BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2012/02/22配信分

グルーバル感覚 経営戦略

日本の電機業界が目指すべき道

電機各社から発表されている2012年3月期の最終損益は、明暗が分かれた形となりました。

 

【最終損益が黒字】
・日立製作所 : 2000億円
・三菱電機 : 1000億円
・東芝 : 650億円
・富士通 : 350億円
【最終損益が赤字】
・NEC :▲1000億円
・ソニー :▲2200億円
・シャープ :▲2900億円
・パナソニック:▲7800億円

 

これを受けて、日本の製造業が苦戦している理由として、様々な理由が分析されています。大前研一も、日本企業が抱える「6重苦(1.円高/2.法人税/3.電気料金+供給/4.環境対策/5.貿易自由化の遅れ/6.労働規制)」ならぬ、「∞(無限大)苦」と称して、お客さんが海外に流れる/自然災害の懸念/政治不安/少子高齢化/予算不足/業界事情など、いくらでも列挙することができると言います。

 

最終損益が黒字の電機各社は、社会インフラも手掛けるなど多角的な事業領域を持ち、デジタル家電領域の比率が少ない共通点があります。一方で赤字となった電機各社は、薄型テレビ(ディスプレイ)/携帯電話(スマートフォン)事業で、サムスン/アップルとの競争に敗れている共通点があるようです。

 

この発表のみを見るかぎりでは、事業領域の選択と集中の差が、業績の大きな差につながったものと言えそうです。

 

それでは、苦境に立たされている電機各社には、どの様な突破口が考えられるのでしょうか。業績悪化要因を過去から現在までの長いスパンで多角的に振り返り、短期〜長期にかけた方策を考えてみましょう。

 

今回は、当大学院でも学ぶ戦略論、組織論、リーダーシップ論、イノベーション理論などといったMBAの知識から総合的に分析して、将来に向けた構想を描いてみたいと思います。

 

分析に当たって、今回はビジネス誌やコラム等からいくつかの重要な指摘を挙げながら考察をしてみましょう。

 

1.鍵となるのは経営幹部交代の仕掛け作り

 

・週刊東洋経済:2012年1月28日号
パナソニックがプラズマ敗戦した理由を、会長の判断が絶対的となったこと、
失敗を直視できない体制問題と化したこと、そして新風を巻き起こすような
世代交代が阻まれたためだと解説。
・週刊ダイヤモンド:2012年2月4日号
ソニーが凋落した理由を、会長に意見できない社外重役がほとんどを占める
ようになったこと、そこからガバナンス体制の崩壊につながったこと、そして
意欲を失った開発陣営の流出が止まらなくなってしまったためだと指摘。

 

これらは、経営幹部に対する人事権発動には、調整に苦労するだけでなく、その影響や効果が出るまでの時間が長期的になりがちで、気が付いたら影響が甚大で深刻な事が多いものです。経営幹部の体制の在り方として、ワンマン体制/多数の経営幹部、いずれであっても、経営判断に重大なミスがあれば、異を唱える人が排除されずに堂々と意見でき、軌道修正なり経営幹部の交代が、スムーズに移行できる仕掛けが必要と言えるでしょう。

 

2.新しい事業戦略と国家戦略の紐付け

 

・神戸大学大学院経営学研究科:三品 和広 教授
1980年代に起きた日米貿易摩擦を機に、官民連携体制が崩壊した事が、今日の
電機業界の低迷を招いていると指摘。
・経済ジャーナリスト:町田 徹 氏
NTTドコモの反アップル戦略が、ガラパゴスと称されるアンドロイドベースの
カスタマイズ仕様対応に追われた結果、ドコモに納入する日本企業が軒並み
巨額赤字に見舞われ、ドコモ自身もカスタマイズ仕様の為に、通信障害を招く
要因になっていると指摘。

 

米国は、韓国/台湾の企業と分業という国家間連携体制を強化して、規模拡大と最適化で、かつての日本国株式会社の様な国家戦略構造体を実現しました。一方、日本は逆に政治的に官が切り離され、民間だけの意思決定で開発が進められ、官民バラバラの戦略となって米国などのまとまった動きに太刀打ちできない構造に陥ってしまったといえます。まずはこのような体制面を見直した方がいいでしょう。

 

3.専業性が求められ、かつ世界に先駆けて起きている社会問題を新しい事業領域に

 

・一橋大学大学院国際企業戦略研究科:楠木 建 教授
日本企業は、ポートフォリオ経営(事業を分散させてリスク回避と収益安定を
最適化する手法)が苦手であり、逆に中小企業的な「道」を追求する「専業」が
得意であると解説。また、欧米と日本では抱えている社会問題の質が異なると
指摘しています。具体的には、欧米が抱えている社会問題は不確実性が高く予測
困難である一方、日本が抱える社会問題は複雑性が高いが予測できるものが多い
と言います。

 

つまり、日本が新しい事業領域を選択する際には、世界に先立って表面化している社会問題である「高齢化」「自然災害リスク」「エネルギー政策」などといった問題から、具体的な解決策が既に研究されていて、かつ日本企業の専業性を活かすことができるテーマに絞るべきと言えるでしょう。日本での実用化・商用化が進んだ頃には、世界が必要とする重要な事業となっている事でしょう。

 

まとめると、苦境に立たされている電機各社を復活させ、日本の電機業界を再び世界で戦えるレベルにしていくためには、日本で先立って表面化していて他国でも今後需要が出てくる社会問題解決に各社のリソースを集中し、国のリーダーシップのもとに一丸となって海外勢とやり合っていくことが肝要です。

 

その際に忘れてはならないのが組織内・組織間の風通しの良さと検証体制です。
各企業と直接関係のないオブザーバー機関を立てることも重要でしょう。たとえ実力者であったとしても、こういった環境を整えることができないトップがいたら、そういったオブザーバー機関が引導を渡すことも必要です。そのためには、国の強い意思が求められます。経済音痴、交渉下手なリーダーではそれが困難でしょう。場合によっては、そういった実力を兼ね備えたビジネスリーダーを要職に据えることも視野に入れるということも効果的な手段になるはずです。

 

そういった体制・仕組みを作り上げていくことが、ひとつの解決策になるのではないでしょうか。

 

さて、皆さんでしたら、電機業界の復活に向けて、どの様な戦略を考えますか?



一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

市場そのものは隆盛を続ける一方で外資に国内系企業が淘汰、買収されたりすることを何という?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP