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2014/02/26配信分

ITリテラシー マーケティング 経営戦略

旧態依然とした巨大マーケットの攻め方!?

先頃、国内の書店、電子書店、取次業者の13社が、書店での電子書籍販売に乗り出すと報じられました。業界で一人勝ちのAmazonに対抗し、『ジャパゾン』と命名する新聞社も出るなど、顧客ニーズの検証も不十分で、旧態依然とした戦略を危ぶむ声が大半を占めています。
 
一方、鮮魚という旧態依然の巨大マーケットで、飲食店を次々と味方にして好調な展開を見せているのが 八面六臂(株)。代表取締役の 松田 雅也 氏は、「3兆円という鮮魚市場で、鮮魚流通のAmazon.comを目指す」と意気込んでいます。
 
そこで、今回の【MBAホルダーの視点】では、同社を取り上げ、旧態依然の巨大マーケットで躍進を続ける戦略から、その成功法則を探ってみたいと思います。
 
ところで、旧態依然とした巨大なマーケットには、どの様なものがあるでしょうか。
 
一例として、冒頭に挙げた出版、ゼネコン、葬儀、中食、電力、そして鮮魚流通などが挙げられますが、これらには、いくつかの特徴があります。
 
(1) 従業者に高齢者が多い
(2) ITリテラシーが低い
(3) 規模の大きい会社が勝つ
(4) 一定の固定資産が必要
(5) 商品の取扱知識が特殊
(6) 売り手都合がまかり通る
 
これらの特徴に対し、松田社長は、ベンチャー企業が戦うには、マーケットの特徴を逆手に取って、ゲリラ戦に勝つ事が重要と言います。八面六臂のビジネスモデルは、各地の漁師、産地市場と、築地市場の業者と飲食店をITと物流で結び付け、鮮魚の流通革命をもたらすものです。
 
松田社長は、前職の大手銀行で金融を、ベンチャーキャピタルで起業を、システム開発会社で総合物流を学びました。そして、物流系企業にIT導入提案をした際、水産物流通に携わる人から「この業界は遅れているから、なんとか流通を改善できないか?」という相談を持ち掛けられたのが、ビジネスアイデアのきっかけとなります。
 
しかし、当時出した答えは「無理です」というものでした。背景には、飲食店で鮮魚を発注するのは、ITに明るい店長ではなく、パソコン嫌いの料理人が電話とFAXで注文するのが一般的という状況がありました。しかも、鮮魚を供給する漁師、産地市場、築地市場、納品業者は零細企業がほとんどで、顧客ニーズを把握しておらず、営業努力する発想に欠け、景気の浮き沈みに身を任せ、かつ多くが高齢化していたのです。
 
つまり、流通の現場で本当に使えるハードとソフトが無かったので、改善は無理と思われたのです。
 
そんな時、iPadの登場で「これはビジネスを変える!」と直感した松田社長が、未経験の鮮魚市場で起業しました。実際、iPadを使ったインターフェースは、IT嫌いの料理人にも受け入れられていきます。現場に自らトラックを駆って配送した際、IT嫌いと言う料理人がiPhoneを使っている場面に多く出会い、IT嫌いなのではなく、ただ使い勝手が悪い機器が嫌いなのだと気付きます。
 
試行錯誤の末、注文ソフトをインストールしたiPadを飲食店に無償配布し、柔軟な注文と臨機応変な対応で、飲食店を次々に巻き込んでいきます。天候等で注文の鮮魚が入手できない時は、飲食店の料理価格帯や嗜好を把握している強みを活かし、代用品や提案によって鮮魚を効率的に無駄なく采配します。その為、シーズン毎に飲食店を廻り、注文時の意図や傾向を把握して、ニーズを把握しているのです。
 
契約飲食店は、2011年:30店舗 → 2012年:100店舗 → 2013年:300店舗と伸び、2014年度:1000店舗 を見込んでいます。昨年10月には、鮮魚流通のエコシステムを進化させる仕組みが注目され、第三者割当増資により 1億5000万円を調達しました。
 
一般に鮮魚の目利きは難しく、素人が入り込む余地は無いと言われますが、目利きの情報をデータベース化する事で、95%はカバーできると言います。残りの5%が、本当の目利きが求められる領域ですが、毎日の検品でサンマを100本触る生活が3ヶ月も続くと、たとえ新入社員であっても、この道20年のプロと話せる様になると言います。
 
そして、松田社長は、巨大マーケットで勝つ為のルールを、次の様に見ています。
 
(1) 早起きは3兆円の得
   →早朝4時起きが求められる様な、元々参入者数が少ない所が狙い目。
(2) 需要を束ねれば、供給はなんとかなる
   →営業でニーズを掴み需要さえ持てば、供給は確保できる。
(3) 勝負で勝つ為のルールを見抜く
   →お客様のニーズと供給情報を、上手く摺り合わせる事が重要。
(4) ITと物流を使いこなす
   →IT・物流等の総合力を発揮し、新規参入に対する優位性を確保する。
 
そして戦い方として、以下の活動に注力していると言います。
 
(1) お客様のニーズを掴む
   →商品を持って廻り、現場を見る事が重要。
(2) お客様から鍛えてもらう
   →最初に決めた理想像となるお客様から、厳しい声を多くもらう。
(3) 世の趨勢に沿う
   →人も資金も、世の中を良くしたい大きな流れに集まる。
(4) 適切な事業パートナーを選ぶ
   →自分に足りないものを素直に認め、助けを請う。
(5) 適切な従業員を選ぶ
   →事業は1人では出来ないので、ギブ&テイクで語り合い助け合う。
 
既得権益者の反発が強いと思われがちな鮮魚業界ですが、実際は、漁師の水利権が既得権益であり、鮮魚市場や流通部分では競合に見えても、別の角度から見るとお客様といった構図の様です。つまり、需要の中心ではキャッシュを持つ者が強く、商品知識/ビジネス知識が加われば、パワーバランスは一気に変わるのです。
 
これが、松田社長の基本戦略であり、今後は、漁師や産地市場を巻き込み、鮮魚流通革命の拡大を目論んでいる様です。
 
冒頭の電子書籍販売では、Amazonが勝つ為のルールを押さえているのに対し、13社連合はこれに打ち勝つ決定打は現状みられません。書店で電子書籍を売るという売り手都合が見受けられる点が、危ぶまれている要因でしょう。
 
さて、皆さんは、旧態依然とした巨大マーケットに対して、どの様な戦略を考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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