BIZTIPS>BIZトピックス>爆買いバブル終焉後の百貨店は生き残れるのか!?【大前研一メソッド】

BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2017/01/20配信分

経営戦略

爆買いバブル終焉後の百貨店は生き残れるのか!?【大前研一メソッド】

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中国人の爆買いバブルが完全に終わってしまいましたね。バブルに便乗していた百貨店は今苦戦してますが、今後どうなっていくんでしょうか? また違うバブルを待つしかないですかね?

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百貨店は爆買いバブルで業績が上向いたが、これからは下降曲線を描くことは誰でも分かるだろう。 くまおが百貨店の社長ならどういう戦略を立てる? 百貨店をやめてしまうか、それとも百貨店に新しい付加価値を付けていくか悩みどころだろう。 今後の展望をみていくぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 “爆買いバブル”の崩壊で再び販売不振に陥る百貨店 』
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2016年の全国百貨店売上高が、36年ぶりに6兆円を割り込みました。
中国人観光客の「爆買い」も一服し、1980年(5兆7225億円)以来の5兆円台に落ち込みました。91年のピークに9兆7130億円を売り上げた後、右肩下がりで落ち込み続けています。

 

【資料】百貨店売上高、6兆円割れ=36年ぶり、衣料低迷響く-16年

 

百貨店不振の背景と百貨店に生き残る道はあるのか、大前研一の見解をみてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 「百貨」にモノ以外の付加価値を足すことができるのか? 』
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◆高級ブランドは百貨店を飛び出して路面店でアピール

 

百貨店が置かれている状況は東京・銀座に行くとよくわかる。有楽町駅から銀座4丁目方面に延びている晴海通り、松屋通りなどの両側には、今や高級ブランドのブティックが立ち並んでいる。

 

銀座といえば昔は三越や松屋がある銀座通り(中央通り)がメインストリートで、歩行者天国も催されるし、ブランドのショップも集まっていた。しかし現在は有楽町駅から縦に延びる通りに高級ブランドの出店が集中して、マロニエ通りなどの不動産価格が高騰している。

 

銀座の高級ブティックともなれば賃料は年間億単位だし、店員だってファストフード・ショップのアルバイトのようなわけにはいかない。警備も24時間必要。コスト計算すると、売り上げでペイすることはまずない。銀座に出すような店舗は、いわゆるフラッグシップ(旗艦店)であり、広告宣伝塔の役割が大きい。ゆえに採算度外視のケースが多い。

 

そうまでしてブランドが路面店を出すのはなぜか。

 

ブランド品はもちろん銀座の百貨店でも取り扱っている。しかし、世界中の名品が集まる百貨店ではブランドは埋没してしまう。ジャズのセッションでいえばサックスやピアノやドラムのソロパートがそれぞれにあるが、百貨店のブランドは横並びの美人コンテストのようなもので、各ブランドは平等な立場に置かれる。

 

目立てるように“プレイアップ”してくれる場面がない。そんなフラストレーションから「百貨」店を飛び出して路面店でアピールしようというブランドが増えているのだ。

 

ブランドの路面店が華やかに通りを彩るのと対照的に、「日本一の百貨店」と言われてきた伊勢丹新宿本店でさえ、販売不振で業績を下げている。

 

伊勢丹は老舗の三越と合併したがその効果がまるで出ていない。合併で効果が出るためには売り上げは1+1で2.3に、コストは1.6になる、ということが必要だ。しかし“お公家様の体質”からか、そうした効果が今のところまったく見られない。

 

◆ブランドも百貨店以上に窮地に立たされている

 

売れなくて困っているのはブランドも同じだ。

 

一部のブランド以外はある意味で百貨店以上に窮地に立たされている。たとえば時計。150万円の高級ブランド時計も1500円の香港製の時計も精度や耐久性はそれほど変わらなかったりする。どちらも同じシチズンのモジュールを積んでいる場合が多いからだ。

 

ダウンジャケットなど防寒着の分野においてもユニクロなどのSPA(製造小売り)が1万円もしないで買える商品を出している。高級ブランドの商品と、それ以外の値段が10分の1、100分の1で買える商品の機能的な差異はほとんどなくなっているのだ。

 

だから明確に感動や夢を売ることのできるブランドは生き残るが、「イタリア製」とか「フランス製」というだけでは見向きもされなくなっている。

 

安価で性能もいい競合商品が登場してきたことで、ブランドの価値と価格の乖離が非常に目立つようになってきた。錯覚の上に成り立ってきたブランドが、成り立たなくなってきたのだ。これから先、クラフトマンシップがあるとか、本当の価値を提供できるブランドでなければ、生き残るのは難しくなってくるだろう。

 

生き残るためにブランドは自らの商品をもっとプレイアップして訴求したい。
百貨店のディスプレイとスペースでは物足りないのだ。個人消費の低迷に、取り扱っているブランドのそうした実情も加わって、百貨店というロケーションビジネスは厳しい状況に追い込まれている。

 

◆ワンクリックで最短当日に届くネット通販

 

ネット通販の発達も影響が大きい。以前は「本やDVDのような左脳型商品(選択肢が1つしかない商品)は問題ないが、ファッションやバッグ、ジュエリーなどの右脳型商品(人によって好みやサイズが異なる商品)はネットでは売れない」と言われた。現物が手元に届いても「感触が違う」などと返品してくるケースが多かったのだ。

 

今は右脳型商品でも質感がわかるように映像を工夫しているし、色やサイズのバリエーションも豊富。返品率はぐっと下がっている。

 

ショッピングチャンネルが好調なアマゾンの2015年度の日本事業の売上高は約1兆円。業界トップの三越伊勢丹HDの売上高(同1兆2872億円)に迫る勢いで拡大している。

 

米国では既に最大手のメイシーズなどをアマゾンは抜き去ってしまった。ネットを使い慣れているユーザーは量販店などで現物と価格を確認したうえで、価格ドットコムなどで比較して安いところで買う。アマゾンが安ければその場で注文を入れて翌日、うまくすれば当日に家に帰る頃には届く。

 

家電量販店大手のヤマダ電機が赤字に転落、店舗閉鎖に追い込まれた最大の理由は、在庫を削ったことだ。「回転しない商品は在庫するな」というのは昔ながらの商売の知恵だが、量販店で在庫がなくて「この色はお取り寄せになります」では話にならない。「だったらネットでオーダーしたほうが手っ取り早い」となる。

 

物流をガッチリ握ったネット通販に対して、百貨店も量販店も苦しい戦いを強いられている(百貨店で自宅に届けてもらう場合には相変わらず用紙にすべて書き込ませている。ストアカードを持っていても、だ。20世紀の遺物のような仕事の仕方をしているのだからネットに負けるのは当たり前だ)。

 

◆原材料の仕入れ価格から売価まで丸裸:目利きバイヤー受難の時代

 

世界中から名品を目利きのバイヤーが買い付けてきて、「ウチでなければ買えませんよ」というのが本来の百貨店の商売だった。しかし、今やどこの百貨店も同じモノを売っているし、「同じようなモノ」ならカテゴリーキラーの量販店やネット通販で買ったほうが全然安い。

 

三越の前身、江戸時代の越後屋は仕入れ勝負だった。右から左に品物を流してサヤを抜くのでなく、反物を目利きして呉服に仕立てるのが越後屋の商売だったわけだ。

 

しかし、今の時代に百貨店が原点回帰を決意して、大量のバイヤーを投入して世界中を回らせたとしても無駄な抵抗に終わる。なぜならネット全盛の時代だから。ネットで見つけたほうが早いのだ。原材料の仕入れ価格から売価まで丸裸になる時代に、目利き商売をするのは難しい。

 

三越伊勢丹が中国のアリババグループが運営する通販サイト「天猫国際」に出店した。これが反転攻勢のきっかけになるかといえば、逆に自分たちの首を絞めるリスクも潜んでいる。

 

中国人観光客が三越や伊勢丹で買い物して、「中国でも買えたらいい」と好評だった商品をアリババの通販サイトで売ったとしよう。アリババで売るとなると2割程度は安くしなければならない。越境ECの時代には世界の主要市場で価格比較ができるので、より安い国から買うのが普通だからだ。となると、恐らく、その値段が日本国内でも定着していく。アリババよりも2割も高い値段では売れなくなるからだ。

 

 

活路を求めて、百貨店各社は新しい事業を模索しているが本業とは離れた事業も苦肉の策として見受けられ本業への回帰が求められる。百貨店は品揃えは豊富だがモノ以外の付加価値を足して売りにする必要がある。

 

書籍の世界でも同様にネット書店が隆盛だが、書籍の世界の百貨店に相当する大型書店は必要で、実際に足を運ぶ価値がある。

 

実際の書籍を手に取って読むことでネット書店では気がつかなかった意外な書籍との出会いがあるからだが、百貨店で一般消費者が同じことをするには、店内が広過ぎ、複雑過ぎて、あまりにも効率が悪く、実際には難しい。

 

店員が一緒に店内を巡って案内してくれる「ストア・アテンド・サービス」を提供する百貨店もあるが事前予約が必要など、制約も大きい。たまたま時間ができたときに百貨店にふらっと立ち寄った場合でも、同じようなサービスをITなども駆使して気軽に使えるようにする必要があるだろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●訪日観光客による“爆買い”ブームが終わり、百貨店は再び販売不振に陥っている。
●ブランドの百貨店離れ、消費者の百貨店離れのダブルパンチが百貨店を窮地に追い込んでいる。
●「百貨」にモノ以外の付加価値を足すことができなければ、個人が世界中から越境ECで価格比較して購買してしまう時代に百貨店という業態は衰退するしかない。

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百貨店じゃないと扱っていない商品がほとんどないので、なかなかこれからの展望を描くのは難しそうですね。

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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