BIZTIPS>BIZトピックス>トランプのような異常な大統領が「当たり前」になる!?【大前研一メソッド】

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2018/09/07配信分

グルーバル感覚

トランプのような異常な大統領が「当たり前」になる!?【大前研一メソッド】

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トランプ大統領が中間選挙を迎えようとしていますが、大統領になった当初は1年ももたないと言われてましたね。予想は一転して全然辞めてませんけど、なぜここまで政権を維持できているんでしょうか?

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トランプ大統領だけでなく、世界を見渡すと異常なリーダーと呼ばれる人が大統領などになっている。日本も例外ではないな。異常なリーダーが正常になっていないだろうかということを今回は考えてみるぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 トランプ大統領はなぜ生き残れるのか? 』
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泡沫のトンデモ候補と見られていた共和党指名候補のトランプ氏が大統領選を勝ち上がったとき、米国のインテリジェンスやジャーナリズムは「3カ月持たない」とか「長くて1年」と高をくくっていました。しかし、トランプ大統領は生き残って、中間選挙を迎えようとしています。

 

異常が日常化して、その状態が“正常”となると民主主義は無力なもので、異常な状態に馴れた国民は正常な判断ができなくなってくるのだと大前研一学長は警鐘を鳴らします。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 異常なリーダーが日常化して“正常”になる現代の民主主義 』
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◆トランプ大統領の過激な演出

 

トランプ大統領の異常さを際立たせているのは、「歴代の大統領がやったことのないことをオレはやってやる」という行動原理だ。それが建設的な方向に出てたまたま米朝首脳会談は実現したが、多くは「アメリカファースト」を理由に歴代大統領が築いてきた秩序やルールの破壊にエネルギーが注がれてきた。

 

オバマ前大統領が心血を注いだオバマケア(医療保険制度改革)の廃止、ジョージ・ブッシュ元大統領が署名して発効したNAFTA(北米自由貿易協定)の見直し、そしてメキシコ国境の壁建設は大統領選からの目玉公約だ。

 

しかし代替案の提出に失敗してオバマケアの撤廃は頓挫。壁の建設も進んでいない。メキシコでは「向こうがアメリカファーストなら、こっちはメキシコファーストだ」という左派のオブラドール氏が2018年12月に大統領に就任するが、「壁の建設費を払え」というトランプ大統領の要求を一蹴した。NAFTAの見直し交渉も難航している。

 

つまり大統領選で掲げた公約はほとんど実現していないのだ。実現したのは地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」やTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、それから在イスラエル大使館をエルサレムに移転したことぐらいだ。

 

看板公約は実現せず、実現した政策は国際社会から強い批判を受けている。しかしトランプ大統領は動じない。それどころか、2020年の大統領選で再選を目指す意向まで表明するのだから、やはり異常なリーダーと言うほかない。

 

とはいえ、米国人もその異常さにだいぶ馴れてきて、トランプ大統領の派手な言動がないと物足りなく感じているような節がある。これはトランプ大統領が政治をリアリティーショー化した効果が多分に大きい。18年7月のNATO首脳会議でも、トランプ大統領は脱退を示唆して欧州に乗り込んだ。

 

「米国はGDPの4%を国防費に投じて、どこよりもNATOに金を使っている。米国との貿易で大儲けしているドイツの国防費は1%にすぎない。これは不公平だ。加盟国が防衛費を増額しなければ、米国は脱退も辞さない」と。

 

NATOは米ソ冷戦時代に米国主導で結成された軍事同盟で、米国は頼まれて用心棒をしているわけではない。軍事ロビーが強い自国の都合で今もNATOに大枚をはたいているにすぎない。

 

いつも通りの勉強不足、完全に筋違いの主張なのだが、欧州勢は「24年までに国防費のGDP2%達成を揺るぎない責任とする」と応じた。一見、トランプ大統領の剣幕に押し切られたようだが、当事者たちが24年に国のトップにいる保証はどこにもない。しかしトランプ大統領はいたく満足して「NATOは素晴らしい。今は脱退する必要はない」と語っている。

 

米朝首脳会談もそうだったように過激に危機を演出してディールに臨み、チープな結末を「素晴らしい成果」と過剰に強調する。“プロデューサー”トランプが視聴率(≒支持率)を稼ぐ常套手段なのだ。

 

◆異常な状況はなぜ正常に引き戻されなくなってしまったのか?

 

民主主義が生まれた古代ギリシャのアテネは徐々に衆愚政治に陥って衰退した。大衆迎合が横行し、異常なリーダーが日常化する現代の民主主義も同じような方向に進んでいるように思える。かつては異常な状況を正常に引き戻す仕掛けが以下のように3つあった。

 

(1)米国という覇権国家の存在
「自由、平等、幸福の追求」を人間の天賦の権利と謳った独立宣言に始まって、リンカーンの奴隷解放、無理やり引きずり込まれた2つの大戦を経て、米国は自由と民主主義の本尊として世界にある種の道徳律というものを振りまく存在になった。

 

しかし世界が多極化する中で米国はグローバルコップ(世界の警察官)としての矜持も自信も失って、今や大統領が「アメリカファースト」を堂々と掲げる国になり下がってしまった。

 

(2)マスメディアの衰退
第4の権力としてマスメディアは行政、立法、司法の3権を監視して歪みを矯正し、規律を与えてきた部分がある。

 

しかしネットやSNSの発達によって情報の民主化が起きて、個人が情報を発信する時代になった。言ってみれば「メディアの衆愚化」である。情報を独占できなくなったマスメディアの影響力は急速に低下した。

 

トランプ大統領も記者会見はやらず、もっぱらツイッターで自分の考えを表明して、自分に不都合なマスメディアの記事を「フェイクニュース」と切って捨てる。フェイクニュースという言葉は今の米国のマスメディアにとってペンを鈍らせる大きな重しになっているのだ。

 

(3)アカデミアと現実の乖離
経済学で言えば、ケインズ以来さまざまな経済学者が経済事象をモデル化し、理論構築して、世界をリードしてきた。

 

しかし今の経済学者は先人が150年ぐらいかけて積み上げてきた経済理論というものをリバイス(修正)できていない。サイバー経済やボーダレス経済といった経済事象に適った新しい理論が用意できていないし、これまでになかった日本のような超高齢化社会の経済モデルも提示できていないのだ。

 

 

 

上であげた(1)~(3)、すなわち、(1)覇権国家たる米国が道徳律を世界に示し、(2)マスメディアと(3)アカデミアが健全に機能していた時代は、正常化のプロセスが自然に働いた。

 

しかし、この3つの要素が大きく劣化したために世界は変容し、異常が日常化した。構造的な理由がある以上、放っておいて改善される見込みはない。

 

われわれはそういう深刻な状況に陥っているのだ、という認識をまず持つところから世界を眺める必要があるのだ。

 

 



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今回のポイントだ!
●異常なリーダーが日常化する現代の民主主義は、衆愚政治の再来を想起させる。
●以下の3つの要素が大きく劣化したために世界は変容している。
(1)道徳律を世界に示す米国という覇権国家の衰退
(2)マスメディアの衰退
(3)アカデミアと現実の乖離
●構造的な理由がある以上、放っておいて改善される見込みはないという深刻な状況に陥っている。

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改善されないなんて危険な状態じゃないですか! これは放っておけないですね!

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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