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2018/10/19配信分

グルーバル感覚

移民受け入れか否か? 人手不足問題はまったなし【大前研一メソッド】

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日本の人口減少に伴って、人手不足がさらに深刻になっています!政府は外国人労働者受け入れ拡大に向けた法改正を行うようですが、これで解消されるのでしょうか?

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自体はそう簡単には解決しないと私は考えているぞ!この問題には日本人の「移民」に対する考えが大きく関係しているようだ。どういうことか、解説していくぞ!

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■ ビジネストレーニングの種 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 外国人の在留資格が大幅緩和へ 』
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政府は10月12日に開かれた関係閣僚会議で、外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管難民法(出入国管理及び難民認定法)などの改正案の骨子を示しました。10月24日に召集予定の臨時国会に提出する予定です。同法案などが成立すれば2019年春に受け入れを開始したい考えです。事実上の単純労働も含めた資格新設は大きな政策転換と言えます。対象は人手不足が深刻な建設や介護、農業など十数の分野が検討されており、今後具体的に定めます。
 
一方で、山下貴司法相は12日の記者会見で「雇用契約の更新がなされない限りは在留期間の更新は許可されない。『永住』とは相当違う」と述べて移民政策を否定しています。
 
今回の政策について大前研一学長の意見を聞いてみましょう。
 
 
■ 大前研一学長の見解 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『 付け焼き刃的に設計した在留資格制度では根本的解決はほど遠い 』
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◆人口減少社会がもたらす深刻な人手不足
 
総務省が2018年7月に発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によれば、2018年1月1日現在の日本の総人口は約1億2520万人で、9年連続の減少になった。日本は世界に先駆けて完全なる人口減少社会に突入した。
 
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位推計)によれば、日本の総人口は30年に1億1662万人、48年には1億人を割って9913万人になる。人口減少社会の最大の問題は働き手がいなくなることだ。25年には約800万人の団塊の世代が75歳を迎えて後期高齢者となり、国民の4人に1人が後期高齢者、国民の3人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入する。
 
医療費や介護費用などの社会保障費が膨れ上がる一方で、社会保障の担い手である労働力人口は減っていく。25年には日本の人口は700万人減って、15歳から64歳の生産年齢人口は約7000万人まで落ち込む(現状は約7400万人)。
 
東京オリンピック・パラリンピックというお祭りが終われば、この「2025年問題」はすぐそこである。女性やシニア世代の就労を促進したり、一人ひとりの労働者の生産性を高めたり、AIやロボットに仕事を代替させるなど、労働力不足を補う方策は各方面で進められている。しかし、いずれも進行する人口減少社会がもたらす深刻な人手不足を解消する決め手にはならない。
 
厚生労働省の試算ではAIの進展によって30年までに161万人の就業者が減少するが、労働力人口の減少はそれを上回るために失業者は増加せず、逆に64万人の労働力が不足するという。国内で行われている生産活動の中心となる生産年齢人口が減少するということはGDPの減少、すなわち国家の衰退を意味する。年間30万~40万人が減っていくこの国の衰退に歯止めをかける秘策はない。対策は人口を増やすことだ。
 
◆国力を維持していくためには「移民政策」に取り組むしかない
 
しかし現状の少子化対策が功を奏して出生率が多少上向いたとしても、人口減のスピードが緩むだけで、働き手は確実に減っていく。人口減少社会が進行する中で、今の国力を維持していくためには、やはり中長期的な視野に立って「移民政策」に取り組むしかないのだ。
 
少子高齢化で労働力人口が減っていくことは20年近く前からわかっていたことだ。しかし、この国は移民政策に正面から向き合わず、本格的な議論を避け続けてきた。
 
これまで日本政府は「移民政策は取らない」という立場を堅持してきたし、「単純労働」の外国人の受け入れを認めてこなかった。今度の新しい在留資格制度では、高い専門性や技能、日本語能力を必ずしも持ってない人材も受け入れ対象になる。その意味では単純労働の外国人労働者に道を拓く可能性もある。これを「門戸開放」とか「方針転換」と見る向きもあるが、骨太の方針には言霊信仰者が政策の立案にこだわったとしか思えない「同制度は移民政策とは異なる」との但し書きが付いているのだ。
 
日本は人手不足になると在留資格を緩めて、泥縄式に外国人労働者を使ってきた。政府は移民政策を否定しておきながら、単純労働の現場では技能実習生や留学生が安価な労働力として使われている。新たな在留資格制度にしても、デモグラフィ(人口統計学)に基づいて長期的な視野から練られた施策ではなく、人手不足に悩む経済界の悲鳴に応えて付け焼き刃的に設計した制度にすぎない。
 
移民政策に関しては、私は25年前から『新・大前研一レポート』(講談社)で提言を行っている。日本での就労を希望する外国人で、母国の学校でしかるべき教育を受けて優秀な成績で卒業した人材、あるいはきちんとした資格を持っている人材は積極的に受け入れて、政府が費用を負担して日本の学校で2年間、日本語やわが国の法律、社会習慣、文化などの基礎を学んでもらう。
 
そして卒業試験の結果、問題なく日本で生活できると判定された成績優秀者には「日本版グリーンカード」を発行する。日本版グリーンカードは国籍がなくても永住と就労を保障する資格証明書であり、これを有する外国人は日本人とまったく同じ条件で働けるようにする。日本に残りたいのなら、5年後には市民権を与えてもいい。
 
法案骨子によると、新たな在留資格として設ける、一定の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」の在留期間は通算5年を上限としている。外国人労働者の在留期間が最長5年というのも根拠のないバカげた線引きだ。日本で5年うまくやれた人材なら30年でも50年でも長くいてもらえばいいのだ。
 
 
 
日本では移民に対するアレルギーが強く、「移民を受け入れたら日本らしさが失われる」とか「国の統一性がなくなる」「社会が不安定になる」「治安が悪くなる」といった反対論が根強い。
 
日本らしさや統一性を守りたい気持ちは理解できなくもない。しかし、主義主張を貫いて“純血”を守っても、国家が年老いて滅んでしまっては元も子もない。日本はもはや移民というオプションしか残されていないところまで追い込まれているのだ。
 
 



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今回のポイントだ!
●外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管難民法(出入国管理及び難民認定法)などの改正案を10月24日に召集予定の臨時国会に政府が提出する。
●いまだにこの国は移民政策に正面から向き合わず、本格的な議論を避け続けてきている。
●日本はもはや移民というオプションしか残されていないところまで追い込まれている。

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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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