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2013/11/06配信分

グルーバル感覚 経済原論

日本の観光立国への道

現在、日本の成長戦略の柱と位置付けられている観光立国に向けた目玉政策として、『特定複合観光施設区域整備推進法(カジノ法案)』の国会提出が検討されています。

 

元々、外国人観光客を増やして観光立国を目指そうという方針は、2008年の観光庁新設と、2012年『観光立国推進基本計画』の閣議決定にて打ち出されました。その理由とは、国の成長戦略を量から質へと大きく変化させる上で、観光立国が重要な鍵となるためでした。

 

その目標は、以下の3つにまとめることができます。

 

・グローバリズムの定着と、開かれた国を目指す。
・観光が持つ改革効果で、国の将来、地域の未来を切り拓く。
・住んで良し、訪れて良しの国づくりを実現させる。

 

では、現状で外国人観光客の来日状況はどのようになっているのでしょうか。
まずは、日本を訪れる外国人観光客の推移を見てみます。

 

◆訪日外国人観光客数◆
2005:673万人
2006:733万人
2007:835万人
2008:835万人
2009:679万人
2010:861万人
2011:622万人
2012:836万人
2013:1024万人(推定)
※出典:日本政府観光局(JNTO)

 

外国人観光客数は、2009年(リーマンショック)と、2011年(東日本大震災)に、一時的に減少しましたが、今年は1000万人を超えると見られています。しかし、世界を見渡せば日本は33位と低い順位にあります。

 

◆外国人訪問者数(2012)◆
1位:フランス :8302万人
2位:米国   :6597万人
3位:中国   :5773万人
4位:スペイン :5770万人
5位:イタリア :4636万人
33位:日本   : 836万人※出典:日本政府観光局(JNTO)

 

そんな中、今年は観光立国の追い風となるいくつかの動きがありました。

 

6月:『富士山 信仰の対象と芸術の源泉』で世界文化遺産に登録
9月:「2020年 東京五輪」開催決定
12月:「和食」ユネスコ世界無形文化遺産に登録確定

 

特に五輪開催決定に合わせ、ホテル建築ラッシュや各種社会インフラ整備が進められていますが、中でも「カジノ法案」が目玉政策の1つとなっています。

 

では、なぜカジノなのでしょうか?カジノ誘致に対して、賛成派/反対派が様々な意見を挙げていますが、主な理由を以下にまとめてみます。

 

◆賛成派◆
・経済的な効果:観光収入増、税収入増、就業者増
・グローバル化:先進国で日本のみカジノ無し
・他国の成功例:マカオ、シンガポール、ラスベガス

 

◆反対派◆
・悪影響の懸念:依存者増、環境悪化、犯罪増
・賭博市場低迷:公営ギャンブル低迷

 

では、実際に先行する世界のカジノ市場はどうなっているのでしょうか?

 

カジノは、世界120ヶ国に2000件以上あると言われ、2010年で1176億ドル(約10.6兆円)の収益額から、売上高換算で約350兆円(利益率3%)と推測されます。トップは、中国人客が集まるマカオですが、中国バブル経済が崩壊すれば大打撃を受けるのは避けられないでしょう。

 

◆カジノ収益上位(2010)◆
1位:マカオ    :2兆3500億円(売上推定77兆5500億円)
2位:米国ラスベガス: 5800億円(売上推定19兆1400億円)
3位:シンガポール :  5100億円(売上推定16兆8300億円)
参考:韓国江原ランド:推定 26億円(売上   878億円)

 

参考例として韓国は、ソウルの他に17箇所にカジノがありますが、唯一韓国人も入場できる『江原ランド』が韓国全土の約50%の売上高を占め、うち外国人は1%に過ぎず、賭博中毒者対策が深刻な問題となっています。カジノには、拠点集中と入場制限の難しい選択が求められると言えそうです。

 

さらに日本独自の問題として、公営ギャンブルへの影響が予想されます。
まずは、各ギャンブルの市場規模を見てみます。

 

◆管轄省庁と市場規模(2009)◆
中央競馬    :農林水産省 : 2兆5900億円
地方競馬    :地方公共団体: 3660億円
競輪      :経済産業省 : 7460億円
競艇      :国土交通省 : 9360億円
オートレース  :経済産業省 : 1010億円
スポーツ振興くじ:文部科学省 : 785億円
宝くじ     :総務省   : 9880億円
パチンコ    :警察庁   :21兆0650億円
※出典:レジャー白書2010

 

公営ギャンブルは、似た対象ながらも、各省庁が縦割りで監督している特長があります。カジノ法案は、地方公共団体の特区申請に対し内閣府が認可・監視・監督するようです。ちなみに、申請予定地域は、北海道/秋田/茨城/東京/千葉/静岡/愛知/石川/大阪/和歌山/徳島/長崎/宮崎/沖縄となっており、カジノが分散する可能性があります。
カジノ戦略は、健全性と持続性が課題となりそうです。

 

観光立国の目的に照らすと、カジノ戦略は本質的な解決手段ではなく、特長ある観光資源の強化こそが、持続的な成長戦略に貢献できるのではないでしょうか。それは、外国人観光客が多い上位国を見れば分かるように、芸術/食文化/自然/ランドマーク的な歴史的建造物といった明確な特徴があるものです。

 

すると日本が目指すべき方向性とは、「おもてなし」の精神/和食/自然/伝統文化/サブカルチャー「マニア」や「カワイイ」など、日本が独自に磨いてきた多様性ある観光資源を活かして、感動を呼ぶことなのではないでしょうか。

 

例えば「感動を呼ぶ」をキーワードにすれば、以下のようなアイデアも考えることができます。

 

・日本の伝統から「おもてなし精神」を体験(工芸、祭り、風習、和食など)
・地方の一次産業民家への宿泊と生産体験
・ボランティア通訳者と観光資源の連携で個人向け観光同行
・日本アニメファンを対象にしたマンガの舞台ポージングの旅

 

さて、皆さんは、日本を観光立国にするために、どのような戦略を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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