界大戦後は、米国の管理下に置かれ、沖縄返還と同時に返還された後、古賀家から現在の所有者へ譲渡されました。

 

中国と台湾が領有権を主張し始めたのは、尖閣諸島周辺に、イラクの推定埋蔵量に匹敵する1000億バレルの石油資源が埋蔵されている可能性があると発表された以降からです。

 

その後、中国/台湾/日本が領有権を巡って、抗議行動と防衛が繰り広げられてきましたが、1972年:日中国交正常化交渉の中で、田中角栄 総理大臣と 周恩来国務院総理との首相会談の中で、この問題が棚上げされました。

 

しかし、領有権を巡って、過激行動と防衛が繰り返され、1992年に中国の国内法に自国領と記載され、2002年に台湾の 李登輝 元台湾総統 が日本の領土であると言明し、2004年に米国が有事の際は日米安全保障条約が適用されると表明するといった経緯がありました。

 

そのような中、2010年9月7日に尖閣諸島で中国漁船衝突事件が起き、日本側が国内法に基づく手続きを踏んだ事で、中国側は棚上げ論が反故にされたと解釈して、一気に政治問題へと浮上したのです。

 

国の対応に業を煮やした東京都が動き出したのは、5月半ばに予定されている、尖閣事件の再発防止策を協議する「日中海洋協議」に揺さぶりを掛ける目的であるとも指摘されています。

 

BBT大学院の学長 大前研一は、領土問題では、

 

(1)実効支配している方が強い。
(2)正論を持ち出して主張しても、領土問題は解決しない。
(3)歴史的に見て、最後は武力で奪い取る・守るしかない。

 

という考え方を示していますが、それでは、日本政府として、どのような対応を取れば良いのでしょうか?

 

以下の3つに論点を分けて考察してみましょう。

 

◆石油利権◆

 

石油資源の埋蔵量は、その後の調査で、32.6億バレルとも、60〜70億バレルとも、かなり少ないという見方が出ています。そのため、国際機関を交えての再調査が必要となるでしょう。

 

また、実際に、パイプラインを引く場合、最も近い都市は、台湾・基隆市(170km)、中国・温州市(330km)に対して、那覇市(410km)、鹿児島(1000km)と遠く、日本では採算が取れない状況です。

 

これらのことを考えると、石油利権目的は、埋蔵量によっては、立ち消えになるか、実施するとしても台湾と合弁企業を組む方が有利と言えそうです。例えば、日本が石油利権と採掘技術を台湾に譲渡して、台湾が採掘して余剰分を中国に出荷し、中国は見返り相当分の天然資源(レアアース等)を日本へ譲り渡すといった方法なども考えられます。

 

◆領有権◆

 

各国が主張している権利とは、厳密には、領有権/所有権/行政権に分かれますので、切り分けて考えてるべきでしょう。

 

米国が沖縄返還時に日本に戻したのは、厳密には、行政権とされています。
これは、米国が、領有権については、いずれの国に対しても不介入の姿勢を貫いている為です。その理由とは、島の領有権争いの巻き添えにならない方が良いという判断のようです。つまり、領有権とは、そもそも解決しにくい問題であるとも言えます。

 

また、所有権について見ると、所有者がいない3つの岩礁が狙われる可能性があります。早々に国の所有を取り決めて、「沖ノ鳥島」の様に、何らかの経済活動を進めるべきでしょう。

 

◆棚上げ論◆

 

民主党政権になって、外交政策をつまずかせた「密約の存在」ですが、これは、中国側との調整後、内容を明かして混乱を避けなければなりません。

 

当初、政権交代に伴う嫌がらせと不勉強があったかも知れませんが、情報が広まり、国益を損なう以上、元の状態に戻すべきでしょう。

 

あるいは、領有権/所有権/行政権を日本のものと認め、天然資源の利権は分け合い、資源交換サイクルに持ち込むといった交渉を進めるべきでしょう。

 

これら、領土問題には、さまざまな権利が絡んでいるので、交通整理しながら打開策を切り分けて講じる必要性を感じます。

 

さて、皆様が日本国政府の立場ならば、どのような打開策を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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