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2017/07/07配信分

グルーバル感覚 財務

日本だけが乗り遅れる「キャッシュレス社会」の現実【大前研一メソッド】

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くまおは何か買うときには現金で支払っているか?それともクレジットカードか? 日本ではまだ現金決済が主流になっているが、諸外国は急速にキャッシュレスが進んでいるぞ!

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支払いは現金が多いですね。クレジットカードも使いますが、やっぱり使いすぎが怖くて現金にしています…。 世界ではどこまでキャッシュレスが進んでいるんでしょうか?

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 現金の流通が増え続けている日本は、世界の動きと逆行? 』
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日常生活に現金を必要としないキャッシュレス社会が世界的に進展しています。もともとクレジットカードなどのカード社会に同調して緩やかに広がってきたものが、電子マネーやスマートフォンなどのモバイル端末が急速に普及して、お金のデジタル化が進んだおかげで、キャッシュレス経済は一気に加速しました。

 

一方、世の中の動きとは逆行するかのように、日本は他国と比べて現金を好む傾向が突出しており、現金の流通が増え続けています。(日本銀行が発表した下記のレポートを参照)。しかし、「日本もキャッシュレス社会の波の到来は不可避」であると大前研一は予測します。大前学長がそのように考える理由を解説してもらいましょう。

 

【資料】日本のリテール・大口資金決済システムの特徴 - 日本銀行

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 先進国だけでなく新興国もキャッシュレス社会化が加速 』
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◆GDPに対する現金の使用比率が5%を下回る北欧諸国

 

いち早くキャッシュレス社会を実現した先進国は北欧で、スウェーデン、ノルウェー、デンマークはいずれもGDPに対する現金の使用比率が5%を下回る。スウェーデンに至っては現金使用率2%。

 

つまりキャッシュレス率が98%で、決済現場で現金はほとんど使われないのだ。「現金お断り」のショップや飲食店が増え、交通機関はほぼカードオンリー、現金では鉄道やバスにも乗れない。銀行はもはや現金を置かないキャッシュレス店舗が大半を占める。

 

ではスウェーデンの人々が何で決済しているかといえば、クレジットカードや、「Swish(スウィッシュ)」などのスマホのモバイル決済アプリだ。

 

「Swish」はスウェーデンの6つの主要銀行が共同開発した決済システムで、携帯電話の番号と個人認証だけで自分の銀行口座から直接買い物や飲食などの支払いができるし、口座間の送金も簡単にできる。面倒な口座番号は不要で、利用金額は即座に銀行口座に反映される。2012年のサービス開始から5年で今や国民の半数以上が「Swish」を利用しているという。

 

◆エストニアは銀行口座の出入金から自動決算し税理士も会計士も不要

 

私が訪問したバルト三国のエストニアもキャッシュレス経済が浸透している国の一つだ。エストニアといえばあの「Skype」を生んだ知る人ぞ知るIT大国であり、世界最先端のeガバメント(電子政府)を視察にやってくる研究者が世界中から引きも切らない。

 

各行政機関がバラバラに持っていたデータベースを連携させる「X-Road」というシステムをインターネット上に構築して、エストニアは一元管理の国民データベースを確立した。国民はICチップの入ったIDカードを所持することで、その国民データベースからすべての行政サービスが受けられる。

 

しかも国民IDのチップを格納したSIMカード入りのスマホで、eガバメントのポータルへのログインや電子署名ができる。諸々の行政手続きがスマホ一つで完結するのだ。世界中どこにいても1週間前からオンラインで選挙の投票ができるし、政治家の資産台帳だって自由に閲覧できる。

 

IDカードで公共交通機関にも乗れるから現金は不要。またクレジットカードよりも銀行が発行するデビットカード(銀行口座に直接リンクした決済用カード)の普及率が非常に高く、デビットカードによる決済が圧倒的に多い。

 

驚くべきことにエストニアの国民データベースは、そうした決済の内容、つまり銀行口座の出入りまで把握していて、銀行口座から家計簿が自動的に組み立てられる仕組みになっている。

 

従って、税金は自動計算となり、個人も企業も納税申告する必要がない。
ということで税理士や会計士の仕事は不要になって、それらの職業は今やエストニアから消滅してしまった。

 

◆インドは高額紙幣廃止で、新札不足を契機に一気にキャッシュレス社会化

 

新興国にもキャッシュレス化に積極的に取り組んでいる国がある。

 

16年11月8日、インドのモディ首相は「明日0時をもって1000ルピーと500ルピーは使えなくなる」とテレビの緊急演説で宣言した。

 

インドは元々、現金社会で、現金そのものが不正蓄財や脱税の温床になっている。そこでブラックマネー対策として一番高額な1000ルピー札(日本円で約1700円)と2番目に高額な500ルピー札を法定通貨として無効にしたのだ。

 

国内流通量の80%以上を占める高額紙幣がいきなり使えなくなって、インドの人々は旧札を新札に替えるために銀行やATMに殺到したが、新札の準備が遅れたこともあって一時インド経済は大混乱に陥った。しかし事態は思いの外すんなり収束した。

 

「現金で決済できないなら電子決済しかない」と、すでに公共サービスなどの電子決済化を進めていたインドは、現金不足を契機に一気にキャッシュレス社会に舵を切ったのだ。

 

◆中国では「Alipay」と「WeChat pay」でキャッシュレス化

 

中国でもキャッシュレス化がものすごい勢いで進行している。日本のように街角の郵便局やコンビニで簡単に現金を引き下ろせるインフラネットワークを広大な中国やインドで築こうと思ったら、莫大なコストと時間がかかる。しかし普及著しいスマホを活用したモバイル決済なら、そんな手間暇は必要ない。

 

中国のネット人口は7億人以上で、都市部でのスマホの普及率はほぼ100%に近い。スマホでネットショッピングしたり、スマホでモバイル決済したりするのは中国人にとってきわめて日常的なのだ。

 

中国で主流のモバイル決済アプリといえば、アリババの「Alipay(アリペイ)」とテンセントの「WeChat pay(ウィーチャットペイ)」。日本でもアリペイやウィーチャットペイで支払い可能な店舗やタクシーなどのサービスが拡大している。

 

◆現金を使わないキャッシュレス社会のメリットの数々

 

現金を使わないキャッシュレス社会のメリットは利便性以外にもさまざまある。
(1)そもそもお金という現物を社会に流通させること自体にコストがかかっているわけで、キャッシュレス化によってそれが大幅に削減できる。

 

(2)企業活動においてもキャッシュレス化によって現金決済に付帯する間接業務を減らせるから、効率化、省力化が可能になる。

 

(3)小売り店舗や銀行にとっては直接的に現金の取り扱いコストの削減につながる。

 

(4)国からすれば資金決済の透明性が確保できるメリットも大きい。

 

インドの例で説明したように、匿名性が高く、使用履歴が残らない現金は不正蓄財や脱税、マネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪の温床になりやすい。電子マネーによる決済はすべて履歴が残るので、資金決済の流れを監視しやすい。当然、税金の補捉率も上がる。これも国家がキャッシュレス化に熱心に取り組む理由の一つだ。

 

 

世界的なキャッシュレス化の流れは日本にも波及しているものの、わが国では現金信仰が根強い。日本のGDPに対するキャッシュレス率は17%で、いまだに現金取引が有り難がられる。

 

しかし、キャッシュレス化の遅れによる機会損失は決して少なくない。たとえば訪日インバウンドが急増する昨今、キャッシュレスに慣れ親しんだ外国人旅行客はこれから確実に増える。それらのインバウンド消費を取り込むためには、キャッシュレス化をさらに進める必要があるだろう。

 

政府は14年6月に閣議決定した「日本再興戦略」で、「2020年に向けたキャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上」を掲げている。もちろん20年東京オリンピック・パラリンピック開催を踏まえたものだが、日本人がキャッシュレス社会のメリットを本当に享受するには、「その先」を見据えたクレジットカードを経由しない直接口座から引き落とすという取り組みが求められる。

 

【資料】「2020年に向けたキャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上」

 

 



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今回のポイントだ!
●北欧やエストニア、インド、中国など世界各国でキャッシュレス化が急速に進みつつある。
●自国でキャッシュレス決済に慣れ親しんだ外国人旅行客が、20年東京オリンピック・パラリンピックに向けて確実に増える。
●現在のところ、日本は世界でも突出した現金大国である。しかし、インバウンド消費を取り込むためには、キャッシュレス化を進める必要がある。

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日本にもキャッシュレスがどんどん浸透していきそうですね!私もキャッシュレスにならないように時代に乗っていこうと思います!笑

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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