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2018/09/14配信分

グルーバル感覚

48万人規模の「海亀派」とは? 中国人の海外留学事情【大前研一メソッド】

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「海亀派」って言葉があるんですが、これは留学生のことですか? そういえば留学生で思い出しましたけど、日本の留学生って最近増えてるんでしょうか?

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単なる留学生を指す言葉ではないな。中国人が海外留学事情に関連した言葉だが、日本の留学事情も含めて、今回は中国の留学生の実態について解説していこう。

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 中国人の海外留学者数は年間60万人を超える 』
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日本人の海外留学者数は年間約9万人です。このうち、米国に留学するのは約2万人です。この数字は90年代後半がピークで、半分以下にまで減っています。

 

対照的に今や圧倒的に増えているのが中国人留学生です。中国人の海外留学者数は年間60万人を超えます。その多くが欧米に集中しています。米国で学ぶ海外からの留学生は約100万人いますが、国別に見ると中国人が3割以上を占めて、2位のインドや3位のサウジアラビアを引き離して断然1位です。日本は9位です。この状況を大前研一学長は”脅威”と捉えています。見解を聞いてみましょう。

 

 

■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 年間48万人規模の海亀派が中国のハイテク産業の担い手として活躍 』
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◆現地にとどまる人数も帰国する人数も圧倒的な中国人留学生

 

中国人留学生の注目すべき点は、年間60万人以上が海外留学する一方で、海外から帰国する留学生が年間48万人もいるということだ。

 

90年代に中国人留学生は国外に脱出するため決死の覚悟で米国に渡って、14%ぐらいしか中国には戻らなかった。それが今や48万人の留学生が中国本土に戻ってくるのだ。

 

これは二重の意味で恐ろしい。

 

毎年60万人の中国人留学生が世界に飛び出して、48万人が帰ってくるということは、12万人以上の中国人が現地などにとどまるということだ。彼らは優秀だし、事業意欲も高いから、現地で成功する。たくさんの寄付をしてコミュニティに溶け込み、市民権を得て政治家になる者も出てくる。そうやって世界中で市民レベルでも中国人の政治的影響力が増していく。

 

一方、海外留学から中国に帰ってきた48万人は「海亀派」とか「海帰派」(いずれも中国語の発音は「ハイグイ」)と呼ばれて、中国の経済成長、ハイテク化の担い手になっている。年間48万人という「海亀」の圧倒的なボリュームは、日本の高度成長期の海外留学生の数の比ではない。

 

◆米国や中国でマジックワードになっている「STEM」とは?

 

「STEM教育」「STEM人材」という言葉をご存知だろうか。
Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Mathematics(数学)
――の頭文字を取った造語で、この4分野を統合的に学ばせるのが「STEM教育」であり、これを兼ね備えて人材が「STEM人材」である。AI技術者などはSTEM人材の最たるものだろう。

 

米国や中国では「STEM」がマジックワードになっていて、STEM人材の熾烈な争奪戦が繰り広げられている。

 

中国では海亀派はグローバル人材としてもてはやされてきた。ここへ来て留学生の増加や景気減速の影響で以前ほど優遇されなくはなってきたが、それでも最先端のSTEMを学んできた人材となれば話は別だ。企業の研究所や大学では高給のポストが用意され、起業のための支援体制も整えられている。

 

中国の大都市のほとんどは海亀派を迎え入れるための起業屋敷がある。帰国して中国本土で起業した者にはハイテク環境が整った事務所が無料あるいは超低額で貸し出されて、国や自治体から100万円を超える助成金まで出る。

 

ハイテク起業屋敷の周囲にはベンチャーキャピタルやインキュベーター、弁護士事務所などが集まり、定期的にアイデアコンテストが開かれて出資者を集めては、新規事業が立ち上がっていく。

 

深セン、杭州、北京(中関村)、上海、珠海、中山、蘇州、温州、大連といった全国の大都市にそのようなエリアがあって、激しい人材獲得競争が行われているのだ。

 

◆深センはシリコンバレーを凌ぐ世界最先端都市に成長

 

Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google――。

 

米国のハイテク業界を支配するIT企業群は「FANG」と呼ばれているが、そのFANGが青ざめながら注視しているメガシティが深セン市だ。フォックスコンやファーウェイ(華為技術)など長らくOEM(他社ブランドの製品を製造すること)の受託生産を得意技にしてきたおかげで、深センにはあらゆる部品を作り出す産業基盤が整っている。そうした産業基盤が、シリコンバレーにはない深センの強みだ。

 

アイデアをハードウエアに落とし込んで実際に動かすための産業インフラ、部品インフラが整っていて、STEM教育を受けた人材が集まり、世界中から投資も集まってくる。モノ、ヒト、カネを呼び込む世界最先端の都市に成長した。

 

 

日本政府は「2020年にはAI人材を含むIT人材が30万人不足する」と試算して、AI開発ができるIT人材を年間3万人規模で育成することが急務だという。

 

しかし、そんなレベルでは年間48万人規模で世界中から海亀が戻って来る中国に対抗しようもない。日中の経済格差は拡大する一方だ。

 

この5年で世界のハイテク業界図はすっかり塗り替えられた。自動車の電子化あたりまでは日本やドイツも先頭集団に属していたが、AIやIoTの時代になって、ハイテク覇権の争いは完全に米中2か国に絞られた。

 

全米科学財団の発表によれば、2016年に発表された科学論文数で中国はついに米国を抜いて世界一になった。3位以下はインド、ドイツ、英国で、かつて世界2位にまでなった日本は6位に後退した。日本の論文数は今や中国の約5分の1しかない。

 

 



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今回のポイントだ!
●年間48万人規模で世界中から海亀(留学生)が戻って来る中国に日本は対抗しようもない。日中の経済格差は拡大する一方になるだろう。
●この5年で世界のハイテク業界図はすっかり塗り替えられた。
●自動車の電子化あたりまでは日本やドイツも先頭集団に属していたが、AIやIoTの時代になって、ハイテク覇権の争いは完全に米中2ヵ国に絞られた。

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日本の留学危機というより、経済格差の危機であるわけですね! 日本はもはやついていけすらしていないのですね…

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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