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2014/04/23配信分

グルーバル感覚 論理思考

憲法第9条とノーベル平和賞から考えられること

先頃、戦争放棄を定めた憲法9条をノーベル平和賞に推した「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会に対し、ノーベル委員会から推薦受理の連絡があり、正式候補となりました。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、このニュースを取り上げて、その意味するところを考えてみたいと思います。

 

まずは経緯を確認します。

 

今回の取り組みは、神奈川県座間市の主婦が始めました。2013年5月に署名サイトを立ち上げ、1500人の署名をノーベル委員会に送ると、受賞対象は人物か団体のみであり、憲法は受賞できない事を知ります。

 

そこで、受賞者を「日本国民」とし、相模原市の市民団体「9条の会」等の協力で、8月に「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会が発足します。その後、大学教授や平和研究所長ら43人の推薦人と2万4887人の署名を集めノーベル委員会に送り、正式候補となりました。現在は4万人以上の署名が集まっています。

 

今年のノーベル平和賞候補には、278件が登録されており、10月10日に発表される予定です。主な候補には、アメリカ国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口を告発したエドワー

ド・スノーデン氏、シリア騒乱でリーダーシップを発揮したロシアのウラジーミル・プーチン大統領、世界15か国が共同運用している国際宇宙ステーション(ISS)計画に加わる組織と機関が入っています。

 

ノーベル財団の本拠地はスウェーデンのストックホルムにありますが、ノーベル平和賞だけは、ノルウェーのオスロにあるノーベル財団によってノルウェー国会の管理の下で運営されています。ノルウェー国会では、5人の平和賞委員を任命し、極秘審査の後に受賞者を決定します。

 

しかし、近年、ノーベル平和賞に対する批判として、大国の干渉が強まっている事や、業績を上げた偉人を讃える勲章から、現実を動かす為の政治的な賞に変化したという指摘がありま

す。

 

例えば、2009年、核なき世界についての理念や取組みに対しアメリカの「バラク・オバマ大統領」が受賞しましたが、実績が出ていない就任早々での受賞が波紋を呼びました。

 

2010年、中国の基本的人権の為に非暴力で闘っている事に対し民主活動家の「劉暁波」氏が受賞しましたが、中国政府が「内政干渉だ」と猛反発しました。

 

2012年、欧州の平和と和解への貢献に対し「欧州連合」が受賞しましたが、ユーロ問題の影響が強まる中での受賞にノルウェー国民や、チェコのクラウス大統領からも疑問の声が出ました。つまり、ノーベル平和賞の選考自体が試行錯誤中と言えるのです。

 

これらからノーベル平和賞の問題点とは、以下の3つに集約されます。

 1.政治利用されがちである
 2.平和的行動を求める先行投資の形となっている
 3.選出の不透明さと納得度の低さがある

 

この傾向は、選考制度が改革されない限り、今後も続くでしょう。

 

さて、この様な経緯を踏まえ「憲法9条」を取り巻く環境を整理すると、どの様な構図が見えるでしょうか?

 

◆日本◆
【「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会】
「憲法9条の素晴らしさを共有し、守り、活かし、世界に向けて広めていく」としている点から、憲法改正を進めようとする政府に対する政治的な牽制と読み取れます。

 

【政府】
憲法9条の解釈で、自衛隊は「戦力」には当たらない組織としている事から、実質的な軍事行動は対応できません。『日本国憲法改正草案』では、前文から憲法全体を変えていく内容が公開されており、日本を根幹から変えようとする意図が見えます。

 

◆アメリカ◆
【政府】
日本の憲法改正に対し、共和党・民主党の政治家や政府高官も賛成しています。

 

◆ノルウェー(スウェーデン)◆
【ノーベル財団】
ノーベル委員会にて選考中ですが、いずれかの地域に対し、平和的行動への先行投資として、受賞対象を決定するものと予想されます。

 

つまり平和行動への先行投資として選考され、「憲法9条」が平和賞を受賞したとしても、アメリカや近隣諸国の状況を鑑みると、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会などの活動によって環境が変化する可能性は小さいと言えると思われます。政府による憲法改正の動きを留まらせる力とまではいかないでしょう。

 

それよりも『日本国憲法改正草案』では、今回の件で9条だけが注目されましたが、これ以外に重要な内容が多数あります。

 

例えば、96条「国民投票」の変更、97条「基本的人権」の削除、11条「人権侵犯の禁止」の削除、21条「表現の自由」への制限等々、全般に渡り細かく国民の権利に対する保証を制限したり、国が関与できる余地を与えたり、注意を要する内容となっています。

 

そして今回の受賞対象は「日本国民」となっています。日本国民として、主権国家が存続する為の必要条件として軍備と軍隊を公的に認める必要性だけでなく、憲法を改正するならば、日本という国家をどの様な方向にすべきなのか、今一度考え直すべきでしょう。

 

さて、皆さんは、ノーベル平和賞を機に、どの様な憲法に改正すべきと考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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