BIZTIPS>BIZトピックス>“日本病”に蝕まれ、「置き換え」の波間に沈みゆく日本【大前研一メソッド】

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2018/02/02配信分

グルーバル感覚

“日本病”に蝕まれ、「置き換え」の波間に沈みゆく日本【大前研一メソッド】

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日本企業の世界時価総額ランキングの上位を占めていた時代がとっくに終わってしまいましたが、一体どうしてあれほど強かった日本企業が凋落してしまったのでしょうか?もう一度復活、なんてことはないんでしょうか?

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かつて名門と呼ばれた企業が死にかけているのも最近のニュースで知っていると思うが、日本の企業が没落してしまったことにももちろん要因がある。大手家電メーカーにいけば一生安泰などと言われたのも今は昔。没落の要因を考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 世界時価総額ランキングで40位台(トヨタ自動車)がやっとの日本 』
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20世紀後半は日本や日本企業が「Japan as NO.1」と持ち上げられました。「夢よもう一度」と過去の栄光を再び取り戻せる可能性がひょっとしたらあるのではないかと考えてはいませんでしょうか。

 

世界時価総額ランキングをご覧になったことがあるでしょうか。日本が誇るトヨタ自動車でさえ、40位台がやっとです。かつて、世界の主要プレイヤーの地位を占めていた日本企業は、ことごとく海外の企業にとってかわられてしまったのが現実です。日本なりに精一杯頑張っているのにもかかわらず、日本がここまで凋落してしまった原因を大前研一学長に聞きます。

 

【資料】世界時価総額ランキング

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 21世紀に合うよう脱皮しなければ盛者必衰の憂き目は免れない 』
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◆シャープは鴻海と連携し、信賞必罰を徹底しV字回復

 

2017年12月7日付でシャープが東証2部から1部に再指定された。

 

債務超過で2部落ちしてから、わずか1年4カ月のスピード復帰だ。シャープは台湾の鴻海精密工業から約3900億円の資本支援を受けて、筆頭株主となった鴻海の子会社として経営再建に取り組んできた。コスト削減などの構造改革を進めて、18年3月期決算の最終損益は690億円の黒字(前期は248億円の赤字)を見込む。主力の液晶パネル事業を中心に業績も順調に回復してきた。

 

驚異的なV字回復の原動力が、鴻海との連携にあることは疑う余地もない。鴻海のグローバルネットワークを活用することによる生産、購買、物流などのコストダウン効果と規模の経済はもちろん、取引相手とのさまざまな交渉においても鴻海の力をバックに、資金不足で足下を見られていたときよりもはるかに有利な条件を引き出すことができる。

 

鴻海のテリー・ゴウ(郭台銘)会長がシャープに支援を申し出たとき、やれ「黒船だ」「乗っ取りだ」とわめき散らしていた連中は頭を丸めて反省したほうがいい。

 

彼は愛してやまないシャープの再生を、鴻海の副総裁で30年来の右腕である戴正呉氏に託した。テリー・ゴウ会長は日本語が話せないが、日本での駐在経験がある戴正呉社長は流暢だ。

 

戴社長は社員に向けた就任メッセージで「オリジナル」にこだわったシャープ創業者の早川徳次氏の創業精神、経営哲学に立ち返る重要性を強調する一方、信賞必罰の徹底を宣言した。実際、年齢や性別、国籍に関係なく成果を出した社員には賞与や特別ボーナス、ストックオプションなどで報いる鴻海流の人事制度に切り替えて、優秀な人材や若手を積極的に掘り起こしている。

 

結果の出せない社員や年配社員には非常にきつい。だが、リストラに疲れ果てたシャープの社員に生気が戻ってきたのは確かだ。まだ利益率は低いが、鴻海のスケール感とテリー・ゴウ会長や戴社長の世界に打って出るアグレッシブな姿勢は必ずプラスに作用するだろう。戴社長は「人に寄り添うIoT企業を目指す」と脱家電を明言しているが、内輪揉めばかりしている日本の家電メーカーではなかなかここまで大胆に舵を切れない。

 

◆新しいタイプの企業が勃興する一方で、没落するかつての名門企業

 

鴻海のマネーとパワーを借りて解体の危機を乗り切り、生まれ変わろうとしているシャープ。片や経産省主導の解体方針で稼ぎ頭の半導体事業を売却、黒字のメディカル事業も家電のブランドも売り払った東芝は再起不能な崩れ方をしている。

 

歴史を刻んだ同じ電機メーカーでありながら、現状は対照的だ。そして近年、「隠蔽」をめぐる日本企業の不祥事が後を絶たない。動力の主役が馬車から蒸気機関へ、蒸気機関からディーゼル機関へ移ったように、企業にも「置き換え」が起きてきた。新しいタイプの企業が勃興して世界を席巻する一方で、主役の座を奪われた企業は廃れて舞台から消えていく。

 

デジタルコンチネント(デジタル新大陸)が加速度的に拡大し、リアル経済を侵食してデジタルディスラプション(技術による破壊的イノベーション)を引き起こしている今日、企業の派手な置き換えが現在進行形で起きている。そうしたプロセスから見れば、我々が目の当たりにしている企業の不祥事は、ぬくぬくと昔のやり方でごまかしてきたものがいよいよ通用しなくなって、表面化したにすぎない。

 

要するに、それらの企業は21世紀に合うよう脱皮していないのだ。

 

20世紀後半は「日本の世紀」と持ち上げられて、日本という国家も、日本の企業も成功体験を積み重ねた。そして20世紀の成功体験を引きずったまま、21世紀に足を踏み入れてしまった。

 

しかし、20世紀の延長線上に21世紀の繁栄はない。

 

21世紀型の国家、あるいは企業に脱皮するためには、自らを新しく構想し、血を流してでも自己を変革する必要がある。鴻海の力を借りたシャープの再生は、変革の重要性と自己変革の難しさを物語っている。同時にやり方が正しければ再生できる実力が伝統ある企業には残っていることが証明されている、とも言える。カルロス・ゴーン氏による日産自動車の改革もそうした基礎体力があったから成功したのであって、その基礎体力がない御本家ルノーはゴーン氏といえども改革できていない。

 

◆ドイツ経済は、競争力を取り戻すために解雇規制の緩和を強行し復調

 

ドイツはシュレーダー政権時代の03年に「アジェンダ2010」という10年をターゲットにした大胆な構造改革プログラムを打ち出した。当時は日本同様、ドイツ経済も低迷を続けていたが、その原因の1つは硬直化した労働環境にあった。

 

これに危機感を抱いたのは労働者の権利を守るべき立場の与党社会民主党(SPD)で、「アジェンダ2010」には解雇規制の緩和が盛り込まれた。つまり社員を解雇しやすくしたのだ。解雇されて労働市場に出てきた人材は国が責任を持って再教育して、21世紀の新しい産業で食べていけるようにする。「だから雇用にこだわらずに人材を活用せよ」と産業界に社員をクビにする自由を与えた。

 

ひたすら労働者の雇用を守り、権利を守り、休暇を延ばして、給料を上げていたら、ハイテクに強くて労働コストの安い新興国に仕事はすべて持っていかれる。競争力を取り戻すために解雇規制を緩和するという発想は、労働運動からは絶対に出てこない。

 

しかし、労働組合を支持母体とする左派政権だからこそ痛みを伴う改革ができたとも言える。あまりの痛みに05年の選挙で与党SPDは敗北しシュレーダー首相は退陣するが、メルケル首相の時代になって成果が如実に表れてドイツ経済は見事に復調した。

 

 

日本では解雇規制を緩和する議論さえまだスタートしていない。それどころか、安倍政権の働き方改革によって労働時間は短縮され、正社員化はさらに進んでいる。そのうえ、首相自ら賃金アップを財界に要請する始末。

 

他方、安倍晋三首相は「同一労働同一賃金」などと平気で口にする。ボーダレス経済において、仕事の内容が同じで給料が5分の1なら、企業は皆、安い海外に流れていく。それで「国内の賃金を上げろ」では、企業に「海外に出ていけ」と言っているようなものだ。

 

そもそもアベノミクスは19世紀の経済学だし、安倍政権は21世紀の経済というものをまったく洞察できてない。だから企業の足を引っ張るような方向違いの改革に精を出し、日本を20世紀の労働慣行に引き戻しているのだ。それこそ“国難”である。

 

日本も日本の企業も「置き換え」の波間に沈みゆくしかない。

 

 



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今回のポイントだ!
●デジタルコンチネントが加速度的に拡大し、リアル経済を侵食してデジタルディスラプションを引き起こしている。
●新しいタイプの企業が勃興して世界を席巻する一方で、主役の座を奪われた企業は廃れて消えていく派手な「置き換え」が現在進行形で起きている。
●日本は国家も企業も成功体験を積み重ね、20世紀の成功体験を引きずったまま、21世紀に突入した。しかし、20世紀の延長線上に21世紀の繁栄はない。

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過去の成功体験が足を引っ張ってしまってるんですね!成功はゴミ箱の中へなんていう本もありましたが、早く捨ててしまわないと21世紀には無くなってしまう会社になってしまうかもしれないですね!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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