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2013/02/27配信分

論理思考

長寿番組の秘訣から考えるテレビ局の方策

最近、テレビ局の広告収入が減少し、制作費カットに伴い番組が画一化して、テレビを見ない人が増えていく「テレビ離れ」が加速しています。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、テレビ局が抱える本問題を取り上げ、問題解決のためにテレビ局が打ち得る対策について考えてみたいと思います。

 

テレビ広告費の推移を見てみると、2000年:2兆793億円をピークに減少に転じ、2007年:1兆9981億円、2015年:1兆7992億円との試算があります(日本民間放送連盟:電通発表)。最近では、2009年度にテレビ朝日/テレビ東京が最終赤字に転落しました。

 

続いて、総世帯数に占めるテレビ電源が投入された世帯数を示す「HUT(Households Using Televison=総世帯視聴率)」をみると、関東エリアのゴールデンタイムでは、1997年度下期:71.2%、2011年上期:62.7%へ減少しています(TBS決算説明会補足資料)。

 

さらに、テレビ視聴者率が、1995年:92%→2010年:89% へと減少しています。
男女年齢別では、若い層(男10代/女20代/女40代)が大きく減少し、逆に高齢層(70代以上)が増えています(2010年国民生活時間調査:NHK放送文化研究所)。

 

ただ一方、テレビの視聴時間(テレビを見ていない人も含めた平均時間)は、1995年:3時間19分→2010年:3時間28分と増えています(2010年国民生活時間調査:NHK放送文化研究所)。

 

これらから、テレビ離れとは主に若い層に起きている現象で、逆に高齢者はテレビ視聴時間が増え、全体として広告収入につながらない構造に陥っていると言えそうです。

 

上記を踏まえると、例えば以下のような2つの視点による打ち手が考えられると思われます。

 

まず1つ目は、広告収入の減少要因の1つである視聴率低下に対し、より多くの人に見てもらえる番組作りをすることです。

 

その方向性を考えるために、番組作りのヒントとしてここでは1つの番組を取り上げてみます。

 

1988年から放送されている朝日放送(ABCテレビ系)【探偵!ナイトスクープ】です。
平均視聴率20%という人気番組となっている理由について、番組構成を25年間務める作家・百田 直樹 氏が『大阪の番組作りの秘密』という講演の中で説明しています。

 

在阪テレビ局が抱える共通の悩みは「お金がない」ことであり、在京テレビ局と対抗するには、アイデア勝負が求められ「タレント頼みではなく企画こそ命」と言います。

 

百田氏は、「15年ほど前から日本全体が企画よりもタレントの力を借りた番組が増え、モノを作る姿勢が抜けていく気がして悲しかった」と振り返り、子供からお年寄りまで家族揃って楽しく見られる番組りを心掛けていると言います。

 

その他の番組も参考になるものをザッと見てみましょう。長寿番組(20年超:民放番組)のうち、特徴的なものを見てみます。

 

●時代劇
水戸黄門(TBS):1969年〜2011年

 

●アニメ
サザエさん(フジテレビ):1969年〜
ドラえもん(テレビ朝日):1973年〜
それいけ!アンパンマン(日本テレビ):1988年〜
ちびまる子ちゃん(フジテレビ):1990年〜

 

●トーク
徹子の部屋(テレビ朝日):1976年〜
新婚さんいらっしゃい!(朝日放送):1971年〜

 

●お笑い
よしもと新喜劇(毎日放送):1962年〜
笑点(日本テレビ):1966年〜

 

●バラエティ
タモリ倶楽部(テレビ朝日):1982年〜
笑っていいとも(フジテレビ):1982年〜
アッコにおまかせ(TBS):1985年〜
探偵!ナイトスクープ(朝日放送):1988年〜

 

●特別番組
全日本仮装大賞(日本テレビ):1979年〜
はじめてのおつかい(日本テレビ):1991年〜

 

これらの長寿番組を見てみると、共通点があります。

 

(1)独自の価値観、フォーマットを持ち、番組が脱線しないようにしている。
(2)視聴者(素人)の出演・投稿・身近なテーマを、巧みに盛り込んでいる。
(3)名司会者による助走期間がある、または司会者が変わらない。
(4)視聴者にウケる・共感することを意識している。
(5)クオリティ維持の手間暇を惜しまない。

 

こういった視点に基づく番組作りが、根強い支持を得て見られ続ける長寿番組を作っていく上でポイントになってくると思われます。

 

もう1つは、広告収入に頼るビジネスモデルの限界に対し、新たな収益源の確保を図っていくということです。

 

新たな収益源として、番組の二次利用と高齢者にお金を使ってもらうための工夫を考えてみましょう。

 

番組の二次利用については、興味深い例があります。

 

1986〜1992年に放送された【加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ】(TBS)の『面白ビデオコーナー』が約80ヶ国にフォーマット販売され、米ABC(現Disney/ABC)では『America’s Funniest Home Videos(AFV)』として、23年間の長寿番組を記録、現在も使用料が支払われています。TBSは1960年代以降、海外番販売に積極的に取り組み、「フォーマット番組販売」では世界的な草分け的存在です。

 

日本は、様々な年齢層に合わせ、フォーマットを用意できる環境にあります。
世界的には、子供向けや高齢者向けのニーズも増すでしょうから、外販の機会が増えるでしょう。

 

高齢者にお金を使って貰える工夫としては、高齢者が若かった頃の番組を加工して放送する仕組みや、シニア向け番組の曜日/時間枠を固定して視聴率の安定化を図りながら高齢者向けにアレンジした広告や直販を図るといった方策が考えられるのではないでしょうか。

 

さて、皆さんがテレビ局の責任者だとしたら、収益確保のために今後どのような方策を打ち出しますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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