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2011/11/09配信分

論理思考

福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか

この度、【福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか】として、2011年10月28日に行われた 細野 豪志 原発事故収束・再発防止担当大臣と 大前 研一 BBT大学学長による記者会見の動画と、全報告資料が公開されました。

 

◆プレスリリース「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」◆

http://bit.ly/tvfJFn

 

報告書では、「どんな事が起きても過酷事故は起こさないという設計思想や指針が無かったという点で、天災ではなく人災である」と指摘して、原発再稼働に向けては「いかなる状況においても、電源と原子炉の冷却源を確保する」ことを求めました。

 

大前 研一 学長は記者発表の中で、記者の人達の原子炉に関する知識が少なく、設計思想や設計指針といった反省すべきポイントが、正しく伝わったかどうかを心配しています。

 

一方、報道発表内容に対するインターネット上の反響は、「原発で何が起きていたのかが良く分かる」「構成が的確で状況証拠の裏付けも綿密である」「教訓と対策は説得力がある」「真実に触れている」といったコメントが並んでいます。

 

ここでは、大前 研一 学長が作成した【福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか:中間報告:チームH2Oプロジェクト】と題された186ページの報告資料を通して、私達にも応用できる”報告資料のまとめ方”について、ポイントを紐解いていきたいと思います。

 

今回取り上げるのは以下の5点です。

 

(1)本プロジェクトの目的(P.3)
冒頭ではプロジェクトの目的として以下の3点

 

・我々が共有すべき事実・課題・教訓を抽出する

・原子力発電所の再稼動の可否判定に必要となる科学的・技術的・論理的な枠組みを提供する

・IAEA等の国際的中立・信用に足る機関のコンセンサスを得られる内容とする

 

と明確に規定されています。

 

レポートでは、まず目的を定義する事が重要です。インターネット上には、少数ながらも批判的なコメントを見掛けますが、それらは視点が「本プロジェクトの目的」から外れた過大な期待感に基づく見方が多く、論点を発散させない枠組みとして目的の重要性が理解できると思います。

 

(2)中期フェーズ(P.4)
再稼動までの1年間と区切った上で、「本プロジェクトは第一フェーズをカバーする」と、対象フェーズを明らかにしています。

 

この様に時間軸を明確に規定する事は、プロジェクトでは人・物・金といったリソース計画と見積りを立てる上でも重要です。具体性ある実行計画によって、関係方面・関係各位へのコンセンサスが得やすくなる効果につながります。

 

(3)プロジェクト体制(P.6)
こちらのメンバー表には、「中立的・客観的な立場から事実を洗い出し、教訓を導く」という主旨を示しながら、キーマンの役割をシンプルに提示しています。

 

メンバー表には、往々にして権威ある人物の名前を羅列したくなるものですが、人選理由と役割を記載する事で、プロジェクトチームの信頼性が増し、方向性が明らかになる効果が得られるといえます。

 

(4)プロジェクトのスコープ(P.7)
“「本プロジェクトの主たる調査対象」として、「プラントの安全確保」「地元の安全確保」の対策の為に、技術的側面に主眼を置く”と、定義しています。

 

これは、報告書が具体的に誰の為に、何の為に作成するのかを規定する事で、報告書の方向性の軸がブレる事を防ぎ、レポートに基づく実際の活動が第三者によって誘導されてしまう危険性に対し楔を打つ効果があります。

 

(5)津波の実態(P.40)
各種データに加えて、インタビューによる「現場の声」として過酷で厳しい現場からの生々しい声がまとめられています。

 

通常、報告書では、数値データや図表・写真といった定量的データを記載するものですが、あえて、定性的・情緒的なデータも記載する事で、現場の健闘にも配慮しつつ、より公正で公平さを感じさせるものとなっています。そして、この情緒的データから教訓と対策案を導き出し、今回のレポートの重要な鍵になってい
る事も分かります。

 

この様に、本報告資料は、技術的な内容の正確さや分析力の高さもさる事ながら、基本に忠実な各構成部分に一工夫を盛り込む事で、より説得力があり現場を動かす力のあるものになっています。

 

さて、皆さんは、このレポートから、どの様な“報告レポートのまとめ方”スキルを学び取りますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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