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2018/03/05配信分

「春闘賃上げ率」をウォッチ!

 
今回は、「春闘賃上げ率」を取り上げてご紹介いたします。
 
先日2018年2月14日に、トヨタ自動車の労組が月額3000円のベースアップ(ベア)を求める要求書を会社側に提出しました。基本給を底上げするベアと定期昇給を合わせた月収ベースでの賃上げ率は、会社側が満額回答したとしても約2.9%となり、春闘の相場をけん引するトヨタでも3%弱ということになりました。大手電機メーカーの日立でも賃上げ率約2.8%程度となっています。
 
安倍政権が賃上げ「3%」を経済界に求めていますが、春闘相場に影響力を持つ自動車メーカーや電機メーカーでも3%には届いていない状況になっています。
 
それでは、企業の賃上げ率はこれまでどのように推移していたのでしょうか。給与額自体はどのように変化してきたのか、実際の数字を見て確認したいと思います。
 

 
賃上げ率の推移を1985年からとってみると、85年に5.03%でしたが、プラザ合意後の円高不況の影響もあって87年に3.56%となりました。その後、バブル期に入り90年に5.94%となりましたが、その後はバブル崩壊の影響もあり、上昇率が下がり2003年に1.63%と最も低い賃上げ率となりました。その後概ね横ばいが続き、2014年から2%代を上回るようになりました。
 
「月間現金給与総額」を見ると、85年は31.7万円で、そこから増加し続け97年に42.1万円となりましたが、そこから減少傾向が続き、リーマンショックで09年に35.5万円へと落ち込みました。そこから概ね横這いとなっています。賞与などの要素を除いた「月間きまって支給する給与額」も、ほぼ同じ傾向となっていますが、97年のピーク時からの落ち込み度合いは緩やかになっています。
 
とはいえ、賃上げ率がマイナスになったわけではないのに、給与額が下がっているのはおかしいと思うかもしれません。
 
なぜ、そのような現象が起きるかというと、春闘は正社員で構成される組合が正社員の賃上げを要求しているのに対し、「月間現金給与総額」「月間きまって支給する給与額」は常用雇用者すなわち非正規雇用者も含めた統計となっているからだといえます。
 
正社員(正規雇用者)数は85年の3343万人から97年の3812万人へと増加してきましたが、そこから減少に転じ2014年には3298万人と、85年時点の正社員数を下回る数となっています。一方、非正規雇用者は年々増えており、85年の656万人から95年に1000万人を突破、2016年には2024万人となっています。
 
春闘は正社員だけを対象とした賃上げ論議だけで良いのかという指摘も一部にはあるようです。しかしそれだけではなく、フリーランスやクラウドソーシング、副業OKなどの新しい働き方が論議される時代において、そもそも労働組合中心の正社員の賃上げ論議自体に意味があるのでしょうか。日本型の正社員制度自体の意義や、必要な職務、必要な人材に適切な給与・昇給が与えられるべきではないのかといった観点も含めて、現代における企業と社員と給与の関係がどうあるべきか、ゼロベースで考えなおしてみる必要があるのかもしれません。
 
 



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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