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2017/11/02配信分

グルーバル感覚 経済原論

大阪を「世界のOSAKA」にするには?【大前研一メソッド】

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大阪が2025年の万博に立候補しましたけど、選ばれるんでしょうか? 選ばれたら半世紀ぶりの開催になりますけど、大阪経済は活性化されるますか?

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大阪は万博で公共投資を期待しているようだな。しかし前回の大阪万博では経済は活性化するかと思いきやむしろ衰退していった。 万博には落選した方が身のためで、大阪自体はもっと反映できるポテンシャルは持っているぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 大阪が2025年開催予定の万博に立候補 』
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2025年開催予定の万国博覧会に大阪府が正式に立候補しました。ほかにもフランスのパリ、ロシア中部の都市エカテリンブルク、アゼルバイジャンの首都バクーが立候補していて、4都市による誘致レースが展開されています。

 

2025年万博の開催地は18年11月に開催する予定の博覧会国際事務局(以下、BIE)の総会において、BIE条約加盟国170カ国の投票で決まります。

 

【資料】
Russia, Japan, Azerbaijan and France submit bid dossiers for World Expo 2025

 

混戦が予想されますが、「大阪府は落選したほうが身のためではないか」と大前研一学長は大阪万博再開催に疑問を投げかけます。どうしてなのでしょうか? 大前学長に聞いてみます。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 一過性の「イベント頼み」で大阪を活性化できないことは実証済み 』
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◆「東京五輪&大阪万博景気」:1960年代の高度成長期の夢よもう一度?

 

政府も大阪での万博開催をバックアップして、「1964年の東京五輪から70年の大阪万博」という高度成長期の再来を夢見ている。20年の東京五輪後の景気の落ち込みを少しでもカバーしたいからだ。しかし、大阪の衰退は70年の万博から始まったと私は思っている。

 

一般的に関西経済衰退の契機と言われるのが64年の新幹線開通だ。東京一極集中が加速して関西、大阪の没落を招いたのだが、大阪万博の頃には新幹線の輸送力はさらに増強され、山陽新幹線が72年には岡山、75年には博多まで延びた。同時期に航空業界でもジャンボジェット(ボーイング747)が登場して大量輸送時代を迎える。関西、大阪が頭越しにされる条件がどんどん整っていったのだ。

 

70年の大阪万博自体は大いに盛り上がった。来場者数は万博史上最高の6400万人、高速道路網や鉄道路線などの交通インフラも整備されて、経済波及効果は2兆円とも言われた。

 

しかし万博をきっかけに関西経済が活性化したかといえば、そんなことはない。逆に日本経済が重工業への転換期を迎える中で、国内有数の集積を誇った大阪の繊維業は斜陽化し、商社や銀行をはじめ名だたる大企業が本社を東京に移す動きが相次ぐようになって、大阪の地盤沈下は急速に進行した。

 

2025年の万博が大阪や関西活性化の起爆剤になると期待する向きもあるが、そんなに甘いものではないことは70年の大阪万博で実証済みだ。

 

「オリンピックがダメなら万博を呼ぼう」では50年前の発想とまったく変わらない。もはやインフラをつくっただけでレガシーになる高度成長期ではない。万博というと”未来技術のお披露目会”的な意義が強いが、ネットで何でも見られる時代に万博をやる価値がどれだけあるのか。

 

◆公共工事に群がる関西の政財界に、長期ビジョンが欠如

 

マッキンゼーの日本支社長をしていた80年代に大阪を拠点にしていたからよく知っているが、大阪は「自分の町をつくる」という発想と気合に乏しい。にぎにぎしくイベントを引っ張ってきては、公共工事にありつく。ゼネコンが強いこともあって、どうしてもイベント経済を志向しやすい。

 

都市化(アーバニゼーション)が進む世界の中で、大阪をどのように位置づけていくのか、という長期ビジョンもまったく不在である。関西の政財界は世界の中で大阪の競争力をどう高めていくのか、世界中から優秀な人材や企業にどのようにしてきてもらうのか、に関しては興味も関心もないのだ。

 

一過性のイベントでは町づくりにはつながらない。私は米UCLAで公共政策論を教えていた。公共政策論の中心になるのはメガシティである。今、世界で繁栄している場所はすべてメガシティであり、メガシティ以外に繁栄しているところはない。

 

メガシティの特徴は何かといえば、
(1)毎日人がくる
(2)企業がくる
(3)情報がくる
(4)お金がくる
――ということだ。大阪市の人口は約270万人。人口規模だけで言えば立派なメガシティだが、「毎日人がくる、企業がくる、情報がくる、お金がくる」というメガシティ繁栄の4要件は見事に欠けている。

 

◆外資系企業を呼び込む“4種の神器”

 

外資系企業の日本本社といえば東京が一番多いが、それでもアジア本社(香港、シンガポール)に比べれば富の流入は圧倒的に少ない。実は外資系企業を呼び込むには“4種の神器”が要る。以下のとおりである。

 

(1)職住近接
一つは職場と居住地が近いことだ。外国人のビジネスマンは職住近接を重視する。ハイテク関連を主体とした産業が集まっている都市を「イノベーションシティ」という。イノベーション系の仕事で雇用を1つつくると、その地域でサービス関連の新規雇用が5つ生まれるという。この乗数効果は製造業の倍以上だ。

 

イノベーション産業が集積するイノベーションシティでは、乗数効果で次々と雇用が生まれ、当然、賃金も上がる。ゆえにますます人や企業が集まって繁栄するという好循環になっている。

 

【資料】
『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』

 

(2)パートナーの仕事
パートナーを日本に連れてきても、パートナーにやることがないと長続きしない。言葉も通じない異国にきて家の中で独りじっとしていたら、精神的に参ってくる。仕事でもいいし、ボランティアなどでもいい。時間を持て余さないことが大事で、関西では神戸が外国人のコミュニティが多い。

 

(3)子供の学校
(4)教会
“神器”の3つ目と4つ目は、「子供の学校」と「教会」で、神戸はインターナショナルスクールも教会も充実している。

 

外資を誘致する“4種の神器”から見ても、大阪はすべてにおいて足りない。最たるものは「職住近接」で、大阪の経営者というのは芦屋か夙川か生駒辺りの家に帰る。町中には要人が住んでいないのだ。

 

◆大阪のどこを職住近接の町にするのが良いか?

 

大阪を職住近接の町にしようと思えば、できないことはない。候補地は2つある。

 

(1)大阪城公園周辺
大阪城公園の辺りは大阪で唯一緑が多いし、夜景も素晴らしい。ニューヨークで言えば高級マンションが立ち並ぶセントラルパークに匹敵する素材で、開発ができれば超一流の住宅地になる。

 

(2)御堂筋の両側
船場や道修町といった問屋街は今やすっかり寂れて閑古鳥が鳴いているが、あそこは大阪を南北に貫くメーンストリートだ。御堂筋に沿って地下鉄御堂筋線が走っているから梅田に出るにも新大阪に行くにも非常に便がいい。東京で言えば千代田区の番町や港区レベルの超一流の住宅街になる可能性を秘めている。

 

もともと御堂筋は建物の高さ制限や商業利用などの規制に縛られていて、徐々に緩和されてきた。御堂筋に事務所物件など人が集まらないのだから、思い切って縛りを取り払って居住用の高層マンションを建てられるようにする。あるいは上階が居住用の複合ビルをつくれるようにすれば、職住近接の高級住宅街に生まれ変わる。気合を入れて町づくりに取り組めば、大阪はもっと栄える。

 

 

大阪は産業構造を変えてイノベーションシティへの脱皮を目指すべきだ。産業構造を変える方法は以下のように2つしかない。

 

(1)自分たちでつくる
これは時間もコストも根気も要る。伝統的な製造業が幅を利かせる大阪で、新しい産業を興そうという構想はなかなか出にくい。

 

(2)外から乗数効果の高い企業を呼び込む
たとえばシアトルに本社を置く企業で、シアトル出身の経営者はマイクロソフトを創業したビル・ゲイツとポール・アレンぐらいしかいない。スターバックスのCEOハワード・シュルツはシアトルが故郷のような顔をしているがニューヨーク・ブルックリンの出身。アマゾンを創業したジェフ・ベゾスはニューメキシコ州のアルバカーキ出身だが、今やアマゾンはシアトルの地形を変える勢いで発展している。大型百貨店のノードストロームの創業者はスウェーデンからの移民だ。

 

大阪がイノベーションシティを目指すなら、やはりよそ者にきてもらうしかない。よそ者が「自分はここで世界に打って出る会社をつくりたい」「ここに住みたい」と思うような条件を整える必要がある。さらに言えば、よそからきた人たちが繁栄するのを歓迎するような雰囲気を醸成して、法律と条令を整備することが大切だろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●大阪は2025年万博を誘致して公共投資を期待しているが、開発を遅らせるだけなので、落選したほうが身のため。
●外から乗数効果の高い企業を呼びこみ、それらの繁栄を歓迎するような雰囲気を醸成して、法律と条令を整備するイノベーションシティを目指せ。
●イノベーション系の仕事で雇用を1つつくることにより、その地域でサービス関連の新規雇用が5つ生まれる(イノベーション産業の乗数効果)。

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イノベーションシティにすることで、万博をやらなくても大阪は発展できるんですね!大阪維新はイノベーションシティで実現できるかも!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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