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2018/03/09配信分

グルーバル感覚 経営戦略

“空想的平和主義”を脱し、北朝鮮の驚異に備えよ【大前研一メソッド】

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南北首脳会談が行われると発表されましたが、北朝鮮が核放棄を協議する用意なんて本当にあるんでしょうか? 日本はどう対処していく必要がありますか?

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北朝鮮よりも韓国が核放棄を本当に望んでいるとも思えない。北朝鮮の驚異がすぐそこにある中で日本は防衛に対してまだまだ甘い状態だな。どう対処していく必要があるのか考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 南北首脳が4月に会談へ 』
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韓国大統領府は、文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が4月末に首脳会談することで合意したと発表しました。北朝鮮側は「核放棄を協議する用意がある」と表明しています。

 

大前研一学長によると、核保有国を目指す韓国は、核保有国のままの北朝鮮と統一したいのが本音であり、北朝鮮の核放棄を真に望んでいるわけではありません。朝鮮半島の非核化を望まない南北両国が非核化で合意する可能性は低く、このまますんなりと米朝対話に進展するというシナリオは楽観論に過ぎないでしょう。

 

北朝鮮からの攻撃に対して日本は粛々と準備を進めるべきだという大前学長の意見を聞いてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 北朝鮮からのミサイル攻撃を受ける現実性に日本は目覚めよ 』
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◆1発のミサイル被弾では反撃できない「専守防衛」の日本が標的?

 

日本は軍事に関して“言葉の力”を借りて乗り越えてきた側面が強い。象徴的な言葉が、防衛政策の基本とされる「専守防衛」だろう。専守防衛とは「相手から攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その様態も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢」と防衛白書では説明されている。つまりは憲法9条の縛りの中から捻り出された造語だ。

 

「専守防衛」でどこまでできるか。たとえば日本がミサイル攻撃を受けた場合に「敵基地を叩くことは可能」とする過去の国会答弁もある。ただし、相手が明確な意志を持って攻撃してきたことを確認しなければ「反撃」できない。1発ミサイルを撃ち込まれても「撃ち間違い」や「誤作動」の可能性があるから反撃できないのだ。

 

さて、今日、日本は現実に北朝鮮の核とミサイルの脅威にさらされている。

 

もし北朝鮮が日本に中距離ミサイルを撃ち込んできたら、日本は迎撃できるのか。通常の弾道で発射してきたなら1発、2発を撃ち落とすのは可能だろう。しかし、高高度のロフテッド軌道で発射してきた場合にはまず迎撃できない。

 

2017年12月、地上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入が閣議決定された。1基1000億円ほどのイージス・アショアを2基導入して北と南に配備すれば日本全土をカバーできるというが、相手が中距離ミサイルを20発も撃ってきたときにはすべてを迎撃しようがない。つまり想定される北朝鮮の攻撃に対して、「専守防衛」は不可能なのだ。まかり間違って中国やロシアから核弾頭付きの大陸間弾道ミサイル(ICBM)でも撃ち込まれようものなら、もう完全にお手上げである。

 

北朝鮮は「米本土を射程に収めるICBMの発射実験に成功した」と発表している。しかし“張り子の虎“かもしれないし、本当に米本土に撃ち込んだら一巻の終わりであることは金正恩氏もよくわかっている。約1000発の短距離ミサイルがソウルを狙っているが、韓国に手を出した場合の反動も半端ではない。韓国軍の手強さも知っている。

 

そう考えると、北朝鮮にとって一番確実で抵抗が少ないターゲットは、1発撃っても反撃できない日本なのだ。彼らも日本を攻撃対象にしていることを明言している。

 

非現実的な「専守防衛」に手足を縛られていたら、どうなるか?北朝鮮が追い込まれて暴発した場合、日本に向かって中距離ミサイルを撃ち込んでくる可能性は十分に考えられる。しかし、日本の防衛システムでは北朝鮮のすべてのミサイルを迎撃できないし、いかなる防衛システムでもミサイルの脅威を完全に取り除くことはできない。

 

◆迎撃できない以上、撃たせなくするしかない

 

迎撃できないなら、撃たせなくするしかない。たとえば北朝鮮が「東京を火の海にする」などと意思表示してミサイルに燃料を注入するなど攻撃姿勢を示した段階で敵基地攻撃を行う。これならば「専守防衛」のドクトリンにも適っている。

 

ところが自衛隊は北朝鮮のミサイルシステムを潰すような攻撃能力を有していないし、日米で共同開発している改良型迎撃ミサイルSM3ブロック2Aは数回の実験に失敗しているし、2021年までは実戦配備できない。つまり、現実的な北朝鮮の脅威に対して日本は何一つ対抗する手立てがないのだ。

 

すでにロシアが完成しているS400は400km範囲ならどんなものでも1度に80発までは迎撃できる。そんな米露中北の兵器開発合戦のまっただ中、“日米共同開発に期待する”というような悠長な話では、国民の安全は守れない。

 

◆「専守防衛」を超えた先制攻撃能力を持て

 

憲法改正論議とは関係なく、安倍首相の「日本を取り戻す」的な右寄り発想とはまったく違う文脈で、私は北朝鮮の脅威から国民の生命と財産を守るために、「専守防衛」を超えた攻撃能力を持つべきだと思う。非現実的な専守防衛に手足を縛られていたら何もできない。間違いなく日本を狙ってくるとわかったときには、先制攻撃できるようにすべきだ。

 

為政者が準備だけは進めておくべき「専守防衛を超えた攻撃力」とは具体的には何か。私の意見は以下の二つである。

 

(1)海兵隊
米国の戦力で定義するなら1つは海兵隊だ。海兵隊は陸海空3軍の外側にある第4の軍隊で、特殊任務を主とする。たとえば敵基地の破壊工作や人質の救出工作などが海兵隊のミッションだ。北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるとなれば、朝鮮半島にいる5万人の邦人の身の安全を確保して救出しなければならない。そうしたミッションを陸軍や海軍が協力して行うのは難しい。陸海空の戦力を一揃い持っている海兵隊のような部隊が必要になる。

 

(2)空母打撃群
専守防衛を超えた攻撃力の2つ目は航空母艦(以下、空母)。空母は必ず攻撃対象の近くまで出張って行き、艦載機で先制攻撃する。当然、空母は狙われやすいので、これを守る護衛部隊と「空母打撃群」を構成する。日本はまだ空母を持っていないが、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を空母化する計画が進んでいる。

 

巡航ミサイルの攻撃力も捨てがたいが、とりあえず先制攻撃でフィニッシュまで持っていく攻撃力となれば海兵隊と空母打撃群がワンセットだろう。これを国民に大きな負担がかかってでも、持つべきだというのが私の意見である。

 

 

北朝鮮のような予測不能かつ無法な隣国に対しては、海兵隊や空母打撃群といった攻撃力を持っていないと国民の不安は取り除けない。金正恩は34歳(推定)と若い。米国や中国やロシアによって「除去」されなければ、この先も北朝鮮の独裁者であり続ける。すでに日本全土をミサイルの射程に収めて、核弾頭ミサイルの開発は時間の問題。この脅威に対して丸腰で「専守防衛」を唱えている現実に国民の多くは不安を感じている。

 

「憲法9条の改正を待って攻撃力を持つのが筋」という向きもあるだろう。だが“空想的平和主義”に未だ毒されている政治社会状況では、安倍政権が憲法改正の発議をしても、国民投票で通る可能性は極めて低い。だから憲法改正論議とは別次元で、為政者は準備だけは進めておくべきなのだ。

 

 



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今回のポイントだ!
●北朝鮮にとって一番確実で抵抗が少ない第1攻撃目標は、1発撃っても反撃できない「専守防衛」の日本であろう。
●日本の防衛システムでは北朝鮮のすべてのミサイルを迎撃できないし、いかなる防衛システムでもミサイルの脅威を完全に取り除くことはできない。
●北朝鮮の脅威から国民の生命と財産を守るために、「専守防衛」を超えた攻撃能力を持たなければならない。

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専守防衛なんていう考え方をすぐに変えないとやられたきりで終わってしまいますね!すぐに対処してほしいものです!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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