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2016/04/29配信分

グルーバル感覚

介護問題を抜本的に解決する2つの方法!【大前研一メソッド】

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最近高齢者が虐待される事件が目立ってきていますが、国は何か解決策を打ち出しているんでしょうか? このままだと高齢者が増加するにしたがって、虐待がどんどん増えていく気がします…

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実は国や自治体は解決策を打ち出せないままだ。このまま放っておくと、くまおの言うとおりさらに深刻化することが懸念される。 では実際にどう解決していったらいいのか、考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 高齢者虐待や事件・事故が日本で止まらない 』
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高齢者虐待が急増し、殺人事件までもが頻発しています。しかしながら、国や自治体は根本的な解決策を打ち出せないでいます。その場しのぎの解決策ではもはや立ちいかないことを国や自治体が自覚しなければ、状況はますますひどくなるであろうことは明らかです。

 

解決策はあるのでしょうか?大前研一の考えを聞いてみましょう。

 

【資料】
平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果 ―― 厚労省

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 解を国外に求める=移民あるいは海外に高齢者施設をつくる 』
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《事例A》高齢者入居施設で高齢者虐待

 

神奈川県川崎市の介護付き有料老人ホームで2014年に入所者が相次いで転落死した事件は、元職員が殺人容疑で逮捕されるショッキングな結末を迎えた。現時点では全容が明らかになっていないが、この事件は逮捕された元職員個人の心の闇の問題では片づけられない。日本全国の老人ホームや介護施設で入所者への虐待事件は後を絶たない。厚生労働省の調査によれば、14年度の施設での高齢者虐待は前年度から3割以上増加して300件。これは市町村が虐待と判断した数字にすぎず、認知症などの影響で被害が表に出てこないケースがどれだけあるかわからない。

 

《事例B》現代版の“姥捨て山”の実態

 

09年に群馬県渋川市にある高齢者施設「静養ホームたまゆら」で、入所者10人が死亡する火災事故があった。犠牲者の多くは都内墨田区で生活保護を受けていた高齢者で、行政の紹介で当該の施設に身を寄せていた。身近な特養老人ホームは何年も入居待ち状態で入れず、お金のかかる有料老人ホームにも入れない。そうした低所得の高齢者が「たまゆら」のような近県の施設に多数いること、夜間はスタッフが1人しかおらず火災などのときにはとても運び出せない、などの実態が事故後の調査で明らかになった。この火災事故によって現代の姥捨て山の実態が世に知らしめられて、介護施設の圧倒的な不足と介護現場の慢性的な人手不足の現実が改めて浮き彫りになった。

 

《事例C》「家族が一緒に住んで介護するのは不利」になりかねない判例

 

先般、列車にはねられて死亡した認知症の男性(当時91歳)の遺族がJR東海から損害賠償(約720万円)を求められていた訴訟の最高裁判決が出た。認知症男性の妻(当時85歳)にも子供にも責任はないとして損害賠償を認めないという判決内容で、それはよかったのだが、判決趣旨には疑問が残った。

 

問題は子供の監督責任についてで、20年以上同居していなかったことや事故直前の訪問状況などを考慮した結果、監督責任はないというのだ。ということは、裏返せば同居して逐一面倒を見ていた場合、監督責任が生じる可能性が高いことになる。

 

家族が一緒に住んで介護するのは不利、という考え方を助長しかねず、よくない(あるいは中途半端な)判例だと私は考える。

 

 

◆在宅介護現場は、施設以上に高齢者虐待が深刻か?

 

施設以上に高齢者虐待が深刻なのは、孤立しがちな在宅介護の現場だ。厚労省の調査でも、養護者(高齢者の世話をしている家族や親族)による虐待と判断された件数、あるいは相談・通報件数は、施設従事者のそれを優に上回る。

 

日本では老親の面倒を見るのは子供の役割という考え方が根強いし、「自分の家で死にたい」というメンタリティも強い。 特別養護老人ホームなどの施設も順番待ちでなかなか入れないから、結局、在宅介護しか選択肢がないケースが圧倒的に多い。

 

日本では在宅介護のために仕事を辞める介護離職が年間10万人(一説には30万人)いるとも言われているが、そんな国はほかにはない。自分の仕事を犠牲にしたり、義理の親の世話を理不尽に押し付けられて、終わりが見えない在宅介護をしているのだから、介護疲れや介護ストレスは溜まってくる。

 

それが家族の関係を歪め、虐待の原因にもなっている。最近は子供が最後まで面倒を見てくれるか不安だから、生前贈与をしないで資産を抱えたまま「使い道不明」という高齢者も増えている。介護や相続問題をめぐって、家族関係が非常に殺伐としたものになっているのだ。

 

かつて左翼系の政治家が掲げていた北欧型の高度福祉社会では介護はコミュニティーの仕事として定義されている。実際、スウェーデンやデンマーク、フィンランドに行って視察してきたが、在宅介護はほとんどない。日本も家族に最期まで面倒を見てもらうことを前提としないライフスタイルを国が提案して、またそれを可能にする施設づくりと人材育成に真剣に取り組むべきだと思う。

 

《解決策1》移民を認める

 

こうした問題に正面から向き合うなら、国は大きく2つのことをやらなければいけない。1つは移民である。フィリピンやインドネシア、タイなどから介護福祉士の資格を持っている人材を迎え入れる。必要最低限の日本語を教えて仮免許を与え、3~5年の実務経験を積ませたうえで最終試験を行って、パスすればグリーンカードを与えて日本に永住できるようにする。

 

《解決策2》施設を海外に持っていく

 

もう1つは高齢者施設の世界化である。タイのチェンマイにドイツ人が経営するパッシブシニア(外出困難な高齢者)向けの施設があって、見学に行ったことがある。入所していたのはドイツ人やスイス人、スウェーデン人だったが、1人につき現地の女性が3人ついて、8時間ごとに3交替、24時間体制で懇切丁寧に面倒を見ていた。施設は入所者の年金を原資に運営されていて、スイス人やドイツ人の年金の半額、月額12万円くらいで食費や医療費、人件費などすべてが賄われている。

 

人手不足で労賃も高く、土地代も高い日本国内で、高齢者施設をいかに拡充していくかという課題に対する答えを見つけるのは非常に難しい。そこで解を国外に求める。つまり労賃や土地代の安い海外に高齢者施設をつくるのだ。それも1つの場所に固めてつくることが大事で、そうすることで介護士の養成や訓練、人材募集などもまとめてできるし、(日本語ができる)病院を併設することもできる。私が見学したチェンマイの施設程度なら全部足しても2000万円くらいでつくれるし、施設の入居費は日本でもらう年金で十分に賄える。

 

 

私は1995年に東京都知事選に出馬したのだが、そのときから、日本の高齢者介護問題を抜本的に解決するには以下の2つの方法しかないと主張してきた。

 

(1)移民を認める
(2)施設を海外に持っていく

 

(2)の場合、具体的にはオーストラリア北西部のイスマスに米軍が撤退した空港完備の広大な土地があるから、東京都が買い取るか100年リースで借りて病院や介護施設をつくるべし、という具体案も当時、提示した。高齢者虐待の急増や前述した事件・事故の頻発は、その頃よりも状況が悪化していることを物語っている。国内だけの、その場しのぎの解決策ではもはや立ちいかないことを、国や自治体が自覚しなければ、状況はますますひどくなるだろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●高齢者の虐待があとを絶たないものの、国は解決策を打ち出せないままである。
●日本では在宅介護のために年間10万人離職しているといわれているが、そんな国は他にない。在宅介護は現実的には難しい。
●日本の高齢者介護問題を抜本的に解決するには2つの方法しかない。移民の受け入れと、高齢者施設を海外に持っていくことだ。

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介護問題は海外の力を借りて、解決しそうですね!

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大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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