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2017/09/15配信分

グルーバル感覚 経営戦略

EVで出遅れたトヨタは生き残れるのか!?【大前研一メソッド】

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世界的に化石燃料を使った自動車の販売をなくす動きになってきましたけど、本当にそんな世の中がくるんでしょうか? 世界のトヨタは電気自動車開発に遅れをとっていますけど、世界一の牙城を守れるんでしょうか?

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トヨタはHV車やPHEVに経営資源を投入してきたが、電気自動車には力を入れてこなかった。ここにきて世界的に電気自動車の流れになってきたので、これから本腰を入れて開発に乗り出すだろうが、市場から退場しないようにするにはどうしたらいいだろうか考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 中・印・英・仏・米カリフォルニア州が化石燃料車の生産・販売を禁止へ 』
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中国政府はガソリン車やディーゼル車(以下、便宜的に化石燃料車)の生産・販売を禁止する方針を明らかにしました。

 

具体的な禁止時期については明らかにしていませんが、新車販売台数2800万台で世界最大の自動車市場の中国の規制は、自動車メーカーに経営の転換を迫ることになります。

 

世界1位の市場の中国に加えて、すでに化石燃料車を禁止することを明らかにしている同2位の市場である米国の中のカリフォルニア州、同4位のインド、同6位の英国、同7位のフランスで、2030年~2040年にかけて、ガソリン車やディーゼル車が姿を消すことになりそうです。

 

世界の新車販売台数は年間9000万台ですが、これらの国だけで市場の半分を占めます。

 

ハイブリッド車(HV)に強いトヨタ自動車ですが、電気自動車(EV)の開発には出遅れています。そして、HVも「化石燃料車の一種」としてとして禁止される可能性が高まっています。「危機意識が足りない」と大前研一学長はトヨタに警鐘を鳴らします。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 EVの開発に出遅れ、今も本気度が足りず市場から閉め出される? 』
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トヨタはHVは得意だが、EVの開発では出遅れている。EVの時代の到来がほぼ確実となっているが、「危機意識が足りない」と言わざるをえない。
3C(自社・市場・競合)で考えると、トヨタは以下のような問題を抱えている。

 

◆自社環境

 

(1)米EVメーカー、テスラと提携を解消し、マツダと資本・業務提携

 

トヨタは2017年8月、マツダとの資本・業務提携を発表した。マツダはEVどころかHVすら持っておらず、EVに関してトヨタが提携から得るものは何もない。トヨタがマツダとの提携で期待しているのは、マツダが持つ低燃費エンジン技術のスカイアクティブ技術だと言われている。スカイアクティブはHVの燃費向上には貢献するが、HVが市場から閉め出されようとしており、エンジン技術そのものが将来性を失っている。EVが本流となるのに傍流のHVでの協業に力を入れるのはいかがなものかと危惧される。

 

(2)幻の「全固体電池」?

 

トヨタは今後の本流であるはずのEVでいったんはテスラと提携したものの、解消し、独自路線でEVを開発する道を選んだ。長期路線で「全然出遅れていない」(会長の内山田竹志氏)とEVの自社技術の優位性にトヨタは自信を示している。

 

トヨタはEVの世界市場の主導権を握る基幹技術の一つに電池をあげる。現在EVに主に使われているリチウムイオン電池と比べ、数分でフル充電可能な上に、充電量が2倍に達するという次世代電池である「全固体電池」を開発しているという。これに対して、テスラCEOのイーロン・マスク氏は、「アンドロメダ星雲への瞬間移動のように口では何とでも言える。我々か第三者の研究所で検証させてくれ」と返答、実現可能性に疑問を呈している。

 

(3)FCVもHVも捨てられずEV開発に出遅れ

 

グローバルでEVシフトが進んでいる中、トヨタはもう一つのエコカーとして燃料電池車(FCV)にも力を入れ、「MIRAI」を量産化して販売している。FCVに燃料を補給する水素ステーションは全国で約90カ所にとどまり、EVに比べ普及が遅れており、EVとの勝負は明らかについている。

 

「MIRAI」が世界中の道を走るという未来は既に消え去ってしまっているのは明らかである。にもかかわらず「FCVもEVも」というどっちつかずの状態になっている。「FCVから撤退してEVに集中する」と宣言すれば本気度は伝わるが、その気配はない。

 

(4)サプライヤー群に対する取引責任

 

化石燃料車の生産活動は裾野が広く、部品点数3万点、トヨタを頂点とするピラミッドの頂点から裾野の末端まで、直接間接のサプライヤー群3万社が連関しているとも言われる。EVの生産活動に移行すると、部品点数は1/10以下に減り、サプライヤー群のピラミッドは崩壊して、企業城下町は倒産と失業者で溢れかえることになる。サプライヤー群に対する取引責任をどのようにとるのか、その道筋も検討しなければならないだろう。

 

 

◆競合環境

 

(5)中国自動車3社に統合構想

 

中国2位の国有自動車メーカー東風汽車公司、同3位の中国第一汽車集団、同4位の中国長安汽車集団の合併観測が浮上している。EVの世界市場での覇権を握るため、国を挙げて外資メーカーからEVの技術移転を促す中国当局が、受け皿となる巨大メーカーの設立に動き出した可能性がある。これによりトヨタだけではないが、合弁相手の外資メーカーが技術を吸い取られた後に中国市場から閉め出される可能性がある。3社の間では経営トップが持ち回りのように交代しており、中国では3社が経営統合を視野に入れた人事異動と見られている。

 

2016年に発足した中国宝武鋼鉄集団の初代経営トップも、統合した2社の幹部を経験していることから、今回の自動車大手の人事により3社が統合に向かうのではと見られているのだ。

 

【資料】中国、自動車3社に統合構想 生産1000万台規模

 

 

◆市場環境

 

(6)カーシェアリングの普及による大幅な需要減少に対する備え

 

自動運転車が実用化されれば、共同所有が広がり、世界の新車販売台数は40%減少する可能性があり、トヨタに限らず、自動車業界では向こう数十年のうちに劇的な再編が起きる可能性がある。英金融大手バークレイズのアナリストで自動車業界のアナリストを長年務めているブライアン・ジョンソン氏はこのような予測をしている。

 

 

化石燃料車の生産・販売を将来的に禁止することを明らかにしている中国、インド、フランス、英国、カリフォルニア州がいずれもその理由にあげているのが、化石燃料車が排出する排気ガスによる大都市の大気汚染の防止である。プラグ・イン・ハイブリッド車(PHEV)も排気ガスを出すとして、禁止する方向性にある。

 

しかし、大都市を走行している時に排気ガスを放出しないEVであれば良いわけで、地方を走行している時に、電池の残量が減った際に化石燃料を燃やすことは多少なら許されるはずである。地方を走行している時は、充電ステーションが近辺に見当たらず、電池切れになってしまってEVが動かなくなってしまうのではないかという恐怖心からドライバーは抜けきれない。充電ステーションが見つかったとしても、給油と比べると充電にははるかに長い時間がかかる。

 

EVと化石燃料車の両方の長所を持つPHEVは存在意義があるし、他社のEVとの差異化にもなるのでトヨタとしては禁止されるのを何としても避けなければならない。各国でロビー活動を展開し、PHEVが存続できるように政治的に働きかける必要がある。

 

 



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今回のポイントだ!
●自動車の主要市場がガソリン車やディーゼル車の締め出しにかかってる。エンジンを搭載するPHEVもその例外ではなく、禁止される方向にある。
●トヨタは経営資源をEVに集中できておらず、開発に出遅れている。
●各国でロビー活動を展開し、PHEVが市場から閉め出されず存続できるように政治的に働きかけるのが生き残る道である。

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市場から締め出されることのないように世界が動いてほしいものです!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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