BIZTIPS>BIZトピックス>日産ゴーン社長は、赤字1450億円の三菱自をどう料理する!?【大前研一メソッド】

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2016/06/24配信分

経営戦略

日産ゴーン社長は、赤字1450億円の三菱自をどう料理する!?【大前研一メソッド】

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三菱自動車が最終的に赤字が1500億円になる見通しと発表していますが、日産はそういうことが分かっていて買収したんでしょうか?
これからどうやって立て直していくつもりなんでしょう?

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日産がいち早く買収に名乗りでたのはさすがだ!そこにどんな目的があったのか、考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 三菱自、燃費不正問題で1500億円の特別損失を計上する見通し 』
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三菱自動車工業(以下、三菱自)の燃費データ不正問題で改ざんのあった軽自動車4車種について、国の確認試験を行った結果、排ガスについて保安基準を満たしていたため、国土交通省は量産・販売に必要な「型式指定」の取り消しを見送ることを決めました。4月20日以来停止していた軽4車種の生産を7月上旬から再開する予定です。

 

それを受けて、三菱自は、2016年度業績見通しを発表しました。発表によると、不正があった軽自動車など合わせて9車種の顧客に対する賠償金のほか、軽自動車の生産と販売の停止に伴う部品メーカーや販売店、それに供給先の日産自動車(以下、日産)への補償などの費用として、合計で1500億円の特別損失を計上するとしています。

 

【資料】2016年度業績見通しを発表 ―― 三菱自動車工業

 

これに先立ち、ルノー・日産グループは、三菱自と、購買と開発を統合することを決めています。日産は、三菱自の経営再建ができるのでしょうか?日産が真っ赤な“火中の栗”を拾う理由は何なのでしょうか?大前研一に聞いてきましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 新車販売台数900万台超でGMやVWが射程距離内に入る 』
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◆不祥事の繰り返しの原因はトップマネジメントの責任

 

2000年と04年に大規模なリコール隠しが発覚して、三菱自は倒産の危機に追い込まれた。提携先のダイムラー・ベンツはトラック・バス部門だけ切り離して傘下に収め乗用車部門は「不要」という決断をしていた。取り残された乗用車部門は重工・商事・銀行のバックアップでようやく危機を乗り越えたかに思われた矢先に、今度の燃費不正事件である。なぜ三菱自の不祥事は繰り返されるのか。その答えは単純ではなく、複合的な原因がある。それを一つの結論に帰結させるとすれば、やはりトップマネジメントの責任ということになるだろう。

 

三菱自の歴代トップは重工出身者がほとんどを占めているが、6代目の中村裕一氏は技術者出身の生え抜き社長で、氏の時代にリコール隠し問題が起きている。「俺のつくった車に文句があるか」というタイプのワンマン社長が、社内で上がってきた顧客からのクレームを封印して、「そんなことを気にせずに売れ」と号令をかけ続けたことが最大の問題だった。その後は再び重工や商事出身のトップが続いたが、14年に自工出身の技術者である相川哲郎氏が社長に就任する。「三菱グループの天皇」と呼ばれた相川賢太郎氏(三菱重工相談役)を父に持ち「生え抜きエース」と言われた相川社長だが、燃費不正事件の責任を取る形で辞任を発表した。

 

◆燃費データの不正の要因

 

燃費データの不正は、相川社長になる以前から行われていたようで、1991年から法令とは異なる方法で燃費試験を行っていたという。つまり、リコール隠しが発覚する以前から不正は常態化していたということだ。少なくても問題発覚の契機になった軽自動車(eKワゴンなど4車種)で不正が行われた背景について、三菱自は国土交通省に提出した調査報告書で3つの要因を挙げている。
(1)燃費トップ達成のプレッシャー要因
(2)閉鎖性が強く不透明な組織、硬直化した人事などの組織的要因
(3)管理・検証意欲の欠如、業務委託先任せの対応、高圧的言動などの属人的要因

 

三菱重工出身の外様トップ、あるいは独善的な生え抜きトップの下で、現場は「ライバル社に負けるな」と無茶な必達目標を設定され、実現するためなら机上の計算で数字を操作してしまう――。上からの命令には盾突けない、会社のためなら不正もやむなし、というのはリコール隠しと同根の企業体質というほかない。

 

しかし、社内ではリコール隠しと燃費データの不正は異質なものという認識だったのではないか。そうでなければリコール隠しであれだけ叩かれた裏で、燃費データの偽装は続けられないだろう。リコールと違って「燃費性能を少々いかさましても人命には関係ない」「自分たちより研究予算が何倍もある相手と競争しているのだから、計算機で数字合わせしても仕方ない」くらいの感覚だったのだろう。相川賢太郎氏が週刊新潮のインタビューで「燃費なんてコマーシャル。乗る人はそんなもの気にしてない」という意味の発言をして物議を醸した。

 

【資料】「燃費なんて誰も気にしていない」“三菱グループの天皇”が放言 不正問題への取材で ―― デイリー新潮 

 

実際その通りだと思う。車の燃費というのは運転のうまい人と下手な人で3割も4割も違ってくる。走路や走行条件、燃料、エンジンの寿命によっても違う。メーカーが発表する公表燃費など、ほとんど意味がないのだ。

 

◆形骸化していた国交省への「燃費データ届け出数値」

 

各メーカーは新車の型式認定を取るときに、燃費データを提出する。しかし、その届け出数値が正しいかどうか、国土交通省はチェックしていない。

 

つまり燃費性能はメーカーの言い値でOKなのだ。競合相手が燃費性能のいい車を出せば、それに合わせて、はたまた上回るように自分たちの車の燃費を上げていくという燃費競争の構図は、そうした業界の慣習にも起因している。

 

その後発覚したスズキの燃費不正が「海風の影響を受けにくい独自の試験方法でやっていた」ことも国土交通省の定めた試験方法が広く受け入れられていないことを印象づけた。

 

届け出だけさせて管理できないなら、国土交通省がでしゃばらないほうがいい。「カタログの燃費なんていい加減なものだから、すべて自己責任で買いなさい」とやればスッキリする。国土交通省がのさばるなら、燃費の検定機関をつくるなりして、違反した車種の型式認定を取り消すくらいまでするべきだ。

 

◆中国勢と米国勢が狙っていた三菱自買収

 

燃費不正問題で三菱ブランドは地に墜ちた。
今後の三菱自を巡っては3つの可能性があったと思う。

 

1つは東風汽車・中国第一汽車など中国メーカーへの売却。世界で最も厳しい排ガスなどの環境規制への移行が見込まれる中国のメーカーとしては三菱自の技術力や経験は魅力的だ。

 

2つ目はグーグル、アマゾン、テスラモーターズなどの米国勢。電気自動車や自動運転車などの開発を本格化していくうえで、実際の製造技術と工場を持つ三菱自は狙い目だろう。

 

そして3番目がアライアンス関係にあった日産による買収。時間が経てば上記2つのカテゴリーの会社が救済に走るであろうことを見抜いたカルロス・ゴーン氏の決断と行動力はさすがで、三菱自の発行済み株式(拒否権を持つことになる)34%を2370億円で取得するというが、日産にとっては安い買い物だ。

 

34%の株を保有しているのは、中国勢や米国勢が日産にちょっかいを出さないように、拒否権だけは確保した状態にしているのだろう。

 

 

日産にとって大きなメリットは「シェア」の獲得である。新車販売台数における日産のシェアは11.1%で、三菱自は3.2%。数字だけを見ると三菱の影響力は小さいようだが、実際には日産の製造も三菱自が担当しているから、数字以上の効果が期待できると思われる。

 

新車販売台数全体で見ると、三菱自は約100万台、ルノー・日産が約852万台だから合計すると900万台を突破する。そうなればGMやVWが視野に入ってきて、一気に世界トップ2、3に食い込める可能性が出てくる。日産にとっては千載一遇のチャンスだ。

 

またロシアやオーストラリアなどの地域における「三菱のブランド力」も大きい。特にゴーン氏の頭の中にあるのは、数年前にアフトワズ社の経営権を取得(株式を50.1%保有)した「ロシア」だろう。

 

パリ・ダカールラリーを行えるような荒地が広がるロシアでは、パジェロ、ランサーを擁する三菱ブランドは圧倒的に支持されている。三菱自はパジェロの開発を中止する意向だが、ゴーン氏は復活させると見る。さらに、インドネシアやかつて工場があったオーストラリアでも、三菱ブランドは人気が高い。ルノー・日産があまり得意でない地域で、三菱のブランド力を大いに活用できるだろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●三菱自が今期、赤字1450億円を計上する見通しで、燃費不正問題の幕引きが見えてきた。
●三菱自の買収により、一気に世界シェアトップ2、3位に食い込める可能性が出てくる。日産にとっては千載一遇のチャンス。
●ロシアやオーストラリアなどの地域における「三菱のブランド力」も大きい。日産・ルノーが得意ではない地域で三菱ブランドを活用できる。

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日産はシェアを獲得して得意ではなかった地域をせめていくんですね!これからどうなっていくのかみていきます!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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