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2017/01/13配信分

グルーバル感覚 論理思考

どこまで膨らむ?2020年東京五輪、予算増大の怪【大前研一メソッド】

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東京オリンピックの予算が一体いくらかかるのかまったく分からない状況が続いていますが、なんで招致するときに決めていなかったんですかね? 何回か立候補してきたからおおよその予算ぐらいは把握できたはずなんですけど。 オリンピック利権がからんでいるんでしょうか?

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大会組織委員会の面子を見ればなんとなく予算を増大させた人物が想像できないか? 派閥の領袖がいるだろう? これが結構厄介なことで、予算がいくらあっても足りなくなる。 アスリートファーストを目指すオリンピックならどうしたらいいのか、考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 不透明な五輪予算。増大分を誰が負担するのか? 』
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2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費を見直す国際オリンピック委員会(IOC)が大会全体の総経費について、1兆6千億~1兆8千億円とする試算を示しています。

 

大会組織委員会は自らの予算は5千億円として、残る1兆1千億~1兆3千億円について、東京都や競技会場のある自治体、国に負担を求めています。仮設施設の整備費については、埼玉県や神奈川県などの自治体が負担に否定的な姿勢を示しています。

 

【資料】東京五輪の総経費、最大1.8兆円 4者協議で試算提示 ――朝日新聞DIGITAL

 

招致段階の13年、2020年東京大会の開催経費について、組織委員会は総額7340億円と発表していました。資材費の高騰などを踏まえても8300億円で収まるとコンパクトぶりを強調していたのです。

 

ところが、みるみるうちに開催経費が増大していることはメディアでも報道されています。一体この予算は誰が想定していたのでしょうか?
大前研一の見解をみてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 「五輪開催で国威発揚」という途上国の発想から抜けられない日本 』
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◆五輪予算を肥大化させた「どんぶり勘定」のツートップ

 

私に言わせれば、大会組織委員会のツートップである会長と事務総長に森氏と武藤敏郎氏を据えたのがそもそもの間違いだ。

 

森会長は「国を挙げてのオリンピック。国威発揚のためなら、いくらカネをかけてもいいじゃないか」というタイプだし、武藤事務総長はその森政権下で事務次官を務めた元大蔵官僚。森氏のためなら「カネはいくらでも刷ります」と言う人物だ。

 

カネに糸目をつけず、ひたすら東京五輪を成功させたい2人がタッグを組めば歯止めはきかなくなるのは当然だろう。

 

森氏は総理経験者であり派閥のうえでも安倍晋三首相の“上司”だったわけで、政府も差し出がましいことは言えない。しかも五輪招致の言い出しっぺである石原慎太郎元知事と森氏は若手の頃から青嵐会(1970年代に自民党内で派閥横断的に結成された保守派の政策集団)でつながっている。

 

オリンピック絡みのゼネコン利権(築地市場の移転問題も含めて)も阿吽の呼吸で図ることができる。後継の猪瀬直樹氏は石原氏の子飼いだし、自民党東京都連のバックアップで当選した舛添前知事も石原路線を継承しただけ。その間に五輪予算がどんぶり勘定で肥大化しても、誰も省みようとはしなかったわけだ。

 

◆五輪の開催単位は都市であって、国を挙げて開催する必要はない

 

そもそも日本人は錯覚しているが、オリンピックの開催単位は都市である。先進国にとっては必ずしも国を挙げて取り組むイベントではない。

 

例えば92年のバルセロナオリンピックでは、バルセロナが開催1週間前に、「ようこそ、カタロニア自治共和国へ」という新聞広告を世界中で打った。要するに「これはスペインではなく、カタロニア自治共和国が主催するオリンピックです」ということだ。

 

首都のマドリードは悔しがって、その後何度も立候補しているが、まだ選ばれていない。ロサンゼルス大会でもアトランタ大会でも盛り上がっているのは開催地だけで、あとの米国人は知らん顔をしていた。自国開催のオリンピックという感覚は米国人には乏しいのだ

 

実は今はIOCも「何も国を挙げてやる必要はない」という立場を取っている。IOCといえば、かつては商業主義の権化で拡大志向の組織だった。

 

しかし、開催地決定を巡る買収行為やチケットの不正販売などのスキャンダルが相次いで国際社会の信頼を失い、透明性と公平性を取り戻すための組織改革に迫られた。

 

五輪改革を進めているIOCとしてはオリンピックの開催コストが膨れあがるのは好ましくない。理由は2つあって、カネがかかりすぎると国の負担が重くなって、国民の歓迎ムードが薄れる。もう1つはカネに余裕がない国が開催地に立候補できなくなるのだ。

 

実際、東京大会の次、24年大会の招致からボストン、ハンブルク、ローマが撤退を表明した。既存施設や仮設施設を利用してコスト削減を図る、というのがIOCの基本方針。日本のような成熟した先進国に予算を使い放題にされたら、後々の招致問題に悪影響を及ぼす。そこでIOCの横やりが入ったわけだ。

 

◆真夏期間の開催は米テレビ局のエゴ?

 

私が気になっているのは大会日程である。2020年7月24日から8月9日開催など正気の沙汰ではない。「アスリートファースト」が聞いて呆れる。例えば、炎天下でのマラソンはアスリートにとって過酷だ。照り返しの少ないアスファルトの開発などの暑さ対策が講じられているようだが、筋違いである。

 

日本の真夏の“殺人的”な暑さを考慮すれば、1964年の東京大会と同じように秋に開催すべきだ。それができないのは、米国の放映権を一手に握っている米NBC(米3大テレビ局の一つ)の意向がきいているからだ。

 

米国の秋はスポーツイベントが目白押しだから、「閑古鳥が鳴いている夏開催にしろ」と言われたら、NBCから巨額な放映権料をもらっているIOCは逆らえない。

 

一方、NBCは今年のリオで思ったような視聴率が取れずに(ブラジルと米国と同じ時間帯であるにもかかわらず)苦戦した。IOCの次の課題はNBCのエゴをはね除けることだ。東京都はオリンピックを呼びたい一心で8月開催を受け入れたが、もし小池都知事が10月開催にひっくり返せるようなら、本当に表彰モノだ。

 

 

オリンピックは途上国にとって国威発揚の大事な機会だ。経済成長を果たしてオリンピックを開催できるレベルになった頃に、国威発揚のために開催地に立候補する。成功すれば晴れて途上国卒業である。

 

「五輪開催で国威発揚」は途上国の発想なのである。日本はその発想から抜けきれていないと言わざるを得ない。

 

成熟した先進国が開催するオリンピックの成功例とされる12年のロンドンオリンピックの開催費用で約1兆5000億円だったとされ、ひとつの目安になるだろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●2020年東京五輪予算がどんぶり勘定で肥大化し、組織委員会は東京都や競技会場のある自治体、国に負担を求めているが、埼玉県や神奈川県などの自治体が負担に否定的な姿勢を示している。
●大会日程も問題がある。2020年7月24日から8月9日の炎天下での開催など正気の沙汰ではないが、裏では米NBCのエゴが働いている。
●五輪開催で国威発揚、は途上国の発想である。日本はその発想から抜けきれていない。

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日本のオリンピックに対する発想を転換しないといけませんね!

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大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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