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2019/01/23配信分

26――これは何の数字?

 
●正解:公務員、60歳から賃金7割 民間は賃金6割未満が26%●
 
 
 
国家公務員の定年を現在の60歳から65歳に延長するための関連法案の概要が判明しました。定年延長により60歳以上の給与水準を60歳前の7割程度とするそうです。
 
ただし、60歳以上の給与のみを7割程度とするのは「当面の措置」とし、60歳未満の公務員の賃金カーブを抑制していく方針で、50歳代から徐々に給与水準を抑制するようです。総人件費を抑えながら人手不足を和らげることが狙いだそうです。
 
一方、民間企業の場合、退職後に再雇用する継続雇用型が一般的となっています。
 
民間企業の高年齢者雇用状況(※1)を見ると、72.7%の企業は「希望者を対象とした継続雇用制度の導入(嘱託再雇用等)」で対応しており、「65歳定年」を実施する企業は19.2%に過ぎません。(※2)
 
また民間企業の定年後継続雇用の賃金水準をみると、大企業(1000人以上)の場合、60歳直前(定年前)の賃金水準を 100としたときに61歳時点の賃金水準が「6割未満」であると答えた企業が約26%となっています。(※3)
 
60歳以上を再雇用し、業務内容や業務時間を減らすことで賃金の低下は理にかなっていると思います。しかし、「定年65歳」に延長することによって、60歳前の賃金カーブが抑制されるとなると、反発が予想されます。今後50歳代以下も60歳代も納得できる仕組みが必要となりますね。
 
安倍首相は2019年年頭の記者会見で、「人生100年時代を見据え、意欲さえあれば65歳を超えても働くことができる生涯現役の社会を実現するため、これまでの働き方改革の上に、更なる雇用制度改革を進める。」と発言しています。
 
ただ定年延長、賃金カーブといった議論の前提には、解雇規制のある無期雇用正社員・公務員制度(終身雇用)、年功序列型賃金カーブという雇用制度があります。この部分にメスを入れなければ、本質的な雇用制度改革の実現が難しいのではないでしょうか。
 
終身雇用・解雇規制が無ければ、そもそも「定年」という概念がなくなり、再雇用・継続雇用、賃金カーブという概念も無くなります。必要性があれば、必要な期間・必要な人材を、市場価格で雇うだけです。
 
労働組合等の問題で、政治的に実施するのは難しいのかもしれませんが、細かな目先の制度設計ばかり議論して、本質的に何が必要なのか、何が不要なのかという議論から設計してもらいたいものです。
 
人手不足で定年延長を議論する前に、自動運転、無人店舗、RPAなどテクノロジーを使った自動化が話題になっているのに、なぜ行政に導入されないのか、人を使わないでできる行政の在り方がどのくらい議論されているのか、マスコミにもこのあたりをもっと厳しく突っ込んでもらいたいものですね。
 
 
※1 高年齢者雇用確保措置
民間企業の高年齢者雇用については、高年齢者雇用安定法第9条により「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を実施することが求められています。
 
※2 「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」集計結果を公表
 
※3 労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.156「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」
 
 



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大前研一
経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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