BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2012/05/30配信分

グルーバル感覚 経営戦略

楽天の戦略とは?

最近、楽天(株)の動きが注目を集めています。

 

医薬品・健康食品のインターネット通販「ケンコーコム」の買収や、ソーシャル写真共有サービスの「Pinterest(ピンタレスト)」への出資などは、どのような戦略に基づいているのでしょうか?

 

今回、MBAホルダーの視点では、経営戦略論や、情報リテラシーといったスキルを使い、公開情報を元に、その戦略の意味合いを紐解いてみたいと思います。

 

まずは、「ケンコーコム」買収について、その経緯を見ていきましょう。

 

楽天の投資子会社である「RSエンパワーメント」は、以前から「ケンコーコム」株の約18%を取得していました。今回、15億2225万円を投じ、「ケンコーコム」が6月に実施する第三者割当増資の全額を引き受けて40%を取得し、出資比率51%として経営権を握ると報じられています。

 

楽天からは、4名の取締役を送り、物流拠点拡充:6億7000万円、システム整備:5億5000万円、海外事業投資:2億8000万円を投資して、EC(Electronic Commerce:電子商取引)市場に対応すると報じられています。ここから考えられるのは、受注から配送までの時間短縮化と、規模拡大の準備を進めているという事でしょう。

 

続いて、「Pinterest」への出資について、その経緯を見て行きたいと思います。

 

「Pinterest」とは、写真を共有しながら、その感性を共有しようというサービスであり、2011年に米国で登場してから急成長して、時価総額15億ドルと、米国第3位(2012年3月時点)のSNS企業となりました。女性ユーザーが8割を超え、米国の訪問者数は月間1600万人を突破し、各国語対応が進められています。

 

そのような中、楽天は「Pinterest」に40億円を出資し、「Pinterest」は、First Mark/Bessemer/Andreesen Horowitz等の投資ファンドと合わせて合計1億ドルを調達するに至りました。

 

「Pinterest」のビジネスモデルについて、ITコンサルタント:吉野内 崇 氏は、

 

(1)ユーザーに情報開示せずに自社のアフィリエイト・トラッキング・コードを挿入している
(2)新興企業のベータ版サービスでありながら既に売上を出しているビジネスである

 

と解説しています。これは、EC出店事業者にとっても、売上向上に活用できる仕様になっている言えそうです。

 

従来のSNS企業は、無料サービスでユーザー数を拡大させて、収益確保は後から考えるといったいわば第一世代でしたが、「Pinterest」は収益を生み出す仕掛けを織り込んだという点で、より進化した次世代型SNS企業だと言えるでしょう。

 

また「Pinterest」がブレークした要因としては、

 

(1)美しいUI(User Interface)
(2)シンプルなユーザーアクション
(3)綺麗なモノを眺めたい・集めたい欲求に合致した

 

といったユーザー視点に基づく特徴も見逃せません。

 

楽天の三木谷 浩史 社長はインタビューで、「楽天IDとPinterestの連携を図り、利用者間がつながっていくようにしていきます。当然、そこにはフェイスブックでログインしたユーザーもいれば、ツイッターでログインしたユーザーもいるでしょう。その中でユーザーが興味や関心を軸につながっていき、そこに商品画像が流れる。それは楽天市場のものもあれば、アマゾンのものもあるというカタチでしょうね。今後、こうした流れの中でEC市場はさらに伸びる。」と言っています。

 

実は、楽天は2012年2月に顧客分析の速度と精度向上の為、「ビッグデータ部」を社内に設置しました。

 

約7500万人の会員に対して、「楽天市場」トップページをパーソナライズ化する為に、時々刻々と蓄積されていく顧客データを解析する試行錯誤を、5年間続けていた様です。

 

ファッション/食品など、ジャンル一覧を並べる順番は、男女別だけでなく、購買履歴や行動特性や嗜好を元に、購買意欲を刺激する推奨商品を割り出して掲載していると言います。楽天は、通販モール/旅行/証券/通信/クレジットカードなど11分野で事業展開しているので、ユーザーには、1つのIDで複数のサービスを利用してもらい、相乗効果によって収益力を高める事が可能となります。

 

ビッグデータ部で分析する情報とは、会員属性/購買履歴/趣味や関心(登録情報)/カードとポイント/クーポン情報/ログイン情報/サイト内の行動傾向/消費態度の特徴などで、会員を数百のグループに分類して情報発信する様です。

 

ビッグ・データの活用を進める動きは、インターネット企業や、ソーシャルゲーム企業の間にも広がっています。

 

こうした観点から見ると、楽天が「Pinterest」に出資したという見方と、逆に「Pinterest」が楽天をサポート企業として、歩み寄ってきたという見方も出来そうです。

 

特に最近、シリコンバレーの関心は中国よりも、日本にシフトしていると言われています。Twitterが中国では「微博(weibo)」となり、Facebookが中国では「人人網(renrenwan)」となったように、IT企業のビジネス進出が政治的に規制され、更には真似され続けている事への失望感が根底にあるようです。

 

そのように考えると、「Pinterest」にとって、楽天と組む意味とは、

 

(1)日本最大のユーザーチャネルにアクセスできる
(2)ECノウハウが得られる
(3)楽天のマネジメントを学べる

 

ということがあると言えるのではないでしょうか。

 

また、三木谷社長の口からは、「ディスカバリーショッピング」なるキーワードが出ています。これは価格競争から抜け出し、一点物/手作り品/こだわりのセレクト品といった商品を売る際には、「Pinterest」がカタログとしてふさわしいという見方もあるようです。

 

つまり、楽天の「ビッグデータ部」での活動成果が、女性ユーザーを集める「Pinterest」の注目を引き、楽天が把握している女性ユーザーの嗜好特徴から、「ケンコーコム」が扱う商品群の強化策と共に大規模な物流システム投資が必要になったと見ると、今回の一連の動きの説明ができそうです。

 

今後、ECコマースの活性化と拡大が、ますます加速することが予想されます。

 

さて、皆さまが楽天・三木谷社長の立場ならば、自社の躍進のためにどのような戦略を考えますか?



一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

一定期間に国内で生産された商品・サービスなどの付加価値の合計のことをなんと呼ぶか?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP