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2011/10/26配信分

論理思考 財務

年金の支給開始年齢の引き上げ議論を考える

厚生労働省で、厚生年金の支給開始年齢の引き上げが検討されています。

 

内容は、以下の4項目となっています。

 

(1) 支給開始年齢の段階的引き上げ完了を2030年度から2021年度に繰り上げ。
(2) 支給開始年齢を65歳から68〜70歳に引き上げ。
(3) 厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢引き上げの男女差を無くする。
(4) 在職老齢年金制度の減額基準(賃金と年金の合計額から年金支給額を減額する基準額)を月28万円から月46万円に緩和する。

 

これらの対策によって、支給開始年齢を1歳引き上げる毎に、基礎年金給付額を1兆円削減でき、緩和策によって5000億円増額するので、合わせて、10年後に2.5兆円〜4.5兆円規模の年金支給減額となりそうです。

 

年金支給額を減らすにも、高齢者を労働力とする施策も同時に必要となり、定年延長などの法整備が進んでいないので実現は難しいという見方の記事も有ります。

 

年金支給の見直しに対する反対意見には、若者の負担が大きい、若者の雇用が影響を受ける、人生設計が狂う、国の制度に対する信頼を失うといった理由が並びます。

 

一方、賛成意見には、年金破綻を回避するには避けて通れない、税金や保険料引き上げ・給付の減額に比べて心理的・政治的に現実的である、高齢者が働く事で生き甲斐や豊かな人生につながるといった見方が並びます。

 

中立的な意見には、年金破綻は時間の問題、年金未納者の激増や無駄遣いにメスを入れるべき、格差是正すべきといった意見が並びます。

 

少し、数字を拾ってみます。

平成23年度の政府の一般会計予算は、歳入92.4兆円のうち租税・その他収入が48.1兆円、公債金収入が44.3兆円、歳出92.4兆円のうち社会保障費が28.7兆円で、社会保障費の自然増が1.25兆円となっています。ちなみに、政府の負債は1504.4兆円(中央政府:1088兆円、地方政府:219.4兆円、社会保障基金:197兆円)(平成21年度末)で、事業仕分けで0.3兆円の歳出削減と1.4兆円の国庫納付が歳入に計上されています。ちなみに、政府の資産(貸方)は488兆円(2011年6月末)となっています。

 

また、厚生年金の歳入40.4兆円/歳出40.1兆円のうち、8.4兆円(21%)が政府の一般会計からの受入れ、国民年金の歳入4.7兆円/歳出4.5兆円のうち、1.7兆円(36%)が政府の一般会計からの受入れとなっており、合計10.1兆円(22%)が税金からとなっています。積立金残高は、厚生年金:113.5兆円、国民年金:7.7兆円の合計121.2兆円です。

 

これらの数字を分かり易くする為に、家計に置き換えてみましょう。0.1兆円を1万円とすると、下記の様になります。

 

◆2011年度◆
年収:481万円
支出:924万円
※親への仕送り101万円を含む。
※節約で17万円切り詰めることに成功。
新規借入金:443万円
借入金総額:1億5044万円(2009年度末)
資産総額:4880万円(2011年6月末)
これから減額しようとする仕送額:5.5〜9.9万円
(※年金減額案:25〜45万円のうち、税金分に当たる22%を算出)

 

MBAホルダーの視点として、国家財政といった大きな金額を分析する際、分かりやすい指標に置き換えて、問題点を浮かび上がらせる方法を取る事があります。

 

ところで、公的年金流出問題で発覚した無駄遣いは、56年間で6兆7878億円でした。また、年金未納額は、2001年:4330億円/2010年:5442億円と一部だけ発表されており、ここから累計額を推測すると約13兆円となりますが、保険料未納者と免除者の分は、第1号被保険者が拠出金を肩代わりする仕組みなので、損金は積立金残高121.2兆円に対して、6.7兆円だけとなります。

 

すると、年金問題は、無駄遣い・未納・記録の3大問題もさることながら、国家財政に頼る構造を持ち、資金破綻はしないが支給金額が減り続ける点と、不公平感が問題の本質と言えそうです。

 

かねてから 大前 研一 学長は、年金問題は構造問題なのでスクラップ&ビルドで、まったく新しい制度を作るしかないと提唱しています。
20世紀に作られた年金の仕組みは、今の時代にはもはや通用しない。昔とは人口構成もお金の流れも変わっており、新しい資本に対する考え方(新資本論)に基づき、全く新しい制度を作るしかないからです。

 

さて、皆さんが年金問題を解決する立場なら、どの様な打ち手を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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