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2013/01/30配信分

グルーバル感覚 論理思考

新たな変化を遂げるコーヒー業界

日本人が1年間に飲むコーヒーはおよそ300杯。それだけ日本人にとって身近な存在になっているコーヒーですが、最近コーヒー業界では「サードウェーブ(第三の波)」の到来や企業の新たな動きが活発化するなど、新たな変化が起こってきています。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、新たな変化を遂げているコーヒー業界を取り上げ、現在何が起きているのか分析しながら、今後の方向性について考えてみたいと思います。

 

まずは、最近の主な業界内での動向を見てみましょう。
以下が最近話題をよんだ主な出来事です。

 

(1) 2012年5月「UCCホールディングス(株)」が、欧州大手「ユナイテッドコーヒー(United Coffee)」の全株式を500億円で取得。レギュラーコーヒー販売量で世界8位→3位に躍進。

 

(2) 2012年12月急成長の「コメダ珈琲店」を展開する「(株)コメダ」が、アジア大手買収ファンド「MBKパートナーズ」によって約400億円で買収調整中との報道がなされる。

 

(3) 2012年1月「キーコーヒー(株)」が、老舗喫茶「(株)アマンド」の全株式を取得。
同年12月、老舗喫茶「銀座ルノワール(株)」と資本・業務提携を締結。

 

(4) 2012年12月インスタントコーヒー大手「ネスレ日本(株)」が打ち出した『ネスカフェバリスタマシン』が100万台を突破。

 

(5)「日本マクドナルド(株)」では、『プレミアムローストコーヒー』無料キャンペーンを繰り返し、売上に貢献。

 

(6) 2011年3月「スターバックスコーヒー」は、創立40周年を機に4回目となる企業ロゴを変更しました。

 

(7)『サードウェーブ(第三の波)』なるキーワードが広がりつつある。

 

これらの出来事から考えると、コーヒー業界で何が起きているのでしょうか?
まずは、環境要因を整理してみましょう。

 

1つ目の要因は、気象変動影響からコーヒー豆の価格が高騰している点が挙げられます。加えて、中国市場の急拡大もあります。

 

コーヒー豆の価格は、2000年以降上昇し続け、2000年:92円(1ポンド453.6g)
→2011年:218円とピークを迎え、2012年:150円となっています。

 

一方、中国市場のコーヒー消費量は年々増加しており、2000年:約3万トン→2005年:約4万トン→2010年:約12万トンと急増中です。これは、世界のコーヒー豆生産量の1%相当(2010年)を占め、数年後には日本の消費量42万トン(2012年、5%相当)に並ぶでしょう。

 

(1)UCCホールディングスの買収は、中国市場への対応を狙ったものと考えられ、(2)MBKパートナーズの買収も、中国市場展開を計画していると見られています。

 

2つ目の要因としては、日本の人口動態変化が進み、最大人口を形成する団塊世代がシニア層になり、消費拡大が期待されている点があります。更に、人口減少の反面、世帯数増加で少人数世帯が増えている変化もあります。

 

(3)キーコーヒーの買収は、団塊の世代をターゲットに、くつろげる喫茶店を拡大すべく、立地と商材の確保に動いたものと考えられます。同社には、高級コーヒー『トアルコトラジャ』、「アマンド」の菓子、「イタリアントマト」のメニューが揃うので、これらを組み合わせて提供するのかもしれません。

 

そして世帯数増加は、コーヒーの飲み方に変化を与えたと思われます。かつてはコーヒーメーカーで数杯分を一度にドリップ/保温する方式が主流でしたが、(4)『ネスカフェバリスタマシン』では、1杯ずつ作りたてを楽しみ、器具の手入れが簡単なインスタントコーヒーを使う点が、生活スタイル変化に合致して受け入れられたと考えられます。

 

また、ファーストフード店の主要顧客である単身世帯や若者層は、コーヒーを戦略的に活用した(5)日本マクドナルドに呼応したと言えるでしょう。

 

3つ目の要因は、米国市場で巻き起こっている「脱スタバ」の動きです。
(6)スタバがロゴ変更でビジネスモデル転換を模索する一方、新興勢力が(7)『サードウェーブ』をキーワードに戦いを挑んでいます。

 

ちなみにそれぞれのウェーブは、米国市場で次のように解釈されています。

 

◆ファーストウェーブ
1970年以前。大量生産・大量消費の時代。真空パックの登場で焙煎コーヒーの遠距離流通が可能に。低価格第一で経済効率から浅煎り指向が進む。

 

◆セカンドウェーブ
1971年以降。味の追求から深入り焙煎指向が進む。「スタバ」「タリーズ」といったシアトル系コーヒーチェーン店が世界を席巻中。

 

◆サードウェーブ
2002年以降。カリフォルニア南海岸から発生した新潮流。豆の産地や農園を選択し、豆に合わせた焙煎や豆の個性を活かした高品質コーヒーを追求。
流通の透明性を求め「豆からカップまで」がスローガン。

 

米国ではファーストウェーブで生まれた浅煎りコーヒー、いわゆる「アメリカンコーヒー」に反対するシアトル系の登場がセカンドウェーブとなった経緯があります。その後のサードウェーブは、脱スタバを際立たせる意味合いとして、社会性ある動きと連動させていると思われます。

 

では、この先、日本のコーヒー業界はどのような方向に進むべきか考えてみましょう。

 

1つ目には、サードウェーブの深化でしょう。日本では、すでに味の追求とカフェの雰囲気づくりが1920年頃から取り入れられ、後の喫茶店として発展してきました。
これに生産農家/品種/流通等の厳選を加えれば、サードウェーブを主導する側になれる可能性があります。

 

2つ目には、新興国の需要拡大によって、地域毎にそれぞれのウェーブが入り交じり同時進行する状況が考えられます。すると共通的なグローバル戦略よりも、各地域戦略が効果的になるので、消費者が多様化した日本市場の各企業がノウハウを活かして活路を見出せるかもしれません。

 

つまり、日本は、各地域の消費者に合わせてコーヒーの方向性を主導できる立場になれるのです。UCCはボリュームで世界へ、コメダは喫茶店文化で世界へ、キーコーヒーは高品質基準と新たなコーヒーメニュー創作で世界へといった将来の方向性が考えられます。

 

さて、皆さんがコーヒーを扱う日本企業の社長だとしたら、新たな変化が起きている業界において将来をどう読み、どのような打ち手を考えますか?

 

判断をされる上で、今回のメールマガジンの情報だけでは不足しているところも多々あるかと存じます。ある決断をくだすためには何を知る必要があるか?どのような情報が不足しているか?ぜひ考えてみてください。

 

★あなたが○○の社長だとしたら、自社の戦略をどう描きますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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