BIZTIPS>BIZトピックス>国のIT人材育成政策は使われる人を大量育成するだけ!?【大前研一メソッド】

BIZトピックス 話題のビジネスマナーや、時事問題を大前研一やMBAホルダーの視点で鋭く解説。あなたの成長へのプロセス作りを後押しする、ビジネストピックス集。

2018/06/22配信分

ITリテラシー グルーバル感覚

国のIT人材育成政策は使われる人を大量育成するだけ!?【大前研一メソッド】

熊画像
上部枠

政府がIT関連人材を大量に育成する方針を打ち出しましたが、日本もIT国家になっていくことができるんでしょうか?

下部枠
矢印
人画像
上部枠

大量に人材育成することによってどうしたいのかが明確になっていないような気がしないか? 世界に通用する人材というのはどういう人なのかを政府が真剣に考えているだろうか? 国際的に通用するIT技術者というのはどういった人材像なのか考えてみるぞ!

下部枠
矢印

 

■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 政府、IT関連の人材を2025年までに数十万人規模で育成へ 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

政府は新たな科学技術戦略=統合イノベーション戦略の素案を取りまとめ、閣議決定しました。IT分野などで急速に進む技術革新を支えるため、人工知能(AI)を扱うIT関連の人材を2025年までに数十万人規模で育成、採用する目標を掲げています。

 

若手研究者に重点的に研究費を配分するとともに、大学の給与体系を成果主義に改め、東京大学など16の有力大学に占める40歳未満の教員の割合を2023年度までに3割以上に増やすことが盛り込まれています。

 

政府が閣議決定したIT関連人材の育成方針について大前学長の見解をみてみましょう。

 

【資料】
『統合イノベーション戦略』 p.55

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 「国際市場で通用するIT人材像」を政府が理解していない 』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

◆国際市場で通用しない日本人IT技術者の給与は低く抑えられている

 

この育成方針は、数とかスケールがちょっと違うのではないか。現在、IT関連人材については、どういう能力があるのか、世界的に通用することができるのかなど、テストすれば一発で測ることができる。現に入社試験をプログラミング能力で測っている私の友人の会社などはIT人材はすべて外国人になってしまった。

 

日本の場合、IT関連人材も新卒の初任給は20万円とか30万円といわれる。2017年の採用市場では、中国の通信機器大手華為技術(Huawei:ファーウェイ、以下、華為)が日本で大卒エンジニアを「初任給40万円」で募集して話題を集めた。日本で大卒エンジニアの給与はそれほど低く抑えられている。

 

一方、世界の一流IT企業では、世界標準の最先端の研究ができるIT技術者には1000万円を超える年俸が与えられている。これが優秀な人を採るためのグローバル・スタンダードだ。

 

米国のシリコンバレーなどでは、中堅エンジニアは3000万円以上で引き抜かれる。顧客と交渉してスペックを決めたり、仲間を集めて指示したりといったプロジェクトマネジメントもできる人材なら1億円の年俸も珍しくない。

 

そういう国際市場で通用する人材の定義をしないで、日本政府が数だけ「数十万人規模で育成」などと示しても始まらない。また、統合イノベーション戦略では「2032 年までに初等中等教育を終えた全ての生徒がITリテラシーを獲得」としているが、既に、インドやイスラエルなどでは小学校から実務的なプログラミング教育が始まっている。

 

◆IT人材のクオリティーを重視するなら1万人もいれば十分

 

実は日本にはITに関わる人の数はけっこう多い。ただ、IT技術者の多くは顧客の企業に派遣されて、その企業の人たちと一緒にシステム作りをしている。IT技術者は「派遣」という構造に組み込まれて、なかなか給料が上がらない中、チンタラとプログラミングしているのが実態だ。

 

実際には、最先端のシステム作りができる日本人は非常に少ない。きちんとフロー・チャートを描いてシステムを設計し、インドなどに外注できるという「発注側の能力」を持つ人は少ないのだ。だから、顧客も「とりあえず、人を入れてくれ」という程度の感覚で、IT企業は単なる“人入れ業”になってしまっている。

 

クオリティーを重視するなら、数十万人のIT技術者なんていらないのではないか。年俸1000万円クラスの世界標準の能力を持つ人が1万人もいればいい。そういう人たちの指示に基づいて開発してくれる人たちは、インド、フィリピン、東欧のベラルーシなど世界中にいくらでもいる。海外にアウトソーシング(業務委託)をすればいいのだ。

 

日本の場合はオフショアリングするにあたって前提となる発注仕様書が書けないので、やむなく日本国内で人海戦術でやっているのが現状だ。そのため、「IT技術者を数十万人規模で育成」などという的外れも甚だしい政策が推し進められようとしている。

 

 

日本人の多くは語学が圧倒的に苦手だ。どれだけ技術にたけていても語学ができない技術者は使われる側に回る。

 

政府のありがたい新政策も、こうした世界の現状を理解しない大学教授などの提言に基づいたお手盛り政策で、仮に数だけ数十万人のIT技術者を育成したところで、シリコンバレーや中国の華為の下請けをやることぐらいしかできないだろう。

 

文科省が「教育の根幹は(日本語に英語とプログラミング言語を加えた)“トリリンガル”」という大原則に基づく21世紀の教育方針を小学校から徹底する以外に近道はない、と知るべきだ。

 

 



人画像
上部枠

今回のポイントだ!
●政府はIT関連の人材を2025年までに数十万人規模で育成するが、下請けをやることぐらいしかない。
●どれだけ技術にたけていても語学ができない技術者は使われる側に回る。
●「教育の根幹は(日本語に英語とプログラミング言語を加えた)“トリリンガル”」という大原則に基づく21世紀の教育方針を小学校から徹底する以外に近道はない。

下部枠
矢印
熊画像
上部枠

このままいってしまうと下請けをやることになってしまうんですね! 国際的に通用する人材とはどういう人なのかをもっと真剣に考えてほしいものです。

下部枠
矢印
一票を!

今後のサイト作りの参考にさせて頂きます。

役立った!
同一カテゴリのトピックスを読む
MBA診断

本サイトのBIZトピックス・ビジネステンプレート・ビジネス用語集は、ビジネス界の第一線で活躍する大前研一が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。

【無料】9日間でカフェ経営メルマガ

<ステップメール>経営学の要諦を物語で学ぶ!定年退職した父親は元公務員。ビジネス経験ゼロの父が、一流の経営者になるまでの感動のストーリー

BIZTIPSとは?
close

BIZTIPSは、ビジネスに関する様々な情報を集約したビジネスパーソンの知的給油所です。現在進行形で起こっている諸問題、疑問に対するプロの見解や最新のビジネストピックスなど、必読情報満載のポータルサイトです!

BIZまとめ
役立つ5つのコンテンツ
BIZトピックス
BIZ用語集・テンプレ
BIZライブラリ
BIZリファレンス
検索人気ワード

バナー

バナー

バナー

BIZクイズ一問一答!

問題

自社や外部環境の分析をすることによって、適切な目標を立てるために役立つフレームワークは?

ビジネスの第一線から最新情報を配信中!
本サイトは日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を努めるビジネス・ブレークスルー大学大学院が提供しております。
ビジネスの第一線で活躍する講師陣ならではの最新のビジネス情報を配信中です。

大前研一

大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

PAGE TOP