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2016/01/15配信分

グルーバル感覚 組織人事

米TIME誌「2015年の顔」、メルケル首相がEUの砦!?【大前研一メソッド】

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ドイツのメルケル首相がTIME誌で2015年の顔として取り上げられましたが、首相になってからもう10年が経ちますね! 最近では難民問題でドイツ国内で批判も起きているようですが、一体どうなんでしょうか?

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メルケル首相は、世界でもリーダーとしての評価は抜群に高い。 今回の難民受け入れにしても率先して指揮を取ってきた。国内世論では厳しい風に晒されているが、退陣に追い込まれることはあるだろうか?一緒にみていくぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『  米TIME誌「2015年の顔」はドイツのメルケル首相 』
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米TIME誌は「2015年の顔」としてドイツのアンゲラ・メルケル首相を選びました。欧州の債務危機や中東などからの難民受け入れに対する行動力を評価し、「多くの政治家であれば恐れて二の足を踏むようなことでさえも自国に対して求め、暴政と安易な便宜主義の双方に立ち向かい、確固たる倫理的指導力が不足しがちな世界に、それをもたらした」ことが選出理由でした。

 

【資料】Person of the Year 2015

 

2005年にドイツの首相に就任したメルケル首相の11年目の年がスタートしました。メルケル政権は安泰なのでしょうか? 大前研一に聞きます。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 メルケル首相のリーダーシップに対する世界の期待は大きい 』
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目下、メルケル首相を窮地に追い込んでいるのは難民問題である。

 

15年9月の時点でドイツ政府は年間80万人の難民受け入れを表明した(実際にはすでに100万人を超している)。これはナチス時代の反省や人道的な理由だけではなく、労働力確保という目算もあったはずだ。中東やアフリカ地域から欧州を目指す移民・難民の急増に対して、EUは加盟国の経済規模に応じて受け入れ枠を配分する割り当て制度を検討してきた。9月には強制的に割り振ることが決まったが、どこも聞こえないふりをしている状態で、積極的に難民の受け入れを表明したのはドイツくらいのものだ。

 

難民の受け入れ体制もドイツは手厚い。食糧や生活必需品のほか、現金も支給される。難民として庇護認定を受けるまでには3カ月程度かかると言われているが、シリア難民ならほぼ認定が得られる。また認定されそうな人は認定期間中からドイツ語教育が受けられる。しっかり教育して労働力に組み込もうという意図が込められているのだ。

 

今どきの難民はスマホやSNSで情報交換しているから、「ここはもうダメだ」とか「あの国ではひどい目に遭った」といった情報はすぐに伝わる。

 

「ドイツに行けば幸せが待っている」という情報もまたたく間に拡散、それに導かれるように難民はドイツを目指し、到達したときには「メルケル万歳」と口々に叫ぶ。だが難民が大挙して押し寄せてくるうちに、ドイツ世論の風向きが変わってきた。「80万人の受け入れは無理だ」「なんでドイツばかりが負担しなければいけないのか」と難民政策を批判する声が日増しに強まって、メルケル首相に対する圧倒的な支持が揺らいでいる。

 

難民に手を差し伸べてこそEUであり、割り当ての範囲でドイツは喜んで難民を引き受ける、というのがメルケル首相の立場だ。牧師の娘であり敬虔なクリスチャン。東ドイツ育ちで、命懸けで西側に脱出する人が周囲にいたから、難民や移民の身の上にシンパシーを感じる部分もあるのだろう。ドイツ国内でそれが鼻につくようになって、「難民に寛大すぎる」とか、「メルケルでは難民支援の公的負担が重すぎる」という批判につながっている。しかし、ヘルムート・コール元首相が今のリーダーだとしても同じことをやったと私は思う。

 

コール元首相は東西ドイツ統一の際に、2つのことを即座に決断した。
当時、東ドイツマルクと西ドイツマルクの実勢レートは10倍以上の開きがあったが、これを1対1で交換した(一定以上の貯蓄や住宅ローン、企業負債などの交換比率は2対1)。おかげで東ドイツの人々はいきなり豊かになった。2番目は西ドイツ国民の所得税や法人税に5%のサータックス(付加税)を5年間課税して、統一コストと東ドイツの復興に充てたことだ。

 

統合後のドイツは東西格差にあまり悩まされることなく、スムーズに成長軌道に乗せることができた。東ドイツにハンディキャップを与えた2つの施策はコール元首相の大英断だったと私は評価している。コール元首相にしても、メルケル首相にしても、人道的で腹が太い。戦後のドイツの指導者の特徴でもある。

 

 

世論の反発が強まりつつある難民問題――。メルケル首相はこの危機を乗り越えられるだろうか。当面、厳しい局面が続くのは間違いない。しかし、退陣に追い込まれるようなことはないと見る。理由はメルケルに代わる強力なリーダーがいないからだ。日本の安倍政権と同じである。

 

西ドイツ初代連邦首相のコンラート・アデナウアー、欧州統合の先駆者である第5代首相のヘルムート・シュミット、その後を継いだ前述のコールなど、10年前後の長期政権を築くのがドイツのビジョン型リーダーのスタイルだ。コールに至っては戦後最長の16年にわたって首相を務めた。メルケル首相も間違いなく、その系譜に入ってくる。

 

メルケル首相は、米経済誌Forbesの「世界で最も影響力のある女性100人」でたびたび1位になっているが、オバマ大統領にしても、習近平国家主席にしても彼女のリーダーシップには一目置いている。プーチン大統領が最も信頼する欧州人は、ロシア語が堪能で自在にコミュニケーションできるメルケルだ。欧州政治においてもメルケルに代わるリーダーはいない。

 

難民問題でもそうだが、ノブレス・オブリージュで、自己犠牲を惜しまずにヨーロッパを救おうとするドイツのような国がなければEUはまとまらない。少しでも油断したら極右や民族派が台頭して、EUの求心力が低下する時代はなおさらだ。

 

ウクライナ問題では米国と一緒になってロシア制裁をしながら、イランの核開発問題やシリア・IS(イスラム国)問題などではロシアと連携を模索するという米ロの板挟み状況が依然続く中、EUとして有効なカードが切れないでいる。この状況を動かすべく、ビジョン型リーダーの“洞察”、意思決定できない米国の説得、というものをメルケル首相が示すべき時がきていると私は思っている。

 

 



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今回のポイントだ!
●メルケル首相を窮地に追い込んでいるのは難民問題である。
●難民に手を差し伸べてこそEUであり、ドイツは喜んで難民を引き受けるというのがメルケル首相の立場だが、これがドイツ国内の批判につながっている。
●それでもメルケル首相が退陣に追い込まれることはないだろう。理由はメルケルに代わる強力なリーダーが欧洲にいないことにある。

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強力なリーダーシップを持った人がいないのは、日本も同じですね!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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