BIZTIPS>BIZトピックス>小手先の適齢論では「18歳成人」の民法改正は有名無実に?【大前研一メソッド】

BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2018/05/18配信分

論理思考

小手先の適齢論では「18歳成人」の民法改正は有名無実に?【大前研一メソッド】

熊画像
上部枠

成人年齢が18歳に引き下げられると閣議決定されましたが、これで日本も世界標準の仲間入りでしょうか!?

下部枠
矢印
人画像
上部枠

18歳成人が基本的には賛成だが、日本はこの手の話になるとどうしても枝葉のところに行政の目がいきがちになる。18歳成人においてどういう議論がなされないといけなかったか考えてみるぞ!

下部枠
矢印

 

■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正が閣議決定、国会へ 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

2018年3月、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正が閣議決定し、国会に提出されました。今国会で成立すれば、3年程度の周知期間を経て、2022年4月1日から施行される予定です。

 

【資料】平成30年3月13日(火)定例閣議案件

 

「18歳成人」は大前研一学長がかねてから提唱してきたものです。世界の主流も「18歳成人」であり、基本的には賛成だけれども、成人年齢引き下げに至るプロセスには不備があると言います。どのような不備があるのか、大前学長に聞きます。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 酒やタバコ、ギャンブルは20歳を維持し、案件別適齢論の域を出ず 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

◆飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルの解禁年齢は20歳に据え置き

 

振り返れば、きっかけは第一次安倍政権時代の2007年5月に成立した国民投票法だった。16年6月に改正公職選挙法が施行された。これにより国政選挙と地方選挙、最高裁判官の国民審査の選挙権年齢が「満18歳以上」に引き下げられて、16年7月の参議院選挙から適用された。

 

国民投票法から11年、投票年齢の引き下げから始まった「18歳成人」は、ようやく民法改正にこぎつけた。時間がかかった大きな理由の一つは、18歳成人が複数の役所にまたがる問題だからだ。

 

たとえば選挙権の問題は総務省である。刑法や少年法の適用年齢を引き下げるとなると、法務省や警察庁が絡んでくる。現行だと20歳以上である年金保険料の納付義務が18歳に引き下げられる可能性もある。これは厚生労働省の管轄だ。10年有効のパスポートの取得年齢(現行だと20歳以上)を引き下げるなら外務省が関係してくるし、ローンやクレジットカードなどの消費者契約の問題は経済産業省の管轄だ。

 

それでも、自民党の「成年年齢に関する特命委員会」の提言(2015年)などを受けて、民法の成人年齢の引き下げについての議論が高まり、今回の閣議決定、法案提出に至った。

 

今回の民法改正およびその関連法案では、成人年齢を20歳から18歳に引き下げるほか、女性が結婚できる年齢を18歳に引き上げて、男女とも18歳に統一する。また前述した10年パスポートも18歳で取得できるし、法定代理人である親の同意がなくても18歳からローンやクレジット契約が可能になる。

 

一方で、飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルの解禁年齢は20歳に据え置かれる。健康被害や依存症の懸念から慎重論が強かったと言われるが、要は飲酒や喫煙、ギャンブルを政府が促進するような年齢引き下げは具合が悪いということなのだろう。

 

しかし、「選挙権とローン契約は18歳に引き下げてもいいが、アルコールやタバコは20歳を維持しよう」などと案件別に何歳という議論は科学的ではないし、そんな些末な議論の積み上げに意味があるとは私には思えない。

 

◆成人は国家を構成する基本要素。成人を定義することは国家運営の基本

 

成人年齢を20歳と定めたのは1876年(明治9年)のことである。「18歳成人」は歴史的な変更であり、日本という国家の存立を左右する重要な問題だと私は考える。なぜなら「この国では何を以て成人とするのか」を再定義することになるからだ。

 

日本国憲法は前文で「ここに主権が国民に存すること」を宣言して、国民主権、主権在民を謳っている。国民主権を担う主体となるのは未成年ではなく、自立した成年、成人=社会人である。つまり成人は日本という国家を構成する基本要素であり、成人を定義することは国家運営の基本中の基本だ。

 

では、何を以て成人=社会人とみなすかといえば、一般的には社会的責任が取れるかどうかだろう。社会に出たらきちんと自分の責任を果たし、なおかつ国に対して、自治体に対して、地域のコミュニティに対して、家庭を持ったら、家庭に対して責任を持てる人間を「成人」とする。

 

ところが、18歳成人の議論は国民投票や選挙権年齢の引き下げからスタートしたために、このような成人の定義が一度もなされていない。

 

成人、社会人にはどのような責任があるのか、どういう務めを果たさなければいけないのか。その定義をしないまま、選挙権を与えるということは、成人、社会人として生きていけないかもしれない人間に投票させるというナンセンスな事態に陥る。なので、選挙権の議論など後回しで良いから、まずは何を以て成人とするかという議論を先にするべきなのだ。

 

 

本来、「わが国はこうした社会的責任を果たせる主権者によって構成される」ということが憲法前文に謳われていてもいい。今後、日本は1000万人程度の移民を受け入れなくては国力も国家機能も維持できなくなる。移民を受け入れていくうえでも、「主権たる成人、社会人」を定義することはきわめて重要である。日本版グリーンカード(日本国籍がなくても日本に永住できる権利および、その資格証明書)の発効要件にもつながってくる。

 

「18歳成人」に民法を改正するのは、「成人」を再定義して、日本を再起動する大きなきっかけになりうるのだが、一連の議論の動きを見ていると、大山鳴動してネズミ一匹という結末になりそうだ。日本を再起動する大きなきっかけになりうる歴史的なチャンスを案件別に何歳が適当なのかという、非科学的で些末な“適齢論”に終始してしまうところに、日本の行政執行能力、物事を定義して前に進めていく力の著しい衰えを感じざるを得ない。

 

 



人画像
上部枠

今回のポイントだ!
●成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正が閣議決定し、国会に提出された。
●「18歳成人」に民法を改正するのは、「成人」を再定義して、日本を再起動する大きなきっかけになりうるのだが、一連の議論の動きを見ていると、大山鳴動してネズミ一匹という結末になりそうだ。
●日本を再起動する大きなきっかけになりうる歴史的なチャンスを案件別に何歳が適当なのかという、非科学的で些末な“適齢論”に終始してしまっている。

下部枠
矢印
熊画像
上部枠

大きく変わるチャンスを活かせていないんですね! 18歳成人で日本がもっと大きく変わることを期待したいのですが。

下部枠
矢印
一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

市場そのものは隆盛を続ける一方で外資に国内系企業が淘汰、買収されたりすることを何という?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP