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2012/08/22配信分

組織人事 論理思考

日本の教育の未来

最近、教育を取り巻く環境が大きく変化していく中で、日本の学校教育に対する懸念が高まってきています。そのような中、日本の教育は何を目指し、どのように変わっていく必要があるのでしょうか。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、学習指導要綱の改定された内容など日本の学校教育の変遷を分析することを通して、日本の学校教育の未来を紐解いてみたいと思います。

 

ところで、そもそも国が行う学校教育の目的とは何なのでしょうか?まずはこちらを改めて考えてみましょう。

 

参考として一つの見方をご紹介すると、加藤ジェームズ著【教科書から読み解く日本の未来】では、教育とは、国家を守る安全保障の一種であると解説しています。

 

加藤氏によると、米国では、1957年のスプートニク・ショックを機に、1958年からの教育改革の中で『国家防衛教育法(National Defense Education Act)』を制定して、教育を国防の一部として理系教育と外国語教育を強化しました。
加藤氏は、日米双方の義務教育経験から、国民一人一人の知識と能力が、そのまま国の繁栄と国力につながることを実感したと言います。

 

これが学校教育の目的のすべてではないとも言えますが、国が行う学校教育を考えていくうえで参考になる視点ではないかと思われます。

 

では、日本の学校教育は、どのような変遷を経てきたのでしょうか?今回は特にその構造から見てみましょう。

 

第二次世界大戦前までは、明治23年(1890年)の『教育勅語』を元に儒教道徳をコンセプトとした学校教育が進められました。

 

戦後は、GHQの関与による種々の改革の一貫として、国会での『教育勅語』排除決議とアメリカ教育使節団による教育方針の提案で、第一次吉田内閣が『教育基本法』を制定しました。この時、「愛国心」と「伝統の尊重」が排除されて、「個人の尊厳重視」「平和を希求する人間の育成」が基本コンセプトとされました。

 

『教育基本法』については、2006年に安倍内閣が1947年以来初めて全面的な改定を行い、2007年『学校教育法』の大幅改定、2011年『学習指導要綱』の戦後8度目の改定につながります。そして2006年の『教育基本法』では、「国を愛する心」「伝統の尊重」「新しい公共」といった基本コンセプトが復活しました。

 

日本の学校教育を法律という観点で見ると、大きく分けて憲法/法律/政令/省令/庁令といった階層構造を持っています。そして、政令/省令/庁令では度々の改定が行われてきました。

 

つまり、法制度や教科書といった教育の枠組みは国と文科省が主導して作られてきたと言えます。

 

一方、ジャーナリストの田原総一朗氏が『アメリカは、日本占領期に国家から教育権を剥奪した。だから、いまも文科省に直接の教育権は無い。代わりに、アメリカのように教育委員会を作り、教育権を与えたのだ。ただし、アメリカの教育委員会は選挙で選ばれるが、日本ではそうしなかった。日本で選挙をすると、みな教育問題に関心がないから、任命制になったのだ。つまり、名誉職であるから、問題が起きると教育委員会の人間は逃げ回ってしまう。』

 

と指摘しているように、現場教員の人事権は教育委員会が担当する縦割り構造を有する為に、責任の所在と問題解決が曖昧になってしまっているという状態にあります。

 

では、2011年版『学習指導要綱』では、何が変わったのでしょうか?

 

大きくは、次の3項目があります。

 

・2002年版「ゆとり教育」の廃止(小学校6年間総授業時間5376時間→5645時間)
・小学校「外国語活動」の開始
・「伝統」「文化」教育の充実

 

そして、ゆとり教育の反省から各教科書の内容も変わり、基礎学力強化と道徳教育を加えた点、自国の歴史/文化/伝統を継承する点、加工貿易立国「日本」に立ち返ろうとする点、国際社会で活躍できる人材を育てようとする点が新たに見られるようになりました。時代の変化を受け、日本の将来を担う人財を育成しようという意思が感じられます。

 

しかし、この改革には、2つの大きな問題が立ちはだかっています。1つには、理系科目強化や外国語教育に対応できる教員不足と、すでに10年間の「ゆとり教育」を受けた世代の基礎学力格差です。

 

この問題に対して、どのように対応していけば良いのでしょうか?

 

1つの方法として、ITを活用した遠隔授業があります。

 

米国『カーン・アカデミー』では数千本の理数系講義を配信していますし、『TED-Ed(TEDカンファレンス)』や、『edX(ハーバード大学とMITによる共同事業)』なども注目されています。インド工科大学からは、インド国内1500の州立工科大学に遠隔授業が配信され、各国からベンチャー投資が集まっています。

 

世界各国で進められる遠隔授業に共通するのは、低コストで高品質の講義を配信して、物理的な距離を問わず、学生の自主的に学ぶ姿勢を最大限に引き出している点でしょう。

 

この点を踏まえて考えると、私立学校や学習塾などを遠隔教育のキー・ステーションとし、卒業生や社会人も参加できるコンテンツ/環境/仕掛けづくりを通して、国民全体の基礎学力向上を狙う方法が考えられます。

 

一方で、ベンチマークとなる教科書が変わることで、相対的に私立学校や学習塾も質的向上をさらに目指すことになり、教育委員会も世論の高まりを受けて体制変化を求められるでしょう。

 

こうして、枠組みが変わり、私立学校や学習塾等の民間が自主的教育をサポートすることで、日本の学校教育を希望ある姿へ変化させる道が見えてきそうです。

 

さて、皆さんでしたらどのように日本の学校教育を変えていきますか?



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経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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