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2013/09/25配信分

経営戦略 経済原論

日本のBPO市場は、今

先進国における失業率の上昇や就職難となっている背景のひとつには、安価な途上国への生産拠点の移転などが、原因であることは周知されています。

 

近年では、ブルーワーカー系だけでなく、ホワイトカラーの仕事も、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」に取って代わられると言われ続けています。しかし、現状を見てみると、市場は成長してはいるものの、言われているほど進んでいないのが状況のようです。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、「BPO」を取り上げ、今後の方向性と、我々先進国のビジネスパーソンが、今後どうあるべきかについて考えてみたいと思います。

 

まず「BPO」と似ているサービスに「シェアード・サービス」がありますが、先に両者の違いをまとめておきます。

 

◆シェアード・サービス(Shared Service)
・業務内容:人事・総務・経理・財務・購買・情報システム・保守
・依頼者 :複数の組織、グループ企業
・請負者 :グループ企業内で独立した別会社
・メリット:コスト削減、コア事業への集中
・注意点 :対応する組織のミッションが不明確になりやすい

 

◆BPO(Business Process Outsourcing)
・業務内容:間接業務
・依頼者 :企業、グループ企業
・請負者 :専門ベンダー
・メリット:大幅な経費削減、時間短縮、高度な処理も可能(IT系)
・注意点 :戦略と要望の明確化が必要、コミュニケーションが必要、丸投げできず

 

シェアード・サービスは、大企業やグループ企業向きで、業務内容もテンプレートがあるものに限定されますが、BPOは、1企業単位でも依頼が可能で、より高度な業務処理まで多岐に渡っています。

 

では、BPOでは具体的にどのような業務サービスを請け負っているのでしょうか。

 

業務内容としては、財務/経理/人事/教育/調達/販売/カスタマーコンタクト/サプライチェーン/エンジニアリングといった業務分野があり、業種としては、航空/公益/保険/金融/製薬/医療機関/公共サービスなどがあります。もう少し具体的に挙げると、次のようなものが挙げられます。

 

◆BPOの具体的業務内容例
◇人事/経理/財務
・給与計算、社会保険管理
・出納管理、交通費精算
◇データ入出力
・各種申込書受付、顧客データベース作成
・医療診断書入力、報告書入力
◇カスタマーコンタクト
・コールセンター

 

続いて、BPO市場規模を見てみましょう。国内のビジネス系BPO市場は、堅調に推移しています。

 

◆ビジネス系BPO市場の推移(国内)
2012年: 8,500億円(実績)
2013年: 9,000億円
2014年: 9,500億円
2015年: 9,800億円
2016年:12,000億円
2017年:12,500億円
※上記はビジネス系BPO(コンサルティング/人事/カスタマーケア/財務/調達の非IT系)に絞った市場規模データである。
※出典:IDC Japan(2013)

 

しかし、米国や世界と比較すると、日本のBPO市場は、まだまだ小さいと言わざるを得ません。

 

日本: 0.85兆円(2012年)→ 1.25兆円(2017年)
米国: 7.9 兆円(2012年)→ 9.7 兆円(2017年)
世界:15.8 兆円(2012年)→20.9 兆円(2017年)
※出典:IDC(2013)

 

また、BPOが盛んな米国では、コンサルティング系会社を中心に、より高度専門職のアウトソーシング業務にまで進化しており、KPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)と呼ばれています。

 

◆KPOの業務内容例
・法人決算業務
・特許など法務
・医療関連事務
・会計士
・弁理士
・弁護士
・医師
・アナリスト

 

なぜ、日本では、専門性が高い業務のBPOが進まないのでしょうか。その要因は、以下に示す日本企業のアンケート結果から垣間見えてきそうです。

 

1.BPOベンダーの信頼性を評価できず、ガバナンスの点からBPOベンダーを使えない。
2.社員との“つなぎ役”を外注化できず、中途半端なBPOなら不要という判断。
3.一旦依頼すると費用が固定化。最初はコストダウン効果が出るが、後が続かない。
4.社内の無理解、社内説明など調整の難しさ。
5.BPOベンダーの努力不足。「他社は対応していない」という理由で対応しない。
6.BPOしやすい研修での導入が遅れるのは、利益貢献効果が小さく優先順位が低い為。

 

以上の要因から、入出力のテンプレートが存在し、処理件数が膨大でスピードが求められる、という業務に限定されるのでしょう。また、米国の「KPO」に対して、日本では実質的に個人事業主の「士業」に依頼する事が多いことも挙げられると思われます。

 

しかし、日本の作業処理的なBPOの使われ方を見る限り、戦略的に利用しているように思われません。戦略的に考えるならば、次のような視点が必要なのではないでしょうか。

 

1.外部のプロを使い、質の向上を図る視点。
2.社内での短期育成が難しい、観測や分析などの知的作業と付加価値を伴う業務。
3.その土地にしか存在しないデータ収集・処理に長けるベンダーの活用。
4.M&Aなどで間接業務を統一化して本業を磨くといった長期戦略。

 

我々ビジネスパーソンとしては、こうしたBPOが加速することを前提に立ち、より付加価値を高めるアウトプットを出し続けることで成果につなげなければなりません。

 

それには、アウトソースする業務を、プロセス毎に切り分けてマネジメントする欧米型を目指すのか、あるいは社内に無いモノをアウトソース先に委託して、社内の成果物の改善と相乗効果を狙う日本型を目指すのか、企業の性格に合った選択と、各自の立ち位置が求められます。

 

これは、企業に限らず、個人の生き方にも通じるのではないでしょうか。

 

自分の生活を、より望む人生を実現しようとするならば、目標までの道のりをプロセス化してアウトソースする考え方を導入したり、自分でやる事と時間をお金で買うといった選択肢を使い分けたりといったことも可能でしょう。

 

さて、皆さんは、どのようにして、BPOを活用すべきと考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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