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2013/12/05配信分

経営戦略 論理思考

食品偽装問題を考える

最近、一流ホテルのレストランでの食品偽装問題をきっかけに、テーマパーク/百貨店/老舗料亭/外食チェーン店/スーパーなど、信用を売り物にしているはずの企業による食品偽装の内部告発が頻発しています。

 

ちょうど一昨年、グルーポンを使ったおせち料理の割引販売では、見本と異なり、量が少ない/腐っている商品が販売された事件を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

 

最近、問題となっている食材の偽装には、以下のようなものがあります。

 

◆表示された食材名(実際の食材名)→「料理名」

 

・前沢牛(山形牛)
・オーガニック野菜(普通の野菜)
・北海道産ボタンエビ(カナダ産)
・京地鶏(ブロイラー)
・牛肉(牛脂注入加工肉)
・芝エビ/大正海老(バナメイエビ)
・車エビ(ブラックタイガー)
・静岡産桜エビ(台湾産)
・フランス産栗(中国産)
・フレッシュジュース(ストレートジュース)
・ズワイガニ(紅ズワイガニ)
・活ホタテ(冷蔵品)
・和牛挽肉(合い挽き)
・秋田産稲庭うどん(秋田以外の稲庭風)

 

そして、偽装が問題として槍玉に上げられた結果、表示が単なる「エビ」「ホタテ」と表示されたり、「台湾産」といった正直ベースで表記されたり、さらには、「手作り」「新鮮」「焼き立て」「お母さんが作った」といったイメージ表現までもが見直されている傾向にあります。

 

食品偽装問題に対し、否定的見解の報道には、以下のような指摘があります。

 

・企業の信用を、長期に渡り傷つけた。
・企業のコンプライアンス問題/CSR問題そのものである。
・法律違反が適用でき、行政指導の事例が過去にある。
・日本の「おもてなし」文化を否定するものである。
・食品偽装の告発ブームを機会に駆け込み告発する風潮がある。

 

一方で、食品偽装の発生は、企業だけが原因ではないという指摘もあります。

 

・魚介類等の食材は商習慣による呼称から、明文化されたルールがない。
・食品衛生法には抜け穴があり、食料政策に問題を許す部分がある。
・顧客からの安さを求める声が、食材調達コストと乖離している。
・安全、安心、安価、美味しいは、そもそもトレードオフの関係にある。
・今回は、トレーサビリティという難易度の高い問題に光が当たった。

 

現在、大きく取り沙汰されている食品偽装問題。これまではいったいどのような状態だったのでしょうか?歴史を簡単に振り返ってみましょう。

 

●戦後〜昭和40年代戦後の日本は飢餓にあえいでいました。多くの食料が統制下にあり配給制が継続され、闇市では衛生基準や偽装表示など、デタラメな状態でした。戦後、人々を脅かしたのは、有毒物質混入事故と、チクロやサッカリンなどの食品添加物の安全性問題でした。

 

●昭和50年代〜平成
1976年(昭和51年)に、米国・フォード大統領の主導で、消費者の8つの権利と
5つの責任が規定され、消費者の意識も変化していきました。この頃から、偽装表示が糾弾される土壌が整ってきました。

 

●近年食品添加物への関心が大きくなり、発ガン性や奇形性を持つとされる食品添加物の使用禁止措置が取られます。食品安全を求めるあまり、無添加食品や低農薬野菜が流行しますが、同時に悪質業者の偽装表示が生まれます。

 

記憶に新しいところでは、BSEショック、乳製品での食中毒事件、菓子での賞味期限改ざん、精肉業界での偽装、高級料亭での偽装など、加工食品や外食産業での事件が明るみに出ました。

 

2006年『食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会』では、無添加などのゼロリスク商法は、消費者に誤解と不安を広げるだけで、真の対策である信頼の構築には結びつかないと、すでに報告されています。

 

つまり、食品のゼロリスクは、本来は限定された量・環境・コストでしか存在しないものであり、顧客の求める声が大きくなればなるほど、偽装を誘発する素地を生むということです。こちらは企業側のモラル以外の問題のひとつとして考えられます。

 

また、一連の食品偽装表示事件で明らかになったのは、一部の悪質な業者だけではなく広く業界ぐるみで行われている可能性が高いということでした。
今回、問題となったホテルには消費者庁が立ち入り検査に入ったとされますが、どのような裁定が下され、法規制化が進むのかが注目されるところです。

 

時代と共に食材の安全性が進化する一方で、加工食品や飲食業界については、そのブラックボックス性から、信用度とメディア報道に翻弄されている側面があるようです。政府の対応も、事件が起きる度に、監督省庁と法規制が複雑化しています。

 

個人にしろ企業にしろ、リスクといかに向かい合うかが重要になってきます。

 

個人については、食材や健康などに対するリテラシーを高めることが必須であり、情報を鵜呑みにせず自分の身は自分で守る必要があります。
「正しく怖がる」ということが求められているのではないでしょうか。

 

また、企業は、食材から意味の無いブランド名を消し、代わりにオリジナルな処置/加工/調理といった特徴が記載される方向に舵を切り、誤解や消費者に対して不利益が出ることがないよう情報開示を常に行うことが求められます。

 

さて、皆さんは、食品偽装問題に関して、どのような対策が望ましいと考えますか?



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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