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2012/09/19配信分

経済原論 財務

山手線の新駅構想から都市計画を考える

今年1月、山手線/京浜東北線の品川駅〜田町駅の間に、新駅を作る計画が報じられました。

 

新駅は2020年頃の誕生となり、1971年:西日暮里駅以来、実に49年ぶりとなります。品川〜田町間は、2.2kmと最も駅間が長く、10年ほど前から新駅が検討されていたようです。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、この新駅計画をテーマに取り上げ、新駅誕生の目的と都市計画を紐解いてみたいと思います。

 

まず、新駅が計画された背景について確認してみましょう。その内容が、都市政策専門家の市川宏雄 著【山手線に新駅ができる本当の理由】に詳しく書かれていますので、その経緯を抜き出してみます。

 

 

(1) 2012年10月:『東京駅復元』が完成。1914年開業の東京駅は、当初から東北と東海を結ぶ『東北縦貫線』と同様の構想があり、ホームや線路に設計対応がなされていた。

 

(2) 2014年:長年の懸案だった『東北縦貫線』が開通。これにより、上野止まりの宇都宮線/高崎線/常磐線が東京駅まで乗り入れ、山手線と京浜東北線の混雑緩和と、『湘南新宿ライン』の東京回り版が実現可能となる。

 

(3) 『東北縦貫線』の完成により、高崎車両センター等に車両配置換えができ、『品川車両基地』スペースが空くが、東海道本線/京浜東北線に囲まれた隔離地の為に制限が多かった。

 

(4) そこで山手線と京浜東北線を、東海道線に沿うように約200m移動して、土地再開発と新駅開設という計画を作りあげた。

 

つまり、JR東日本にとって、長年の悲願だった『東京駅復元』『東北縦貫線』の実現から出てきた『品川車両基地』スペースの有効活用というテーマに対する回答が、新駅と再開発なのです。

 

さて、鉄道構想とは数十年という時間軸で将来を見なければなりません。
当然、新駅を検討する中で出てくるのが、リニア新幹線/羽田空港との接続といった国家プロジェクトとの関係でしょう。

 

冒頭の著者:市川氏は、多くの都市政策立案に関わり、東京都との関わりは20年以上に渡ります。都市外交の国際会議専門委員や『都市づくりビジョン』『東京自治制度懇談会』などのコアメンバーとしての立場から、日本の将来を見据えた提言をしています。

 

◆リニア新幹線◆
現時点で発表されているリニア中央新幹線の計画は、東京〜名古屋間が2027年開通、東京〜大阪間が2045年開通、東京都に唯一建設される駅が『品川駅』とされています。その理由は、リニアは直線に近い軌道が必要であり、品川〜東京間のきついカーブが所要時間に影響する点と、東京駅地下がすでに飽和状態にある点が指摘されています。

 

その意味で、品川エリアの再開発が、日本の将来の鍵を握るとしています。

 

◆羽田空港◆
市川氏が提案する案は、現在の新幹線・大井車両基地から、約5kmほど南へ線路を延長して、羽田空港と結ぶというものです。東京駅〜羽田空港駅の新線が出来れば、約12〜13分で結ぶ事が可能です。羽田空港〜成田空港との間をリニアで結ぶ構想がありますが、実現には、まだまだ時間と莫大なコストが掛かります。

 

そこで、現実的な代替案として新幹線を利用すれば、航空ビジネスにインパクトを与える事が出来るでしょう。

 

◆品川を起点とする新線/道路計画◆
(1) 六本木〜品川間を結ぶ地下鉄
(2) 成田〜羽田間を59分で結ぶ地下鉄短絡線(京成線〜都営地下鉄浅草線〜京浜急行本線〜京浜急行空港線)を敷設し、品川へは京浜急行本線でつながる。
(3) 国道1号線〜国道316号線(旧海岸通り)を結ぶ高架道路:環状4号線の東西連絡道路として品川駅〜新駅間に計画されている。

 

◆都市計画◆
東京都は、『アジアヘッドクォーター特区』の一部として品川エリアを指定し、外国企業を誘致すべく、国際戦略総合特区にするとしています。内閣官房が「国際戦略総合特区」事業の開始したのを受け、『アジアヘッドクォーター特区』を申請し、2011年には6つの自治体グループと共に申請が認められ、国のバックアップを受けて再開発に弾みがつきました。

 

つまり、新駅誕生の背景には、アジアヘッドクォーター構想に基づき、日本の玄関口としての再開発と交通網整備というビッグプロジェクトが関係しているのです。

 

一方で、品川エリア再開発の影響もありそうです。

 

このエリアは羽田空港空域に近く、高さ制限を受け高層ビルが作れないので、品川駅前にはフロア面積を確保すべく大きなビルが隙間なく建ち並ぶ様になりました。これが、海風を遮り、ヒートアイランド現象悪化と、防災上の懸念が出ています。

 

また、東北縦貫線が開通すれば、人口移動が進み、地価が安い北に住み、南で働くという変化も予想されます。

 

さて、アジアヘッドクォーターの中心地を『品川』とするならば、どのような構想が考えられるでしょうか?

 

いわゆる「ハコモノ」ではなく、都市システムの仕掛けが必要なのは言うまでもありません。ここでは、外国企業を誘致する為に、多くの規制緩和を実施する計画のようです。

 

例えば、日本版シリコンバレーをこのエリアに作り、新規ビジネスが次々に生まれる仕掛けを作り、日本の将来産業につなげる案が考えられます。折しも、先日、経済産業省が1万社起業へ小口助成金制度を創設すると報じられました。
この制度が上手くいけば、次の構想は起業環境と支援が整うエリア作りでしょうから、このエリアならばゼロベースで計画できるので最適でしょう。

 

また、このエリアは水上交通網も近く、横浜/臨海副都心/海浜幕張等との水上交通網を整備すれば、利便性向上と人気スポットになるかもしれません。

 

さて、皆さんが都市計画立案者ならば、どのような構想を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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