2018/03/02配信分


日本の3社連合はアマゾンに勝てるのか?【大前研一メソッド】


日本の3社がネット通販事業に乗り出すと発表しましたが、これって他にネット通販事業をやっているAmazonなどに負けないものになるんでしょうか?




私がその昔、ネットビジネスで成功するには3種の神器が必要だと主張してきた。今回の3社連合で果たしてAmazonのようなところに打ち勝つ術があるのかどうか、考えてみるぞ!


■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 ソフトバンクとヤフー、イオンの3社が、共同でインターネット通販 』
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ソフトバンクとヤフー、そしてイオンの3社が、共同でインターネット通販事業に乗り出す方針を固めました。小売り最大手のイオンの店舗と物流網、ソフトバンク、ヤフーという“業界の雄”が持つITノウハウを組み合わせて、新たなサイトを開設する。これはネット通販で圧倒的な存在感を示すアマゾンに対抗する動きです。上記3社連合は果たしてアマゾンに対抗できるのでしょうか。大前研一学長に聞きます。
【資料】
アマゾン追撃へ、ソフトバンク・イオン・ヤフーが共同でネット通販を検討
■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 商品を届ける物流システムで世界最強のアマゾンが立ちはだかる 』
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◆ネットビジネスに欠かせない三種の神器「ポータル」「帳合」「物流」
私は1990年代から講演などで、「eコマース(電子商取引)などネットビジネスで成功するには、以下の三種の神器が必要だ」と主張してきた。
(1)多くのお客を呼び込む『ポータル』
(2)ユーザーから商品の代金を受け取る『帳合』
(3)商品を届ける『物流』
それを実証したのが94年創業のアマゾンだ。
株取引の自動化システムの会社の副社長を務めたジェフ・ベゾス氏が創業したアマゾンは、
(1)まずネット書店を開設し、多数の客を呼び込んだ。
(2)そして、利用者にクレジットカードの番号を登録をさせ、ネットで「カート」に入れるだけで代金の受け取りが済むようにして「帳合」を拡大した。
私は90年代の講演でもうひとつ、「アマゾンが黒字を出すようになったら恐ろしい会社になる」とも指摘した。その最大の理由は、
(3)「物流」を徹底的に整備したことに尽きる。
◆物流システムで世界最強を誇るアマゾンが立ちはだかる
アマゾンは当初、本を迅速に届ける物流センターと物流システムをひたすら整備した。その後も、商品を届けるシステムをひたすら作ってきた。
ただ、本やDVDのように、例えば書籍『企業参謀』と言ったら一種類しか選択肢が存在しないものと違い、靴や服、家具などは、注文後に「色調、好みが違う」と返品されることもある。アマゾンも最初は家具に参入して失敗した。
そこで2009年、ベゾス氏は靴のネット販売で急成長した「ザッポス」を1000億円以上で買収した。ザッポスでは、「ネットでは売れない」と言われた靴を「返品自由」にしたビジネスモデルが確立されていたからだ。
これを靴だけでなく、ファッションや家電、日用品などにも広げた。返品自由にできた理由は、アマゾンが世界最強の物流を持ったからだ。
日本の場合、本は再販制度の下に定価販売が義務づけられているため、マージンが大きい。このマージンを使って巨大な物流システムを作った。米国では、本の再販制度というものはなく、割引価格で販売されるため、日本ほどマージンは大きくない。
さらに12年、倉庫用の自走式ロボットのシステム開発を手がける「キバ・システムズ」も買収した。これは商品棚の間を多数のロボットが走り回って商品を棚からピックアップして出荷用の段ボール箱に詰め、段ボール箱を出荷ステーションに集めたりするシステムで、省力化によって人件費の削減、出荷作業の効率化につなげた。こうしてアマゾンは世界最強の物流システムを築き上げたわけだ。
ソフトバンクやヤフーは、物流についてはまだ“死にもの狂い”で取り組んでいるとは言えない。イオンも店舗中心で配送用のシステム構築はまだまだ質素だ。アマゾンとの違いは大きい。
3社連合は商品や販売、ITシステムについてはノウハウを持っているが、物流について“命がけ”でやってくれるパートナーが見あたらない。アマゾンに対抗する勢力になるにはその点を大きく補強しないと難しいだろう。


今回のポイントだ!
●ソフトバンクとヤフー、そしてイオンの3社が、共同でインターネット通販事業に乗り出す方針を固めた。
●上記3社連合は商品や販売、ITシステムについてはノウハウを持っているが、物流について“命がけ”でやってくれるパートナー会社が必要。
●アマゾンが世界最強の物流システムで立ちはだかる。上記3社連合がアマゾンに対抗する勢力になるには物流を大きく補強しないと難しい。




物流を制するものがこの世界で勝ち抜いていくんですね!この部分をどうやってクリアにしていくのか注視していきたいですね!

