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2018/07/27配信分

論理思考

米朝首脳会談は成功?それとも失敗?【大前研一メソッド】

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歴史的な米朝首脳会談が行われましたけど、結局あれは成功だったんでしょうか?北朝鮮の非核化を実現させられるのか心配です。日本の拉致問題の完全解決にもどうもつながらなそうな会談な気がしていますが…

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今回の会談はショーにすぎなかったかもしれないな!成功だったのか失敗だったのか考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 米朝首脳会談とは何だったのか? 』
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トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による2018年6月の歴史的な米朝首脳会談から1か月半が経過しました。会談の当事者たちの損得勘定はどうだったのでしょうか。米朝首脳会談は果たして成功だったのでしょうか。それとも失敗に終わったのでしょうか。大前研一学長の意見を聞いてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 トランプ大統領と金委員長が国民に向けた、歴史的な外交ショー 』
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◆「非核化」と「安全の保証」の長きにわたる綱引きがこれから始まる

 

まず合意文書の内容を確認しておこう。ポイントは以下の4点である。

 

(1)平和と繁栄を求める米朝両国民の希求に基づき、新たな米朝関係の構築に取り組む。
(2)朝鮮半島に恒久的で安定的な平和体制を構築するためにともに努力する。
(3)北朝鮮は2018年4月27日の板門店宣言(文在寅韓国大統領と金委員長の南北首脳会談で両首脳が署名。朝鮮半島の完全な非核化、朝鮮半島の集結などの目標が盛り込まれた)を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組む。
(4)米朝は戦争捕虜や行方不明兵の遺骨収集と、すでに身元が判明している分の即時引き渡しに尽力する。

 

今回の首脳会談で注目されたのは、北朝鮮の非核化と安全の保証という「ディール」の行方である。共同声明には「トランプ大統領が『security guarantees(安全の保証)』を与えることを約束し、金委員長は『朝鮮半島の完全な非核化』に対する揺るぎない意志を再確認した」との文言が入った。

 

合意文書にも「朝鮮半島の完全な非核化」との一文があるが、具体的なスケジュールや非核化の方法やその確認体制については盛り込まれていない。米国が一貫して求めてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」というフレーズもない。

 

そもそも「朝鮮半島の完全な非核化」という言い回しは、北朝鮮の側から持ち出してきたものだ。合意文書の「朝鮮半島の完全な非核化」に(核を保有する)在韓米軍の撤退が含まれるのかどうかも曖昧なままだ。

 

「security guarantees」については、合意文書では一切触れられていない。北朝鮮が完全な非核化に応じれば、米国は「安全の保証」を与えるというわけだが、それが“金王朝”による独裁体制の保証を意味するかどうかは定かではない。単に米国が軍事的行動に打って出ないことを意味しているだけかもしれない。

 

トランプ大統領は会談後の記者会見で「今日署名した文書は多くの事柄が含まれている。署名後に合意された事柄で文書に含まれていない部分もある。これらは時間が足りなかったので文書に入れることができなかった」と語っている。もしかしたら非核化プロセスに関する合意があったのかもしれないし、裏では「安全の保証」をしたのかもしれない。

 

「安全の保証」というと金委員長がトランプ大統領に泣きついて懇願するイメージがつきまとう。そんな文書を表の合意文書に入れるはずがない。「安全の保証」など北朝鮮の国民は誰一人として求めていないのだから。

 

トランプ大統領の言葉を借りれば、今回の首脳会談は「骨の折れるプロセス」の始まりに過ぎない。「非核化」と「安全の保証」の長きにわたる綱引きはこれから始まるのだ。

 

◆会談当事者たちの損得勘定はいかに?

 

今回の首脳会談、金委員長にとっては成功と言って良さそうだ。世界一の大国米国のトップとサシで対話することは“偉大なる”祖父も父もなしえなかった一族の積年の大目標だからだ。トランプ大統領と握手している映像は、米国との対等な関係を北朝鮮国内向けにプロパガンダできる。

 

そのうえ、トランプ大統領から「彼は非常に優秀だ」「優れた交渉者」「26歳の若さで国を運営できるのは1万人に一人」などと最大級の賛辞を贈られて、「挑発的」と非難してきた米韓合同軍事演習の中止までトランプ大統領から引き出した。米朝首脳会談を受けて、中国は既に経済制裁を緩和している。「非核化」の具体的な裏付けのない合意文書一つで、それだけの見返りを勝ち取ることができたのだ。

 

一方のトランプ大統領にとっても会談は大成功だったと言える。外交の専門家の多くは「具体的なコミットメントがない」という評価だし、ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズ、英国のフィナンシャル・タイムズやエコノミストなどの辛口メディアは軒並み「内容が乏しい」あるいは「金正恩の大勝利」と報じた。

 

ところがCNNの世論調査では米国民の半数以上がトランプ大統領の北朝鮮への対応を支持しているのだ。外交専門家やメディアの批判もどこ吹く風。トランプ大統領が意識しているのは秋の大統領選挙であって、米朝首脳会談はその有権者に向けたリアリティショーなのだ。

 

プロデューサーのトランプ大統領は、専門家が評価するような具体的なコメントよりも、金委員長と劇的な握手を交わして、二人仲良くテレビカメラに手を振る方が視聴率(支持率)を稼げることを知っている。そうした意味で歴史的リアリティショーは成功と言えるだろう。

 

 

金委員長を手懐けた(と思い込んでいる)トランプ大統領の興味はもう次に移っている。

 

船橋洋一氏(元朝日新聞主筆)が著した『世界が劇場となった』という書籍があるが、トランプ政治、トランプ外交というのはとことん「劇場政治」である。今回の米朝首脳会談はそれを象徴している。トランプ大統領と金委員長が揃ってノーベル平和賞を受賞しようものなら、2018年一番の悪いジョークだろう。

 

 



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今回のポイントだ!
●トランプ大統領は、専門家が評価するような具体的なコメントよりも、金委員長と劇的な握手を交わして、二人仲良くテレビカメラに手を振る方が視聴率(支持率)を稼げることを知っている。
●トランプ大統領が意識しているのは秋の大統領選挙であって、米朝首脳会談はその有権者に向けた外交ショーだった。
●トランプ政治、トランプ外交というのはとことん「劇場政治」である。今回の米朝首脳会談はそれを象徴している。

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トランプ大統領にとってはショーという認識だったんですね…。まったく残念すぎる大統領です! 

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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