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2011/12/21配信分

グルーバル感覚 マーケティング

日本の音楽は世界に通用するのか?

由紀さおり氏が海外で大ブレークしています。

 

そこには、どのような理由があるのでしょうか?

 

その理由を紐解き、今後日本の音楽を世界に売り出していくにはどういった方法が考えられるのかを今回は検討してみたいと思います。

 

2011年10月12日発売の「由紀さおり&ピンク・マルティーニ:【1969】」が米国iTunesジャズチャートで1位を獲得したのを皮切りに、CDパッケージ盤は世界23ヶ国に展開されて、いずれもヒットチャートの上位にあります。

 

ブレークのキーマンとなるのが、このアルバムを手がけた音楽プロデューサーである佐藤剛 氏です。

 

アルバム累計販売250万枚という実力派ジャズ・オーケストラ・グループであるピンク・マルティーニのリーダー:トーマス・M・ローダーデール氏が地元の中古レコード店で由紀さおり氏のLP盤【夜明けのスキャット】をジャケット買いして、その透明感ある歌声に魅かれて協演し、2009年7月にカバー曲【タ・ヤ・タン(TayaTan)】のライブ演奏がYouTubeにアップされたのをきっかけに注目を浴びました。

 

これを見た佐藤氏が、ピンク・マルティーニとコンタクトを取り、日本盤発売や来日公演を実現させ、由紀さおりデビュー40周年企画などの対応を進めてきたのです。

 

佐藤氏は、由紀さおり氏&ピンク・マルティーニに何を見出し、世界に売り出す手法を考えたのでしょうか。

 

そのヒントは、佐藤氏が今年7月に著した【上を向いて歩こう】にあります。

 

この著書は、2000年代前半から歌謡曲の時代が来ると考えた佐藤氏が、その波に乗って日本の歌謡曲を世界的に売り出すために、米国ヒットチャート誌「Billboard Hot 100」で1位(3週連続)を獲得した唯一の東洋人・日本人である坂本九 氏の代表曲【上を向いて歩こう(1961年)、海外「スキヤキ」】の成功要因を3年かけて調査したものです。

 

佐藤氏によると、「上を向いて歩こう」の成功は、「こんにちは赤ちゃん」など往年のヒット曲を生み出した 中村八大 氏の作曲力、秀でた企画力・構成力をもってテレビ黄金時代を築き上げた 永六輔 氏の作詞力、キュートなファルセット・ヴォイスと裏声を武器にした 坂本九 氏の独特な声質・歌い方という3つの要素が揃い融合したことがポイントだと考えているようです。

 

実際に外国人リスナーが挙げる坂本九 氏を支持する理由として、声のキュートさ/グルーブ感(ノリの良さ)/これらを活かすサウンドが挙げられています。
この点については、由紀さおり氏についても同様の意見が寄せられています。

 

そういったコアとなる素質に加え、混沌とする時代にあっても未来に向かって明るく進もうというメッセージ性、心を打つ普遍的なメロディと、日本初のロックンロールに通じる歌い方にチャレンジした楽曲性が、見事に結実したものであると佐藤氏は分析しています。

 

メッセージとコンセプトがしっかりしていたのだと言えるかもしれません。

 

ここでさらに検討を深めるために参考になるのが、近年、アジア各国の若年層を中心にブームを巻き起こしている韓国のK-POPです。

 

K-POPのマーケティング手法は、一言で表現すると「完成度の高さを売る」ということです。つまり、歌手達を売り出す国の文化を理解した上でその国の言語を使いこなし、メイク/衣装/ダンス/スタイル/サウンド/歌声などを完璧に仕上げた上で初めて売り出していきます。

 

日本では、「完成度の高い状態でデビューする」というよりは「未熟だけどフレッシュな状態からデビューし、ファンと一緒に成長していく」といったアプローチが長くとられてきました。「デビュー時=ダイヤの原石」といった固定観念があったため、完成度が高い新人アイドルグループを目の当たりに強い衝撃を受けたのでしょう。これが、日本でK-POPがヒットした要因のひとつではないでしょうか。
もちろん、緻密な戦略があった上でのことです。

 

このような視点で由紀さおり氏の今回のブレークを改めて分析すると、由紀さおり氏自身の完成度の高さはもちろん、米国で実力派として認められかつ米国文化をよく理解しているピンク・マルティーニがその実力に太鼓判を押し、アメリカナイズして演出したことが大ブレークの要因になったと考えられると思います。

 

また、完成度の高さは最低限の条件として、その売り方についても併せて考えていくことが大切です。例えば、

 

・市場分析に基づく明確な戦略の構築
⇒打ち出していくメッセージ、コンセプトの明確化など
・戦略に合わせた人材育成
⇒企画力・構成力・チャレンジ精神のあるプロデューサー、グルーブ感のある作曲
を得意とする作曲家、確かな歌唱力と独特で特徴的な歌い方をする歌手、バイラル
マーケティングに強みをもつマーケターの育成など
・ソーシャルメディア活用の基盤づくり
⇒企画や啓蒙活動によるソーシャルメディア利用者増加、国民個々の利用スキル育成  など

 

などのような、いわゆる経営戦略立案、戦略的な人材発掘と育成、盛り上がりを広げるためのプラットフォームづくりが求められると言えるのではないでしょうか。

 

国内だけでなく世界で戦っていくためにはこのような要素をいかに絡めていくかということが今後重要になってくると言えそうです。

 

さて、あなたが日本の歌謡曲から世界的スタンダード・ナンバーを輩出するとしたら、どのような方策が効果的であると考えますか?

 

そのような視点で、年末に放送される紅白歌合戦などの特番をご覧になられると、面白い発見があるかもしれません。



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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