BIZTIPS>BIZトピックス>肝を冷やすような株価下落が、今後何度も繰り返される!?【大前研一メソッド】

BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2018/04/06配信分

経済原論

肝を冷やすような株価下落が、今後何度も繰り返される!?【大前研一メソッド】

熊画像
上部枠

日本やニューヨークで株価の乱高下が頻繁に起きていますけど、一体世界経済はどうなっているんでしょうか?今後の株価は上昇なのか下落なのかどっちに向かっていくのでしょう?

下部枠
矢印
人画像
上部枠

まあ株価が上がるか下がるかが分かれば誰も苦労はしないだろうな!笑
この現象は実態経済との乖離が大きくなったことが要因と思われる。どこの国の政府も21世紀の経済はどうなっているのか把握する気がないのか、昔の経済対策ばかりを推し進めようとしている。21世紀経済がどういう経済なのかもう一度振り返ってみるぞ!

下部枠
矢印

 

■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 金融経済が実体経済を大きく上回ると、株価下落で調整される 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

2018年2月5日月曜日、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が大幅に下落、1175ドル安というリーマンショックを超える過去最大の下落幅を記録しました。翌6日の日経平均株価は一時1200円以上下げ、香港株や上海株が急落するなど、パニック売りが連鎖して世界同時株安の様相を呈しました。その後も反発と急落を繰り返す不安定な相場が続いています。

 

今回の株価暴落は金融経済が実体経済を大きく上回った結果としてもたらされたと大前研一学長は指摘します。両経済のギャップは必ずどこかで調整されるのだと言います。

 

それでは、両経済の乖離はなぜ起きるのでしょうか。大前学長に聞いてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 金融経済が実体経済を大きく上回る2つの理由 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

金融経済が実体経済を大きく上回る理由は、以下の2つがある。

 

(1)政治的な動き
1つは古い経済学に基づいて景気を刺激するために、金利を下げたり、通貨の供給量を増やしたりする政治的な動きだ。

 

ケインズ以来、20世紀のマクロ経済的な景気刺激策、つまり世の中の金回りをよくする方法は金利を下げることとマネタリーベースを増やすことの2つしかない。

 

だから安倍晋三首相もトランプ大統領もそこをいじりたがる。有効需要をつくるために金利を安くして借りやすくしたり、通貨供給をジャブジャブにしたりするのは政治的にもやりやすい。選挙のときも「景気対策を重視する」と言ったほうが倹約ベースの経済政策を主張するよりも圧倒的に民衆の受けがいいのだ。

 

「政府に何を望むか」という世論調査をすると、大概どこの国でも「景気対策」が1位に上がる。しかし、実際は「景気対策」と口にする癖がついているにすぎない。先進国の国民生活は基本的に充足しているから、人々は金利やマネタリーベースに反応しにくい。景気対策に応えるような消費動向を示さないのだ。

 

にもかかわらず、頭の中が20世紀の経済で止まっている政治家は景気刺激を国民が求めていると勘違いして、大規模なQE(量的金融緩和)を行う。しかしばらまかれた資金が国内経済に吸収されて実需に向かうことはほとんどない。「アベクロ・バズーカ」と呼ばれる経済政策が低欲望の日本社会に対しては時代錯誤かつ実態把握不足で効果が見られないのも、これが原因だ。

 

高欲望と言われてきたアメリカ社会もQEが長く続いたためにマクロ政策が実需に直結しないようになっている。低金利でもこれまでのように家がバカバカとは建たない。

 

QEで放出された資金は実需に向かわずにどこにいくのかといえば、土地や株、あるいは資金が不足していて金利の高い途上国に向かう。2017年、株価上昇率が世界で一番高かったのは政治的に問題があるブラジルとフィリピンだった。

 

トランプ大統領が推し進めているのも20世紀の古い経済政策で、減税したうえに予算を過剰に積み増しているので、不動産や株に余剰資金が回って実体経済との乖離がどんどん大きくなっている。

 

日本でも実需がないので日銀は国債を腹いっぱい食べているし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの年金ファンドは株を大量に買っている。日銀はETF(上場投資信託)も買い付けるようになって、国を挙げてPKO(株価維持政策)を推進中だ。当然、金融経済と実体経済の乖離は米国と同じく大きくなっているわけだ。

 

(2)供給過剰と先進国の圧倒的な需要不足
金融経済が実体経済から乖離する2つ目の理由は、途上国も含めた供給過剰と先進国の圧倒的な需要不足である。先進国では少子高齢化が例外なく進んでいる。人口ボーナス期は若い世代の結婚、出産などで将来需要が大きくなる。家が欲しい、家電や家具が欲しい、クルマが欲しいと高欲望の循環になるからだ。

 

しかし、国民の平均年齢が上がってくると人口ボーナスは反転して、人口オーナス期に入ってくる。人口オーナス期は高齢人口が増える。つまり何でも持っている人が多くなるということだ。当然、将来需要が増える可能性は少ない。

 

先進国の需要不足に拍車をかけているのが、21世紀型のサイバー経済が加速したシェアリングやアイドル(空き)エコノミーだ。個人も企業も「所有から利用へ」と進んでいけば需要が減るのは当然。クローゼットや倉庫の中に眠っているモノまで換金してしまうメルカリやエアークローゼットのような企業が先進国では当たり前になっている。エアビーアンドビー(Airbnb)やウーバー(Uber)は世界中で既存の業界を破壊する勢いだし、日本でも軒先、あきっぱ(akippa)、TKP、ファーストキャビンなど「空き」を利用した事業が次々に生まれている。

 

先進国で需要不足が進行する一方で、供給はあり余っている。特に途上国は供給力抜群だ。中国は半導体でもバッテリーでもソーラーパネルでも何でも、日本や欧米から製造装置や工作機械を買ってきて、日本の100倍の規模の工場をつくってしまう。昔は製造能力を身につけるには金だけではなくノウハウが必要だったが、今や製造能力も金で買えるし、機械の中にAIとして埋め込まれている。労働力の安い途上国がそうした機械を買って良質な部品や製品をつくれるようになったから、供給力にはほとんど制限がなくなった。

 

このように需要不足と供給過剰によって需給ギャップが広がるから、モノ余りになって実体経済の動きは鈍くなる。カネ余りで投資先を求めて過熱する金融経済とますます乖離していく。

 

こうして考えてみると、需要不足は不景気だからではない。21世紀経済の構造的な問題なのだ。しかし政治家やマクロ・エコノミストはそうした事実を知らない。だから政治家は需要喚起を願って今日も市場に低利の資金をばらまく。だがその金は実需には結びつくことなく、投機に向かう。主な投機先は不動産や株だ。

 

 

株も企業が未来永劫続いた場合に稼ぎ出すであろう収益を現在価値に割り戻したものが「時価総額」と定義されている。アマゾンやグーグル、中国のアリババなど、米中を席巻しているサイバー企業は将来価値の推測が難しいから、株価が高騰することもある。

 

しかし、20世紀型の従来企業の将来価値はおしなべて低い。そうした企業の株価まで上がっている状態は、金融経済と実体経済の間に大きな隙間が生じているということ。つまりブラックマンデー直前と同じ状況なのだ。

 

政治家とマクロ・エコノミストが21世紀の経済圏に移住してこない限り、証券会社や不動産業界が従来のトーンで「お買い得品」を煽り続ければ、いつ大規模調整が入ってもおかしくない。最近の4~5%もの(肝を冷やすような)株価下落は今後何回も繰り返されるだろう。

 

 



人画像
上部枠

今回のポイントだ!
●金融経済が実体経済を大きく上回ると、株価下落という形でその乖離が埋められる。
●金融経済が実体経済を大きく上回る理由は2つある。
●1つは古い経済学に基づいて景気を刺激するために、金利を下げたり、通貨の供給量を増やしたりする政治的な動き。
●2つ目の理由は、途上国も含めた供給過剰と先進国の圧倒的な需要不足。

下部枠
矢印
熊画像
上部枠

2つの要因によって実態経済を大きく上回ってしまったのですね!金融でまた肝を冷やすことにならないでほしいですが。。

下部枠
矢印
一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

相互に重複がなく全体として漏れがないことを指すロジカルシンキングの基礎技術って次のどれ?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP